間ノ岳  北岳  3189m・3193m 長野・山梨県    百名山  
 

初日より

2018年8月6日(月)

 今日は間ノ岳から北岳、広河原と南アルプス北部をぐるりと半周する長丁場。コースタイムと自らの脚力から判断し深夜のスタートとした。午前2時15分起床。就寝中の面々に迷惑をかけないよう、そっと表に出た。空を見上げると、ちらほらと星が瞬いているので天気は問題なさそうだ。

 荷物をまとめ午前2時45分に小屋を後にする。暗闇の中、ヘッデンの明かりを頼りに昨日の下降点目指して急坂を登り返す。黙々と歩き続けること45分、やっと縦走路に復帰した。ここから三峰岳まで仙塩尾根の未踏区間踏破パート2が始まることになる。

 倒木の多い登山道が続くが、昨日の酷い倒木帯と比べればどうということはない。4時半を過ぎる頃から東の空が赤みを増してきた。


夜明け



こんな造形も


 樹林帯の中を登り続けること3時間、樹高が低くなり展望がきくようになった。振り返れば、昨日越えてきた仙丈ケ岳が随分と遠くに聳えている。代わって進行方向には兜を伏せたような塩見岳がズームアップしてきた。


仙丈ケ岳遠望



塩見岳がズームアップ


 樹林帯を抜けると仙塩尾根は岩稜に姿を変える。三峰岳から間ノ岳への稜線を歩くハイカーの姿も見えて思わず気合が入る。


三峰岳に大手


 6時40分、三峰岳直下の縦走路分岐に到着。これをもって小河内岳以北のミッシングリンクは繋がった。独りよがりの趣味趣向はこの世にごまんとあるが、これもそのうちの一つ。だからどうということもない完全な自己満足の世界だ。


縦走路分岐点より仙塩尾根を振り返る



農取岳


 それにしても殆ど人に会うことも無い静かな仙塩尾根からすると、いきなりメインストリートに出てきたようなもの。次から次にハイカーが行き交う。その殆どは大きなザックを背負った若者達。重荷にもめげず和気藹々と青春を謳歌している。思い起こせば、すれ違うのも難儀な横長のキスリングザックを背負い、私も同じことをしていた。もっとも半世紀も前の話だが。

 陽光がきつくなってきたので日焼け止めをたっぷり塗って行動再開。7時25分、老若男女でごったがえす間ノ岳の頂に立った。ここで道は90度北に折れる。南部の山々に背を向け、次の目標、北岳へと向かった。



南の山々に別れを告げ、、、



北岳へと向かう



噴煙を上げる富士山 まさかね


 どうやらマイペースで歩けたのは間ノ岳まで。ガイドに率いられた中高年グループが引きも切らずにやってくるのだ。そのたびに長い行列の通過待ちでスタンバイ。逆にこうしたグループの交尾に追いつくと、抜き去ることも出来ず、否が応でもグループ登山の一員と化してしまう。


北岳山荘が眼下に


 結局先頭に出ることが叶わないまま、北岳山荘に到着。やっと金魚の糞状態から解放された。ここでゆっくりカロリー補給して北岳の登りに備えておく。

 北岳山荘から山頂までの高度差はせいぜい300m。しかし標高3000mの酸素濃度は何度経験しても体に堪える。10時5分、ぜいぜいと息を切らしながら本日最後の山頂に立った。


仙塩尾根を東側から眺める



北岳への道



 夏山は10時を過ぎれば雲が沸き立ち、ガスのベールが降りてくるのが常。幸い今日は辛うじて間に合った。北アルプスから富士山まで中部山岳が一望の下にある。仙塩尾根を初め、ここまで歩いてきた道程を今一度反芻し、感慨を新たに広河原への下山の途に就いた。広河原到着は2時15分。最後は暑さとの闘いだったが、念願の仙塩尾根踏破に加え、12時間近いハードワークに耐えることが出来て達成感も一入だった。


行動時間  11時間30分


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