アコンカグア  (2013年12月)   

 

 122日から26日まで南米のアルゼンチンとチリを旅行してきました。主目的はアメリカ大陸最高峰のアコンカグア(6962m)にチャレンジすることです。昨年苦もなく5895mのキリマンジャロの頂きに立てたので、あと1000m位の標高差は何とかなるだろうと軽く考えて挑んだのですが、結論から言うと、高度障害によりキリマンジャロよりも400mも低い5530m地点でドクターストップというあっけない幕切れでした。登頂はおろか自らの到達高度記録も更新できず、残念な結果となりました。

 高度
6000m以上の核心部分が欠落していますので、中途半端な記録ですが、日記がわりに今回の登山のあらましを以下の通りまとめてみました。


アコンカグア・サウスフェース


■日程

  123 北米ダラス、チリ経由にてアルゼンチン、メンドーサ市に到着。ツアーを企画したAymara社を訪問して代金の精算を済ます。
124 登山チーム初顔合わせ、ガイドによるオリエンテーションに続いて登山装備品のチェック。ヘルメットの必要性を指摘され最寄りの登山用具店で購入。 
125 登山許可証を取得後、マイクロバスで登山口近くのスキーリゾート地ペニテンテス(2725m)へと向かう。この日はホテルに宿泊。 
126

アコンカグア公園事務所で手続き後、登山開始。ベースキャンプへの中継基地コンフルエンシア(3300m)でテント泊

127 高度順応のため、往復7時間かけて南壁展望台(4000m)へトレッキング、午後第一回目の医師診断あり。特に異常なし。 
128 8時間かけてベースキャンプBCのプラサ・デ・ムーラス(4260m)へハイクアップ 
129 休養日、午後第二回目の医師診断。血中酸素飽和度低値ながら何とかパス。 
1210 高度順応のため、Mt.Bonete(5100m)8時間のトレッキング 
1211 キャンプカナダC(4910m)へ往復し、今後の食料品を荷揚げ。 
1212 休養日、午後アイゼンワークのトレーニング 
1213 キャンプカナダC1へハイクアップ 
1214 ニドデコンドレスC2(5250m)へハイクアップ 
1215 キャンプベルリンC3(5900m)へ向けてハイクアップするも5535m地点で足がもつれる。ドクターストップにより敗退決定、C2へ戻りドクターによる診察後BCへ引き返す。この時点で私を含め3名が脱落。 
1216 BCから速攻で下山しメンドーサへと向かう 


ウエストフェースからの日の出


■ロジスティック

 独力で登ることは私の実力ではとても無理なので、ガイド、ポーター、食事等全て提供してくれる団体ツアーに参加することにしました。ツアー会社は何社かありますが、ネットで見る限り一番情報が充実していた現地のAymara社を選びました。参加メンバーは世界7ヶ国から13名(日本人は私一人)、それにガイド3名(C1からは5名に増員)が同行しました。


■健康チェック

 アコンカグアでは2名の医師がコンフルエンシア、ベースキャンプBC、及びニドデコンドレスC2(非常駐)で登山者の健康状態を厳格に管理していました(既往歴や常用薬の確認から血圧、心拍数、血中酸素飽和度SPO2の測定、聴診器による心肺機能の診断など)。

 私の場合、
BCでの検診の際にSPO2値が70を下回ってオキシオメータのアラームが鳴りっぱなしでしたが、心拍数が正常とのことで無罪放免となりました。日本登山医学会が推奨しているダイアモックスの使用を相談したところ、高山病の発症を悪戯に遅らせるだけで有害無益と固く禁じられてしまいました。もし服用していれば高山病の症状が軽減できて頂きを狙えたかも知れませんが、逆に重篤な高山病を発症したかも知れず、何とも言えません。


■装備

 二重靴、ダウンミトン、ダウンジャケット等々、零下30度以下の酷寒、特に頂上アタック日を想定した装備を用意して行きました。残念ながら5500mまでしか到達できなかったのでその真価を確認するには至りませんでした。詳しくはこちらへ。



登山口より

まとめ

 天候が安定して危険個所も少ない夏季のアコンカグアでは、一にも二にも高度への順応が登頂の成否を分けます。私の場合、参加メンバーの中でダントツの最高齢でしたし、期間に制約のある団体ツアーの高度順応プログラムでは、日数的に不十分だったのだと思います。

 もし再チャレンジする機会があるとするならば、既製のツアーではなく個人ツアーとして、もっと時間的に余裕をもって高度に体を慣らせば成功の芽はあるかも知れません。しかし、結局は高度順応だけではなく、登山経験、基礎体力、精神力などの総合力が問われる訳で厳しいことには変わりないでしょう。

 今回
13名のうち最終的に山頂に立てたのは3名でした。全員40代と若く、一人は毎月一座チベットの6000m級の山に登っていて来年はエベレストを目指すという中国人女性、一人はメキシコ人でやはり同国の5000m級山岳で鍛えていた男、もう一人だけが、あまり高山への登山経験が無いと言うアルゼンチン人でしたが、見るからに屈強な体躯をした男でした。

 今回は残念な顛末とはなりましたが、国際チームの一員として山好き同士、国境を越えて親睦を深めることができましたし、日本では決して味わえない大スケールのアンデスを歩けたことは、私の山歩き史に残る貴重で得難い経験であったと満足しています。




登山記録編

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