羊蹄山  北海道 1898m   百名山
 
  

2010529

百名山の病に取りつかれて以来、今回が三回目の北海道遠征になる。この病の治療には時間も要るが相応のお金もかかる。残り僅かとなったマイレージをフルに活用したりして費用圧縮を図っているが、それでも何かと物入りだ。やはり暇があって懐にも余裕のある元気なジジババが百名山詣での主役になってしまうのは仕方の無いことかも知れない。しかし日本各地の行脚にはお金もかかるが、その見返りは往々にして投資以上のものがあるので止められない。今回の羊蹄山でも素晴らしい「リターン」を手にすることが出来た。

前日のフライトで千歳へ、空港近くの格安レンタカー屋で10年間働き続けたオンボロ車を借りて札幌市内のホテルに宿泊した。翌朝3時に札幌を発ち、倶知安へと向かう。羊蹄山の登山ルートは4本あるが、最もポピュラーでネットからの事前情報収集が容易な「比羅夫コース」から登ることにしている。約2時間を要して登山口のある半月湖自然公園に到着。土曜日であるにもかかわらず、駐車場に他の車は一台も見当たらない。手早く身支度し車を後にする。

 登山者カードの記入時刻は510分。暫くは緩やかな勾配の林のなかをほぼ一直線に登っていく。道は次第にジグザグになって一気に高度を上げていくようになる。北海道の山なので熊除けの鈴は必須のアイテムであるにもかかわらず、うっかり忘れて来てしまった。誰が見ているわけでもないので、鈴代わりに「ヨイショ、ドッコイショ」と声を出して騒がしく歩く。3合目辺りから残雪が出てきた。事前に調べた登山情報では、3合目以上は殆ど雪道とのことだったので迷わずアイゼンを履いた。この季節としては気温が低くキックステップを受け付けないほど雪面が固いのでちょうど良い。しかし雪渓歩きはわずかでまたしばらく夏道を歩くことになる。時折残雪が現れるが、夏道の方が圧倒的に多い。着脱が面倒なのでアイゼンは履いたままで通す。





         ニセコアンヌプリが見えてきた                       結構斜度のある雪渓



 このコースは樹林帯で展望が無いと聞いていたが、実際はそうでもない。時折振り返れば樹林の合間から雪を頂いたニセコアンヌプリが雄大な姿を見せている。麓には倶知安町の区画整理された街並が広がっている。やがて6合目、7合目(5合目の標識は記憶がない)を過ぎると、ダケカンバの樹高が次第に低くなって、風が強く吹き付けるようになってきた。やがて羊蹄山避難小屋の分岐を過ぎると夏はガレ場と思われる大きな雪渓が現れる。ここをトラバース気味に登りきると外輪山までもう一息である。比羅夫コースの場合、羊蹄山の頂上は外輪山の反対側にあるので嫌でもお鉢を半周しなければならない。強い風にあおられながら進むと三角点が現れるが5mほど高い頂上はまだその先にある。910分に山頂に立った。



頂上はもう一息




三角点




山頂




お鉢の底




 お鉢の底はまだ深い雪に覆われていた。この残雪は夏まで融けないらしい。この地域の山々は全く馴染みがないが、地図で推定する限り、札幌近郊の山々が視界に入っているようだ。強い寒風でじっとしているのも辛いので早々に休憩を切り上げて下山にかかった。お鉢を一周して旧避難小屋跡から下る。ここで本日初めてハイカーとすれ違った。相当に年配の方だが、ピッケルを手にしっかりした足取りで登っている。この先、更に4人のハイカーとすれ違ったが、いずれも単独の中高年ばかり。皆、百名山病の患者だろうか。高度が下がるに連れて様々な花が目を楽しませてくれた。一番多く目に付いたのはトカチフウロ。特に3合目以下ではこの花の独壇場で羊歯類の新緑とのコラボが息を呑むほど美しい。





               トカチフウロ                               シラネアオイ




北海道の春がいよいよ始まったという感じ





 
駐車場帰着は1250分。泥だらけの靴やアイゼンを洗い着替えを済ませて千歳空港へ向けて再びハンドルを握る。途中、支笏湖に寄り道して恵庭岳の景観を楽しむなど北海度の遅い春を満喫して千歳を後にした。



行動時間                  7時間40
歩行時間
                7時間
標準コースタイム         8時間45






下山後撮影した羊蹄山の全貌





Map     Track
  トップ     山歩き 
inserted by FC2 system