2829m、2899m 長野県 | |
2013年9月27日(金) 台風一過の爽やかな秋空の下、久しぶりに八ヶ岳を歩いてきた。美濃戸を起点に硫黄岳から横岳、赤岳へと縦走してスタート地点に戻るオーソドックスな周回コース。阿弥陀岳も含めたかったが、夕刻までに帰宅しなければならない事情があったので割愛した。 午前6時前に美濃戸赤岳山荘前に到着。標高1700mのこの辺りは、放射冷却で相当に冷え込んでいる様子。夜明かしの車の屋根は霜で真白だ。フロントガラスもすっかり凍りついている。シャツ一枚では寒いのでソフトシェルを着て行くことにする。 6時に駐車場を出発。無雪期の八ヶ岳は何年ぶりだろうか。しかも北沢を最後に歩いたのは40年以上も遡る大昔。懐かしさと共にタイムスリップしたような奇妙な感覚だ。
しばらく林道を歩いて堰堤から河原歩きとなる。水辺や山腹には色づき始めた木々が点在していて秋を実感する。ほどなく赤岳鉱泉に到着。重機や資材がそこかしこに積まれて、まるで建設現場のようだ。暖気運転が済んだ身体が冷えないうちに硫黄岳への登りにかかる。
適度な斜度に九十九折れの登山道は、昔と変わらず記憶の通り。とても歩き易い道だ。ずっと山の西側なので朝が遅く、赤岩の頭辺りでようやく朝日が枝越しに射しこんできた。
硫黄岳山頂には8時40分に到着。広々した頂には数人のハイカーが休憩していた。地理的に八ヶ岳は南北、それに中央アルプスを望む天然の展望台。透明度の高い大気を通して眺める大パノラマは文句なしの一級品だ。近くに目を転じれば横岳から盟主赤岳にかけての峰々の雄姿。その隣の阿弥陀岳も迫力満点だ。
いつまでも眺めていたいがきりが無い。適当なところで山頂での小休止を切り上げ、本日のハイライト、赤岳に向けての縦走をスタートする。 しばらくガレ場のような幅広の尾根を下っていく。東側の斜面にへばりついたような硫黄岳山荘を左に見て、ここから台座ノ頭に向けて登り返しとなる。西側の崖には二重の柵が施してあってともかく厳重。それだけ多くのハイカーが訪れる山ということだろうか。
進むにつれて稜線は痩せてきて鎖場や梯子が目につくようになってきた。ストックをザックに括り付ける手間を惜しんだため、四足歩行としたいところも三足歩行。2本のストックを束ねて片手に持つが何度も持ちかえたりして煩わしい。
鎖場や梯子で対向するハイカーとのすれ違いに時間を取られたりして横岳到着は9時45分。学生時代に少なからずこの頂に立ったはずなのに一向に記憶が蘇らない。もとより印象の薄い地味な山ではあるが、これでは初めて登ったも同然だ。
ここからは富士山を正面に眺めながら赤岳へと向かう。100m下って展望荘からは岩場200mの急登。2年前の冬、こんな急斜面を能天気にスタスタ下りたとは我ながら信じられない、、、などと冬山に思いを馳せながら歩く。コテコテの関西弁でおしゃべりしながら登る女性3人組を追い抜いて11時ちょうどに赤岳山頂に立った。
平日とは言え、流石に八ヶ岳、山頂には入れ替わり立ち替わり多くのハイカーがやってきて大賑わい。雄大な景色も十分堪能したし、手早くランチを済ませて後続に場所を譲って下山を開始する。 この山頂直下の岩場も相当な激下り。雪や氷で鎖が埋まる冬によく登れたものだとここでも思いは雪の季節。文三郎尾根との分岐まで下ると眼下には行者小屋が見えていて今日の山歩きも最終章だ。
段差の大きな階段に足が上がず苦労している人達を尻目にどんどんと下り、行者小屋前のベンチで一休み。何度見ても、いつの季節でもここから眺める屏風のような八ヶ岳の峰々は絶品だ。もう思い残すこと無し。後は一気に南沢を下って1時50分に美濃戸に帰着した。 行動時間 7時間50分 |