南八ヶ岳周回       
 

20148月5日(火)

 最近山を歩いていない。超のつく山小屋の混雑ぶりや、テント泊の重装備を思うとどうしても足が遠のいてしまうのだ。しかし、山から心が離れたわけではない。登山靴の代わりに二輪を使い、ピークハントに拘らなくなっただけだ。そうした意味では先週の富士山一周よりも、もっと山に深く分け入ることのできるロングライドにチャレンジしたくなった。

 今回のロングライドの舞台は南八ヶ岳。小淵沢から麦草峠を経由して南八ヶ岳をぐるりと周回することを計画してみた。最高点は麦草峠。標高は
2127mもある。初めての本格的ヒルクライムに不安が無いと言えば嘘になるが、最悪自転車を降りて歩けば済むことなのでどうにかなるだろう。

 午前
530分、道の駅「こぶちざわ」を後にする。朝一番の上り坂は、いつも車で苦も無く登ってしまう八ヶ岳高原ライン。いきなり8%の勾配表示に圧倒される。この斜度がずっと続くので暖気運転する間もあればこそ、心拍数は跳ね上がったままだ。


       まだ閑散としている道の駅「こぶちざわ」                   「長い上り坂 8%」の標識


 ぜいぜいと肩で息をしながら登り、鉢巻道路との分岐を通過する。当初の計画は時計回りだったので、本来ここを左折すべきだったのに、何を勘違いしたか直進してしまう。観音平口まで来て間違いに気がついたが、せっかく獲得した高度を失いたくないので、急遽、反時計回りに計画変更。山でもルートミスの常習犯だが、下界でも同じとは。。。我ながら救いようのない方向音痴ぶりで情けない。


        車は殆ど通らない気持ちの良い道                        霧が次第に濃くなる


 三ツ頭登山口を過ぎた辺りから霧が深くなってきた。視界は
30mほどだろうか。相変わらず亀の歩み、これ以上は無い低速運転なので視界不良は苦にならない。景色が楽しめないので、やることは一つ。ともかく無心にペダルを回し続けるだけだ。

 権現岳への登山口でお馴染み、天女山入口を通過してもうひと頑張りすると、前哨戦の最高点となるまきば公園に着いた。
1時間20分ほど走って道の駅からの獲得高度は約500m。この先、非情にもこの高度を全て吐き出さねばならないのだ。


              長野県に入った                              下界は天気も回復   


 少し霧が晴れて視界が確保できるようになったので、清里高原の森の中を一気に駆け抜ける。国道
141号線に出るともう完全に市街地だ。交通量が格段に増えてきた。JR最高地点(標高1375m)を過ぎ、なおも下り続ける。千曲川に向かってはブレーキを握りっぱなしでヘアピンカーブの連続する激下り。泣く泣く稼いだ高度を全て返上する。ボトムは小海線の松原湖駅辺りで、標高は出発点の道の駅と同じ990m。ここから1100mを越えるヒルクライムがスタートするのだ。


八ヶ岳は相変わらず雲の中


 
480号線に入ると、まずのっけから松原湖に向かう上り坂がキツイこと。勾配は軽く10%を越えているのではなかろうか。もう足をつかないだけで精一杯。時速7Km前後を維持しつつ懸命になってペダルを漕ぐ。変速比が最大となるインナー・ローギアにしているが、もう一枚こぶりなフロントギアが欲しいと思うほどだ。ヘルメットから汗がとめども無く滴り落ちるので、ハンドルに装着したスマホやサイクルコンピュータが水浸しだ。


            480号線に入る                        景色は良いのだがいかんせん坂道がきつい


 右手に目をやると、美しいグリーンが広がるなかでゴルファー達が優雅にプレーを楽しんでいる。翻って私はと言えば、全身汗みずくで重力と格闘中。この差は一体何だ。何を好き好んで自分はこんな苦痛を耐え忍んでいるのだろうと、いつもの問いが頭にこだまする。


         交通量が少ないので救われる                      いつの間にか随分と登ってきた


 道はやがて通称メルヘン街道、国道
299号線に合流。高度が2000mを越えると風が強くなってきた。よりによって正面から吹きつけてくるので、もう1m、あと1mと前進するだけで必死。かくして2時間、撮影と給水以外では立ち止まることも無くペダルを回し続け、白駒池入口の駐車場に辿りついた。


             緑に癒される                               勾配も少し緩んできた



            白駒池入口に着いた                            ハイカーが大勢


 この先もう登りはないと喜んでいたのだが、これが大間違い。実は、さらに1Kmほど先が麦草峠の最高点だったのだ。再びペダルを踏んで坂道を登り、10時ちょうどに麦草峠に到着。何もない国道の峠道ながら、山歩きで苦労して辿りついた山頂で味わうのと同じ感動と達成感が、沸々と湧き上がってきた。


 この日初めてまとまった休憩をとった後、汗が冷える前にヒルダウンにかかる。山歩きと違って下りの苦痛が無くて済むのはスキーと同じ。重力の法則に従ってどんどん落ちるだけだ。しかし荒れた路面にフルスピードで突入すれば一大事。速度を抑えつつ坂道を駆け下って行く。ブレーキをかけ続ける指が痛くなるほどだ。それでも速度は40Km/H以上。ヘルメットが風を切る音で後ろに車やオートバイが迫っていることに気がつかず、何度かヒヤリとさせられた。


              快適な下り道                               展望台で休憩


 途中日向木場展望台に立ち寄っただけで
299号をひたすら下り、蓼科高原まで来たところで小休止。給水とトイレタイムとする。一息ついてから下山続行。勾配もだいぶ緩くなったメルヘン街道から中腹を巻くエコーラインへと進路を変更。


南アルプス方面の眺望


 上里の交差点を左折すると、本日最後のヒルクライムが始まる。白の紫陽花が見事な道だが、花を愛でる余裕があればこそ。麦草峠で脚を使い果たしてしまったので何とも辛い上り坂だ。


             エコーラインから                              鉢巻道路への登り


 最後の力を振り絞ってどうにかこうにか
300m弱を登りきり、鉢巻道路に出た。後は下り一辺倒かと思いきや登り返しもあったりしてそう簡単に楽をさせてはくれない。全般的に路面がかなり荒れており、洗濯板の上を走らされているようだ。下りでもスピードを抑えていないと思わぬ穴にハマって飛ばされそうで怖い。

 最後は舗装の行き届いた高原ラインを気持ちよく下って道の駅に無地帰りついた。翌日は私の誕生日。晴れて前期高齢者の仲間入りを果たす私に八ヶ岳は最高のサイクリングをプレゼントしてくれた。


行動時間 7時間15
走行距離 105Km
獲得標高 2691m
平均速度 14.4Km/H
最高速度 52.7Km/H(サイコンより)


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