薬師岳BC    2926m 富山県  百名山      
   

201353日〜5

 以前から温めていた太郎平小屋がオープンするGW限定の薬師岳周辺の山スキー。黒部源流の山域だけあってスケールが大きく、なおかつスキー適地がそこかしこにあるらしい。長大なアプローチに難ありだが、一度は雪のシーズンに訪れてみたいと思っていた「山スキーの聖地」だ。先日の立山に引き続いて今回も山の先輩、Kさんに同行して頂くことになった。

 その結果は期待以上。中日以外は最高の天気に恵まれ、中央カールや薬師沢右俣への滑降、さらには北ノ股岳から同左俣への滑降などと、素晴らしい雪山の眺望とともに山スキーを心行くまで楽しむことができた。



一日目(53日)

 午前7時に有峰林道の融雪最終ポイントでKさんと待ち合わせ。GW後半の初日なので多少の混雑もあろうかと余裕を見て自宅を後にしたつもりだったが、中央道に入った途端、小仏トンネルまで13kmとの渋滞情報を見てたまげる。やはり連休は外すべきだったかと後悔したものの、幸い渋滞を抜けるのにそれほど時間を取られず、何とか約束の時間までに現地に到着できた。

 通行止ゲートで待機してくれていた
Kさんと車を連ねて飛越トンネルへと向かう。トンネルから約2km手前の融雪最終地点には、凡そ15台程の車が縦列駐車していた。

 6
40分、シールをつけてハイクアップ開始。林道上の雪は概ね繋がっていたが、日当たりの良いところでは切れ切れになっていた。露出した舗装の上をちょっと乱暴にシールのまま歩いたりしながら、飛越トンネルへと向かう。


        融雪最終点からハイクアップ開始                       結構雪は繋がっていた


 
35分の林道歩きで登山口に到着。トンネルの入口は雪の侵入防止のためか、完全に閉鎖されていた。さて登り口をどうするか。夏道の登山道は遠回り。反対側に目をやると、沢を越えた急な斜面にトレースがある。これを有り難く使わせてもらうことにした。


             飛越トンネルに到着                         右手の尾根にトレースあり


 しばらくはスキーを担いで登り、傾斜が緩くなったところでシール登行に替えた。夏には酷い泥濘になる飛越新道も、この季節、この時間帯には固く締まった雪で至極快適だ。


            送電線鉄塔に到着                                 天気も最高


 高度が上がるにつれ、お待ちかねのパノラマが広がってきた。左を見れば有峰湖とともにどっしりした鍬崎山が登場。さらに折立へ通じる長大な尾根の向こう側には薬師岳のたおやかな峰が姿を現した。


有峰湖と鍬崎山(右手)



薬師岳遠望、左奥は立山(剱岳も頭が見える?)



             アップダウンが続く                           右手には笠ヶ岳が登場


 小さなアップダウンを繰り返しながら寺地山に到着。ここから先は痩せた尾根の降り。ヒール開放のまま滑り降りるので転けないように気をつける。


寺地山からの北ノ股岳



             痩せた尾根を下る                                前を行く登山者


 樹林帯を抜けると目の前には北ノ股岳直下から無木立の大バーンが広がる。帰りの滑降が楽しみだ。北ノ股避難小屋には寄り道せず、そのまま登行を続ける。

 ここからは北ノ股岳へは斜度を増して登り一辺倒。程よくクラストしているのでクトーが良く効いてくれる。この斜面で先行していた数パーティをキャッチアップ。その中のひとり、小屋のスタッフらしき方が要所々々に赤い旗竿を設置していた。悪天候には頼みの道しるべだ。ご苦労様です。


          広大なバーンを登行する                           休憩中の先行パーティ



            下界の天気は良いが、、、                          上には雲が


 出発から
6時間少々かけてようやく主稜線に立った。すぐお隣の黒部五郎岳、雲ノ平の台地の先には鷲羽岳や水晶岳等々、2年前に歩いた懐かしい黒部川源流の山々が勢ぞろい。残念なことに薬師岳は朝方の青空から一転して湧き出た雲の中だ。


主稜線に到着(カップルにモデルになってもらった)



             北ノ股岳は指呼の距離                        薬師岳の頂きは雲の中


 目と鼻の先にある北ノ股岳の山頂は本日のところは割愛し、直接太郎平小屋へと向かう。シールを剥がして広大なバーンを滑降開始。


滑降した北ノ股岳からの斜面


 上部はカリカリ気味だが、少し標高を下げれば硬いバーンに薄く新雪が乗った極上のスロープになってきた。斜度は緩く広々しているので、ゆるゆると大回りして気持ちの良い滑り。
300m程の高度差を一気に滑った後はスキーを担いで太郎山へ。ピークから眼下の小屋めがけ50mを滑り降りて本日の行程は無事終了。


          スキーをロープで牽引するKさん                      小屋の入口は雪の中


 太郎平小屋の一階部分は深い雪の下なので、入口に向かって雪の階段を降りていく。荷物を片付けた後はお決まりのビールで
Kさんと乾杯。

 小屋の中で一番暖かい乾燥室で時間つぶしをしていると若い人達も集まってきた。話を聞けば、何と彼らは富山からヘリでやってきたのだそうな。三泊四日でガイド付き、帰途は折立への出迎バス付きの豪華ツアーだ。この日の泊り客は約
50名。そのうち20名がこうしたツアーグループとのこと。

 長くて辛いアプローチに耐えなければ、雄大な黒部源流域でのスキーを享受できないと思い込んでいたが、とんだ誤解だったらしい。個人的にはお手軽さと感動の度合いは反比例する気もするが。。。古すぎますかね。


行動時間 7時間20分



二日目(5月4日)へ続く

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