和名倉山  埼玉県 2036m     二百名山  
   
201245

 冬に逆戻りしたような西高東低の気圧配置で北信越地方は天気が悪いし、ガソリンは天井知らずの値上がり。今ひとつ遠出の意欲が盛り上がらない。そんな訳で今回は近場の和名倉山、別名白石山を歩くことにした。両足からスキー板を解放した山歩きは久しぶりだ。

 真夜中に自宅を発って現地到着は午前
5時過ぎ、民宿しゃくなげの広い駐車場へ一番乗りした。何時ものようにコンビニ朝食、身支度を済ませ、535分に車を後にする。民家の飼い犬に吠えたてられながら林道を少し登ると、将監登山道と書かれた登山口の案内があった。


          登山口のゲート                  立派な登山道(車道?)

 ゲートを越えて、車でも楽々通行できそうな幅員の登山道を行くと、程なく将監小屋への分岐に着いた。ここから七ツ石尾根へと進む。高度が上るにつれ、そこかしこに雪や氷が目につくようになってきた。草原のような牛王院平を経て、和名倉山への仙波尾根ルートを別ける山の神土に到着。途中
3回ほど鹿の食害防止柵のゲートを通らねばならず、紐を結んだり解いたりと開け閉めが煩わしい。ともあれ生皮を剥がれた樹木が多数見られるので、仕方ない措置だとは思う。


        見過ごしてしまいそうな山の神土への道標                  次第に雪が現れてきた            



          見る見る雪景色となる                              鹿の食害防止柵



               山の神土の分岐                            先はまだ遠い


 それにしても山の地名は難解だ。牛王院を「ごおういん」、神土を「かんど」と読むらしいが、正しく読める人がどれだけいるだろうか。更に歩き続けると辺りはすっかりスズタケと雪のミックスになってきた。元々薄い踏み跡が残雪で覆い隠されているので、ぼんやりしていると道を見失ってしまう。迷うような所ではないが念のため
GPSで現在地を確認しながら進む。

 1974m
のピークは左側から巻いて行く。ここのトラバースは日陰のせいか、つるつるの青氷と化していて手を焼いた。アイゼンを履けば済むことだが、横着をして木や枝に摑まりながら越えていく。西仙波辺りから展望が開けてきた。雁坂峠や雲取山方面の景観が素晴らしい。この界隈には百名山が2座ある。一つは目の前にあってどっしりした山容からすぐそれとわかる雲取山。もう一つは甲武信ヶ岳だ。その姿を追い求めてみたが、秩父の奥深い峰々の重なりのなかに紛れて同定できなかった。


               リンノ峰?                                  東仙波のピーク



雁坂峠方面(甲武信ヶ岳が少し顔を覗かせている)



雲取山方面(東京都は指呼の距離)



唐松尾山を振り返る


 まもなく今日の目的地、和名倉山が望めるようになってきたが、そののっぺりした山頂部はまだずっと遠方にあってちょっとウンザリする。東仙波から先は、痩せ尾根上の細かなアップダウンが続く。高低差を累積すれば結構な距離になるかもしれない。尾根筋にはそこかしこに石楠花の群生があって、なかにはトンネル状になっている所もある。開花期はさぞかし見事だろう。


和名倉山が見てきた


 1990mのピークを巻く青氷のトラバースに再び緊張させられた。滑っても木に引っ掛かって止まるだろうが、怪我して痛い思いはしたくないので、慎重に足場を確保しつつ進む。山頂が近くには雪の中から古い鋼鉄のワイヤが至る所で顔を覗かせていた。かつての伐採事業の名残らしい。

 やがて白石山頂
25分の道標を見る。その脇に「家族に伝えたか」という埼玉県警のメッセージがあった。道迷いの多い山とは聞いていたが、ことほど左様に行方不明者の多い山域ということだろうか。道は右に折れ、開けた荒れ地を横切って行く。まもなく再びコメヅカやシラビソの原生林となるが、それがぽっかり開けると、そこが山頂だった。山名の標識が無ければ通り過ぎてしまうような平坦な頂きだ。時刻は1040分。登山口から4時間30分もかけたのに、木々に囲まれて展望は完全にゼロ。和名倉山が何故二百名山に選ばれたのか素朴な疑問も湧くが、ネットでチェックするとレピーターも居たりして、思いの他この山のファンが多いようだ。山高きが故に貴からずの一例か。


             所々氷と化した斜面                        道標の脇に埼玉県警のメッセージ     



                 山頂                               仁田小屋への道標


 昼食をとりながら辺りを見渡すと、仁田小屋登山口と書かれた道標があった。この登山道は昭文社の地図には記載されていない。興味をそそられたので帰宅後ネットで調べてみた。ベースとなる山小屋が、森の再生を目指す
NPO法人の有志の手によって最近再建されたこと。仁田尾根には踏み跡もついているらしいが、ルートファインディング力と、猛烈な笹藪こぎに耐える体力が必要らしい。

 眺望を楽しむことも出来ないので、食事が済んだらさっさと退散する。雪はかなり緩んでおり、うっかりすると膝辺りまで踏み抜いてしまう。昨年の大無間山での踏み抜き地獄に懲りて、ワカンジキを背負ってきたが、これまた面倒なので結局最後までつぼ足で通した。


            東仙波への稜線                            東仙波jから西仙波を見る


 帰着は午後
310分。登りと大差ない位、下山にも時間を要してしまった。それでも久々のロングハイクに完全燃焼出来て大満足だった。駐車場には私の車だけがぽつんと一台、結局今日入山したのは私だけだったらしい。出合ったのは飼い犬一匹と数頭の鹿だけのとても静かな山歩きだった。

行動時間              9時間35
歩行時間              9時間15

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