2015年5月23日(土)
白馬鑓ヶ岳での怪我の回復は意外に尾を引いた。3週間を経てもなお、痛めた左足の太腿には未だに卵半分大のしこりと青痣が残っている。
疼痛も若干あって完治とは言い難いが、山は新緑真っ盛り。木々が放つ香り、フィトンチッド中毒患者の私にとっては、自宅謹慎は拷問に等しい。じっとしているのもそろそろ限界と、リハビリがてら半日コースの山歩きに出掛けることにした。選んだ先は裏妙義、上信越道からもすぐそれとわかる奇岩連なる山塊だ。
午前6時に起点となる国民宿舎裏妙義に到着。係の方に指示されたスペースに駐車する。ゆっくり支度をして6時半に出発。久しぶりの山歩き、目に沁みるような新緑に迎えられ、足の痛みも忘れてルンルン気分で歩きだす。
国民宿舎 裏妙義 丁須の頭への登山口
国民宿舎から林道を10分ほど登ると登山口。ここから籠沢コースが始まる。ハンマーヘッドに似た奇岩、丁須の頭への登山口だ。最初は杉林の中の緩い登り。ここで体調をチェックしておく。左足を大きく引き上げる動作をすると若干引きつれるのが気になるが、大人しく歩いている分には支障は無さそうだ。
杉林の中を行く やがて籠沢の遡行へ
やがて道は殆ど水量の見られない籠沢沿いを進むようになる。マーキングを追って大小の岩を乗り越えて行くと、いつしか沢幅は狭くなり一段と斜度も増してきた。いくつか鎖場も出てきたが、この辺りはまだウォーミングアップ程度。
先行者の姿が見えた 連続する鎖場
しばらくすると先行する若者の一団が視野に入ってきた。長い鎖場の下でようやく彼等にキャッチアップ。どうやら鎖を使わない主義なのと、大人数で時間がかかりそうなので先行させてもらった。
引き続き急登に汗を流し、登り切ったところが籠沢のコル。ここから丁須の頭までは指呼の距離だ。奇岩をぐるりと巻くようにしてその下部に出た。長い鎖を頼りにハンマーヘッドの基部に登る。2連の鎖を登り切ったところが私の最高到達地点。
丁須の頭を見上げる
ハンマーヘッド基部から鎖場を俯瞰
表妙義の峰々
これから向かう縦走路も険しそう
岩峰のトップから下がる鎖はあるものの、取り付きがオーバーハング気味なので一旦宙ぶらりんになるしかない。しかも下は奈落の底、すっぱり切れ落ちている。事前調査によれば、一歩目さえこなせればピークに立つことはそう難しくないらしい。とは言うものの、危険度は妙義山中最高、墜落事故多しとのことで、躊躇すること無く私はパス。周囲の写真だけ撮って回れ右した。
オーバーハング部分 下から見上げる(アングル悪く丁字状にならず)
再び鎖を手に慎重に下部に降り切ったところで先ほどの若者集団が到着。彼等は果敢にフリークライミングで登って行く。こうした若い衆のチャレンジは見ているだけで疲れるので、背を向けて先を急ぐことに。
新緑の縦走路 チムニーの下降
ここから三方境への稜線は、痩せた岩稜の縦走路で登ったり降りたりと忙しい。かなり高度感のある身一つがやっとの狭いチムニーを下る場面もあったりして、筋肉と神経の緊張が続く。赤岩から風穴尾根の頭にかけては鎖場が連続する。切り立った岸壁トラバースは足場が狭くて中々スリリング。
スリリングなトラバース
こうした難場を過ぎると、その後は打って変わってなだらかな杉林の癒し空間となる。広くなった尾根を緩やかに下った先が三方境だ。ここからは植林の巡視道で格段に歩き易くなるが、緊張感溢れる稜線とは余りに対照的だ。どこまでも代わり映えしない杉林の景色が延々と続く。
杉林を下る 三方境
しかし退屈な下山道も1時間ほどの辛抱。斜度が緩んだところで、丁須の頭方面の岩峰が目の前に広がるので別れを告げる。その後は舗装された林道をのんびり歩いて国民宿舎に帰着。
日帰り温泉に一番乗りし、汗とともにこれまでの山禁フラストレーションをすっかり洗い流して満たされた気分で帰宅した、、、のだが、5時間足らずの山歩きなのに翌日は酷い筋肉痛。打撲の後遺症とはまた別のリハビリが必要になってしまった。
行動時間 4時間40分
|