2015年10月20日(火)
雲仙岳は普賢岳、国見岳、妙見岳を中心とした山岳群の総称。最高峰は1990年の大噴火により出現した平成新山だが、いまだ噴煙を上げ続けていて人を寄せ付けない。この山の紅葉は国の天然記念物(普賢岳広葉樹林)に指定されており、それは見事なものらしい。今般四日間の九州旅行の一日を割いて、雲仙岳を連合いと共に歩いてきたが、例年より一週間早く見ごろを迎えたとのことで、期せずして錦秋を満喫することができた。
例によって格安の早朝フライトで羽田から一路長崎空港へ。レンタカーに乗り継いで仁田峠へと向かう。仁田峠からは雲仙ロープウェイを使えば妙見岳直下まで3分と楽できるが、機械には余り頼りたくないし距離も短いことなので自らの足で歩くことにした。
仁田峠駐車場より ロープウェイを横目に歩き始める
午前11時30分にロープウェイを横目に山道を歩き始める。温暖の地、九州とは言え、標高1000mを超えるこの辺りは流石に風が冷たい。木々も赤や黄に色づき始めており、見頃を迎えるのは時間の問題と言ったところ。そこかしこに群生するススキも秋を感じさせてくれる。
一面のススキ原 紅葉がショーアップ
展望台近くまで登ると、作業者が大型の照明設備を据え付けていた。後で聞くと、テレビ撮影用のライトアップなのだそうだ。
ロープウェイの終点から観光客で賑わう展望台を尻目に再び山道を歩くこと5分ほどで妙見岳に着いた。正確には山頂は立ち入り禁止なので、妙見神社の境内までだ。
妙見岳山頂 国見の分かれへ下る
鞍部より普賢岳と平成新山を望む
ここから標高差50mほど下って国見岳との鞍部に出る。普賢岳に向かう登山道との分岐、国見の分かれから国見岳の登りにかかる。この道を歩く人はそう多くないようで笹が登山道を覆っており、うっかりすると隠れた木の根や石に躓きそうになる。お手軽なハイキングであっても気が抜けない。さらに鎖やロープを頼りに急峻な岩場を登る場面もあり、思わぬアスレチックに家内は悲鳴を上げていた。
結構険しい 高度感もある
国見岳からの展望は圧巻の一言。島原湾を隔てて天草の島々が遠望できるし、目の前の普賢岳の背後には草木一本生えていない溶岩ドームが異様な存在感で聳えている。視線を少し下げれば、普賢岳山頂付近の紅葉は今が真っ盛り。特に深紅に色づいた楓の葉が例えようもなく美しい。
国見岳山頂 島原湾の展望
国見岳山頂を辞して再び分岐点へと戻り、普賢岳へと向かう。130mほどを下降する間、行く手の斜面の紅葉に目を奪われ、中々足が前に進まない。紅葉茶屋の分岐からは鬱蒼とした樹林帯の中。普賢岳に向けて国見岳からの下りで失った標高を取り戻すかのように岩のごつごつした急坂を登って行く。
見とれて足が前に進まない
国見岳を見上げる 聖母マリア像?
一汗かいて仁田峠から2時間半ほどで普賢岳の頂に立った。眼前に聳える平成新山はさらにおどろおどろしく、山頂付近から時折噴煙が上るのが見える。海を隔てた島々、周囲の山々を染める紅葉を飽くことなく眺めるが、そろそろタイムアップ。後ろ髪を引かれる思いで山頂を後にした。
最後の登り 普賢岳山頂
溶岩ドームと紅葉 海の向こうには阿蘇山?
島原湾と紅葉
妙見岳の岸壁 仁田峠に無事帰着
帰路は妙見岳の東側の山腹を巻くようにして仁田峠に帰着。四方を海に囲まれた美しい景観とピークを迎えた紅葉。それとは対照的に怪異さが際立つ平成新山を組み合わせた自然の造形を存分に堪能し、4時間足らずとは言え、とても印象深い山歩きとなった。
行動時間 3時間45分
|