2017年11月1日(火)
この時期定番の雪化粧した槍穂高鑑賞の旅。個人的に最も好きなアングルは槍穂高を真正面に捉える常念岳からの眺めだが、少々マンネリ気味。今年は趣向を変えて燕岳から、それもどうせならとポピュラーな合戦尾根を避け、初見参の東沢乗越経由で山頂を目指すことにした。
すっかり夜の明けた午前6時5分、中房温泉の登山者用駐車場を後にする。合戦尾根の登山口を左に見ながら直進。中房温泉本館前にある中房川への降り口を見逃し、図らずも庭内をぐるりと一周。歴史ある湯治場に相応しく庭内至る所様々なネーミングの名湯だらけだった。昭和レトロの雰囲気が漂う本館前に戻って今度こそ中房川へ。
平日にも関わらず賑わう駐車場
昭和レトロの雰囲気漂う中房温泉
右手の階段を下りて登山道へ
登山道は繁茂する笹に覆われるなど、余り手入れが行き届いていない様子。それでも迷うような危うい箇所は無い。暫くは右岸沿いを登って行く。やがて現れた吊り橋を渡り左岸へ。砂防堰堤を幾つも越えさらに高度を上げていくと、朝日に輝く燕岳の稜線が高みに姿を現した。
笹原を行く
吊り橋を渡り左岸へ
北燕岳辺りだろうか
高巻きなど意外に多いアップダウンにウンザリしつつ、ブナ平へ。ここを過ぎると再び河原歩き。立ち枯れた草木や流木が道を塞ぎ、全般的にかなり荒れた印象だ。そして数回の渡渉。台風の置き土産か、清流とは言い難い水量があり、場所選びにことのほか気を遣った。加えて飛沫を浴びた石は水流から露出した部分が凍結しており迂闊には飛び移れない。敢えて水流の中にスタンスを求めたり、ストックで足を置く石の氷を叩き落とすなどして慎重に渡渉した。
荒れた登山道 日陰には雪
流木の橋も周囲の石も氷が張ってつるつる
意外に水量多く渡渉に四苦八苦
愈々水流が細くなると、沢ルートの常で勾配が急激に増してくる。標高1900m辺りから東沢乗越までの標高差350mは、脹脛が緩む間もない程の激登りだった。9時50分、荒い息をつきつつ乗越に到着。ここで暫しの休憩をとる。
源頭部間近 水量が細くなってきた
急登に大汗をかく
東沢乗越に到着
乗越から先は雪道となった。事前にチェックしたところによると、先週の雪は台風通過ですっかり融けてしまった由。今の雪は前々日の冬型気圧配置で新たに降ったもの。日の差さない樹林帯のなかではフカフカ状態のまま残されていた。足首から脛まで潜る新雪の感触を楽しみつつ登って行く。
日陰は雪道
森林限界を抜けると期待通りの大パノラマが眼前に広がった。同時に吹き付ける冷たい風に身震いする。穏やかとは言え流石に晩秋の北アだ。2723mピークから左に折れると、東側をトラバースするように付けられた夏道を行く。それほどの積雪量でもないが、西風に飛ばされた雪の吹き溜まりになっているので脛ラッセルの連続だ。
餓鬼岳
疲れる重い雪ラッセル
槍穂高が見えた
裏銀座の山々
この夏歩いた野口五郎岳(右)から真砂岳(正面)、竹村新道の尾根
立山(中央)は真っ白だが、針ノ木方面(右)はまだ雪が薄い
アイスバーンになっていたら怖いトラバース
こんな注意書きもあった
山頂までもう一息
12時55分、5年ぶり、3回目の燕岳山頂に立った。残念ながら白銀の槍ヶ岳とはいかず、その穂先は真っ黒だったが、燕岳から槍穂高がすっきり展望できたのは初めてだったので良しとしよう。風が冷たいので長居せず先に進む。お馴染みの眼鏡石やイルカ石に表敬した後は、燕山荘をスルーして下山開始。
燕岳山頂より
イルカにご挨拶
燕山荘
合戦尾根を下る
合戦尾根を下り始めると、やはりここはメインストリートと実感。これまで誰一人出会うことの無かった静寂が嘘のように、次々に登ってくるハイカーと行き交った。疲れた足を叱咤して休むことなく下り続け、午後3時50分に中房温泉に帰着した。期待していた白銀の槍穂高ではなかったが、上々の天気の下、薄く雪化粧した北アの峰々を眺められただけで大満足だ。
行動時間 9時間45分
後記
問題の修理中のGPS代替え機は、駄目元でもう一度だけトライすることにした。工場出荷時の状態にリセットし、メモリーを全消去。さらにバッテリーを充電式Evoltaからアルカリ電池に変えて臨んだが、結果はやはりNG。スタートから1時間ほどログが取れただけで、そこで機能停止していた。もう完全にギブアップ。顛末を代理店に連絡し、一刻も早く私のGPSの修理を終えてもらおう。
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