塔ノ岳  神奈川県 1491m    
  
201112

 今年の山歩きは近場の丹沢から始めることにした。帰省のラッシュにかかるタイミングなので遠出は避けたかったのが一番の理由だ。それともう一つ、山を再開した2年前に3時間がかりで登った大倉尾根をどれだけ時間短縮できるのか試してみたかった。

  
自宅から登山口の大倉までは車で1時間ちょっと、午前6時半に到着した。この時間では戸川公園の無料駐車場はクローズしているので、\700を支払って有料パーキングに駐車した。身支度を整えて650分に出発。自らに課したタイムレースのプレッシャーが無意識のうちに我が身を駆り立てる。歩き始めは出来るだけゆっくりのペースの原則を忘れて早いピッチで歩いたせいか、やたらに息が切れるし、すぐに汗だく状態になってしまった。ぜいぜいはぁはぁと自分では相当頑張っているつもりなのだが、どうやら空回りしているらしい。体がいつもより重く後ろに引っ張られる感じがする。どうも調子が悪い。年末年始の暴飲暴食のせいだろうか。観音茶屋手前で大きなストライドの若者に追いつかれ、さらにその先で私と同年代と思しきトレランのおじさんにも抜かれた。このご仁はしんどい階段でも早いペースで登っていたが、平らな部分では駆け足になって、あっという間に見えなくなってしまった。左手に顔を覗かせてきた雄大な白銀の富士山もそっちのけ。今日は時計ばかりが気になる。


            冬枯れの気持ちの良い尾根道                                   階段に次ぐ階段はしんどい




 
必死に歩いているつもりなのだが、堀山の家近くで続けざまに登山者スタイル3人に追い越されてしまった。自分が追い抜くのは70歳を過ぎたと思われるお年寄ばかり。山歩きはレースでは無いし、タイムを競っている訳でもない。しかし今日は別だ。どうも狂気の競技モードに自らを追い込んでしまったようだ。必死の大汗を流しているのに花立山荘の手前でまた一人に追いつかれた。同年代、かつ私に似て小柄なメタボ体型にも関わらず足取りは軽やかだ。悔しいがこちらの足取りは重い。辛い階段を登り終えて塔ノ岳山頂には95分に着いた。所要時間は2時間15分。トレラン氏は当然としてそれ以外の人達も軽く2時間を切っているのだろう。それに引き換え自らの記録はどうか。標準コースタイムは3時間半なので短縮率64%2年前は3時間だったことを考えると自分としては頑張った方だと思いたい。しかし体調が万全ではないとはいえ年齢的にはそれほど離れていない人達に軽々と追いつかれたことはショックだった。

 気持ちを切り替えて素晴らしい新春の景色を楽しむ。東京方面を展望すると高層ビル群の後方に何やら棒のようなものが一筋屹立している。山から見る初めてのスカイツリーだ。このアンテナ塔から眺める関東の山々の風景は素晴らしいに違いない。


          山頂は昔よりさらに禿げたような。。。                                       大山方面



南アルプス方面




何度見ても感動の富士山



東京の高層ビル群とスカイツリー



 
競技モードは登りだけ、ここからお気楽モードに気持ちを切り替えてのんびり表尾根を縦走することにした。朝方は凍っていた道は日向では、どろどろ状態になっているので気をつけながら木の又小屋を目指して下る。新大日からは所々鎖の設置されたやせ尾根になる。時折すれ違うハイカーは申し合わせたように男女、年齢を問わず単独なのはなぜだろう。正月早々一人で東京近郊を黙々と歩く人種には何らかの共通点があるのかも知れない。広々とした三ノ塔の頂上には今日初めて見るまとまった数のハイカー達が休んでいた。私もここのベンチで真白き富士の峰と冬枯れの山々を眺めながら昼食をとることにする。


                行者岳山頂                                              三ノ塔を展望する



もう一度富士山を振り返る


 
山コースは三ノ塔尾根だ。過去丹沢には数えきれないほど来ているが、この尾根は始めてなので一度は歩いて見たかった。杉林のなかを直線的に下っていく。急な下りも無いし、大倉尾根のような木階段も少ないので格段に歩きやすい。それに杉の大木で日陰もあるので暑い季節はカンカン照りの大倉尾根よりはるかに楽だろう。途中大声でおしゃべりしながら登ってくる外人さんの他は行き交う人もなく林道に出た。戸川公園の吊り橋を渡って1215分に駐車場に帰着。5時間ちょっとの半日ハイキングであったが、収穫もあった。何と言っても「同年代にも関わらず私なぞ足元にも及ばない健脚な人達が多い」という事実はよい刺激になった。山歩きは「楽しく安全に」が基本だし、競技では無いので時間を競う意味は全くないが、自らの体力チェックという観点では、たまには時計を意識する山歩きも良いかも知れない。来年の正月には2時間が切れるようせいぜい精進しよう。


行動時間  7時間40分
歩行時間  7時間10分

 
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