鳥甲山    2038m    二百名山     
      

2012626日(火

 梅雨前線が少し南へ遠ざかって新潟以北は快晴との予報。先々週の八海山に続いて越後の山を歩くことにした。本命は佐武流山だったのだが、ここはかなりの長丁場。夕方までに帰宅せねばならない事情があったので、今回はそのお隣の鳥甲山を目指すことにした。ちなみにこの山は、新潟県境に接しているものの、その所在地は長野県栄村にある。

 例によって深夜に自宅を出発、関越の塩沢石打
ICを降りてから一般道を延々と走る。それにしても苗場山を挟んで東と西ではえらい違いだ。山向こうの華やかなスキーリゾートとは対照的に、こちらは鄙びた温泉宿が点在するどこまでも山深い地なのだ。対向車とのすれ違いにも難儀する細い山道をくねくねと辿り、午前6時、平家落人の里として知られる秋山郷に着いた。

 鳥甲山には登山口が屋敷とムジナ平の二つある。マイカー利用の場合、前者は路上駐車となってしまうので、駐車スペースのあるムジナ平を起点とすることにした。ここから山頂へと向かい、その後は屋敷へ下山、林道経由で出発点に戻るという周回コースを歩く。ムジナ平には
2台の車があったが、出発の準備をしている間に走り去ってしまった。今日も一人占めの静かな山になりそうだ。

 
615分、車を後にした。登山口の周辺が深い下草に覆われていたので、のっけから道を探してウロウロしてしまった。標高1000mのこの辺りは短い夏を謳歌する虫達の天下、凄まじい虫の合唱に熊鈴の音もかき消されてしまう。ブナの巨木を縫う登山道は胸を突く急登だ。背後から照りつける陽光も手伝って早くも汗びっしょりになる。間もなく尾根筋へと出た。さわやかな風が心地よい。


             ムジナ平の登山口                               ブナ林を行く



            奥志賀方面の眺め                                 小水ノ頭


 最初のピークを越える手前で鎖場が現れた。ここが小水ノ頭だろうか。登山道脇にはコイワカガミや釣鐘状の可憐な花をつけたアカモノが群生している。急登続きに辟易するが、今が真っ盛りの花々に癒されながらどんどん高度を上げて行く。そのうち大きなピークが出てきた。
1944mの白嵓ノ頭だ。ここからようやく山頂を一望することが出来るようになった。


最初の鎖場



             白嵓ノ頭                      ここから2.6kmもある


 白嵓ノ頭からは一旦
100mほど急下降する。この辺り尾根も痩せていて足場も悪い。鎖やロープなど総動員の難所だ。そのうち両側がすっぱり切れ落ちたナイフリッジが出てきた。これがカミソリ岩だろうか。戸隠の蟻の戸渡りを彷彿とさせるが、距離も短いので鎖に摑まることも無くスタスタと通過した。


赤嵓ノ頭が見える



              鎖場が連続する                             結構高度感もある



              山頂が見えた                                カミソリの刃?


 鞍部からいよいよ山頂に向けて最後の急登だ。ガスがどんどん上がってきているので気が急く。白砂の分岐で屋敷方面への道を別け、
5分ほど歩いて山頂に着いた。時刻は910分。登山口から2時間55分かかった。残念ながら山頂からの展望は今一だ。全体的にガスがかかり、視界が開けているのは奥志賀高原方面のみ。すぐ近くにあるはずの苗場山ですらその姿は拝めない。


            山頂名が消えかかっている                            三角点



右端は岩菅山だろうか



奥志賀高原方面(スキー場が見える)


 早目のランチとするが、食事の間中、虫が顔の周りを飛び交い煩いことこの上ない。虫に追い立てられるように、
20分ほど休んだだけで再びザックを背に歩きだす。白砂ノ分岐へと戻りここから赤嵓ノ頭へと向かう。


              苗場山は雲の中                             白砂ノ分岐


この辺りの尾根筋からの景観は素晴らしい。登って来た尾根の全体像が見渡せるし、眼下には緑の絨毯上に秋山郷の集落が点在しているのが一望できる。足元には色とりどりの花があって楽しませてくれる。


              秋山郷を見下ろす                           鳥甲山を振り返る



正面は佐武流山


 今日の鳥甲山は一人占めかと思いきや、赤嵓ノ頭の先で二人組と行き合った。赤嵓ノ頭を山頂と勘違いしていたようで実際の山頂はまだ先と伝えるとがっくりきていた。

 細かなアップダウンを繰り返しながら高度を下げる。
1460mのピークからは気の抜けない急下降だ。里目がけて一気に下る。ダケカンバからブナや白樺へと植生が変化してきた。広葉樹主体の山なので秋には紅葉がさぞかし見事だろう。やがて雪崩止めらしき巨大な構造物が出てきた。ここにはまだ高さ5mはあろうかという雪のブロックが残っていた。


            ブナの新緑が美しい                               雪崩止め?


 雪崩止めを過ぎると、さしもの急坂も緩やかになって、作業道も兼ねているらしい幅広の登山道をのんびりと下る。やがて舗装された林道に出た。先ほどの二人組の車が路肩に駐車してあった。

 ここからは眼にしみる緑を愛でながらの林道のぶらぶら歩きだ。途中、道端を流れる沢水で顔や手を洗いさっぱりしたが、それも束の間、最後の約
150mの登り勾配で、えっちらおっちら歩いているうちにまた大汗をかいてしまった。午後1時過ぎに車に帰着。

 着替えを済ませて車を出す。切明温泉を経由して中津川の対岸へと回り、鳥甲山の全貌をしっかりと目に焼き付けてから帰路についた。

行動時間  6時間50
歩行時間  6時間20分

出合った花達


                 アカモノ                                 コイワカガミ



              ハクサンチドリ                              ミツバオウレン



               シラネアオイ                                   ?



鳥甲山の全貌


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