天狗岳  長野県 2646m   二百名山

  
 
20101211

 先週の御座山で真正面に聳える白銀の八ヶ岳を見て矢も盾もたまらず登りたくなってしまった。週末の天気は今一つすっきりしないが、大きく崩れることはないようだ。「Go」に決めたものの、今シーズン初めての冬山であるし、新調した冬用登山靴が足に合うかどうかも心配。と言う訳で、慣らし運転を兼ねて無難なところで昨冬も登った天狗岳を目的地にした。足回りに関して実はもう一つの試みがある。昨シーズンは登山口までの雪道のアプローチではスリップしたり、チェーンを着脱したりでえらい苦労してしまった。これに懲りて今年は奮発してスタッドレスタイヤに履き替えることにした。これでアプローチが少しは安全で楽になるはずだ。

 昨年は夏沢鉱泉から天狗岳をピストンしたが、同じコースでは新味に欠けるので今回は唐沢鉱泉から西尾根を上がって西天狗岳、東天狗、そして中山峠を経由して唐沢鉱泉へ下山するルートをとることにした。

 夜明けに登山口に着くよう計算して未明に自宅を出発。八ヶ岳の麓の別荘地を過ぎる頃から雪が現れて、フォレスト
CC三井の森を過ぎると完全に雪道となった。唐沢温泉入り口からは傾斜もきつくなってくるが、まったく問題なく唐沢鉱泉に着くことができた。大枚投資した甲斐があったようだ。予報によれば気温は高めとのことなので、上半身は半袖のアンダーにメリノウールのフリースのミドルとアウターといった2.5レイヤー構成、下半身は下着(短パン)に厚手のズボンの1.5レイヤーと薄着にしてみた。ただし万一に備えて羽毛服とかオーバーズボンはザックに詰めていく。


             唐沢鉱泉の駐車場                         新雪がトレースを覆っている



 
645分に出発。登山道には新雪が積もっていて小動物以外の踏み跡は見当たらない。最後に人が通ったのはいつなのだろうか。ごろごろした石の上に新雪が被っているのでともかく歩きにくい。樹林帯の中なので時折枝に積もった雪が落ちてきて頭を直撃するのも疎ましい。アウターのフードを被って雪の首筋への進入を防ぐ。西尾根の稜線に近くなると次第に吹きすさぶ風の音が大きくなってきた。クラストして滑りやすいところはそう無いようだ。つぼ足のままでも行けそうだが、吹きさらしの稜線でアイゼンを付けるのは大変だ。結局樹林帯のなかで装着することにした。稜線の木々は次第に背か低くまばらとなり、やがて第一見晴台に着いた。ここから赤岳方面の雄大な景観が大きく開けてきた。雲とも舞い上がった雪煙ともつかないガスの流れる速さが風の凄さを物語っているようだ。正面には西天狗岳が高く大きく聳えている。第二見晴台までは僅かな時間で、ここを過ぎると鞍部へ向けていったん下降し、最後の登りになる。



             ガスが流れる第一展望台                          下界は晴れている         



            第二展望台から赤岳                            西天狗まであと一息



 西天狗岳頂上直下の登りはかなり急であり、所々凍結しているので慎重に足を運んだ。どこを登っても構わないようなものだが、一応ペンキのマーキングの指示に従って行く。山頂直下のはい松地帯は吹き溜まりになっていた。膝までの雪をラッセルしてようやく山頂に立った。昨年の年末以来
の西天狗岳登頂だ。周囲の景色をカメラにおさめた後は、凄まじい西風に押されるように東天狗へと向かう。東天狗の頂上には登山者一名がいたが、どうやら西天狗に向かう気はないらしい。中山峠方面へさっさと下っていってしまった。風に耐えつつ再び吹き溜まりの雪をかけわけて鞍部へと下る。舞い上がった雪のつぶてが顔を直撃して痛い。少しの登り返しで東天狗の頂上に着いた。昨年は年末とあって多くの登山者で賑わっていたが、今回は独り占めだ。烈風の通り道の根石岳への鞍部には相変わらず雪はついていない。さらに南を見渡せば、やはり八ヶ岳連峰の盟主、赤岳の存在感は群を抜いている。今冬は是非あの頂きに立ちたいものだ。



             西天狗山頂                                東天狗はガスで見え隠れ



       東天狗へは僅かな距離            自分のトレース


東天狗から西天狗



硫黄岳、赤岳、阿弥陀岳



北八ヶ岳方面



 
ゆっくり景色を楽しみたいが強風で煽られる山頂には長居はできない。赤岳に別れを告げて中山峠へ向けて下山開始。右側が切れ落ちた稜線を時々吹き溜まりにはまりながら下っていく。ここで本日初めての登山者、2パーティ4人と行き交った。中山峠からは樹林帯のなかを一気に下り黒百合ヒュッテに着いた。入り口にはあまり登山者らしくない装いの女性が二人佇んでいたが、いったい何をしていたのだろうか。軽く会釈してそのまま下り続ける。途中で10名ほどの若い男女のパーティを追い抜いて登山口には12時半に帰着した。半日程度の行程だったが、土曜日にも関らず静かな雪山歩きを楽しむことができた。おろしたての登山靴も何とか足にフィットしてくれそうだ。もう一つの足回り、スタッドレスの威力は流石で終始安定して下ることができた。途中でリアにチェーンを付けたボックスカーが立ち往生していているのを見て改めて投資効果を確認したのだった。この車が安全圏に下りるまで1時間ほど待たされてしまったが。



         中山峠で強風から開放されやれやれ                      黒百合ヒュッテ



行動時間   6時間
歩行時間   殆ど行動時間に同じ


 Map  Track
唐沢鉱泉が谷合のせいか、測定結果が
かなり乱れている
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