立山BC    3003m 富山県        
      

20165月8日(日)

 大型連休もこの日が最終日。サンデー毎日の私には余り実感が無いが、現役バリバリの群馬のKさんにとっては晴天が約束された貴重な休日。先週の白鑓に引き続き、再びKさんと共におそらくは今シーズン最後となるBCに向かうことになった。目的地は板納に相応しい、山スキーのメッカ立山。

 
K師匠肝いりのコース案は本命が御前谷、状況が許せば西面ルンゼか御山谷も抱き合わせと、体力酷使も厭わず盛り沢山。ところが、一番懸念される御前谷下部の雪付き状況が、室堂の山岳警備隊に確認しても今一つ分からない。結局、時間が読めないので御前谷一本に絞ることになった。結果的には二度の藪漕ぎを強いられたものの、ベストタイミングで出来立て極上ザラメを心行くまで堪能し今シーズンを大満足のうちに終えることができた。


閑散とする扇沢 新緑がここまで登ってきているのが印象的


 午前
6時に扇沢に集合。天気に恵まれた連休最終日なのでさぞかし込み合うだろうと覚悟していたが、無料駐車場には空が目立ち、ちょっと拍子抜け。チケット売り場、改札前の行列もGW期間中とは思えないほど閑散としている。


ロープウェイから眺める乗越地点(鉄塔上部)の様子 下の藪が見た目以上に煩かった


 7
30分、お笑い芸人風名物駅員さんに見送られ始発のトロリーバスに乗り込む。ロープウェイから御前谷からタンボ平への乗越し地点をじっくり観察。ブッシュが目立つが少なくともタンボ平側は何とか雪を繋ぐことができそうだ。なお、黒部湖までの滑走はダム周辺の残雪状況から見て論外と思われ早々に断念した。

 室堂ターミナルで腹ごしらえし、
930分にシール登行開始。既に多くの人達が砂糖に群がる蟻のように一の越へと向かっている。7割が登山者、残りがスキーヤーとボーダーといったところだろうか。強い日差しの下、中には半袖で登っている人もいる。いかにも春山の風情だ。


快晴の空の下、立山の眺め



一の越へハイクアップする私(Kさん提供)



西面ルンゼ


 歩きながら時折チェックしていた西面ルンゼから単独スキーヤーが滑り降りていてくるのが見えた。斜滑降が多く、かなり慎重に滑っている。後で当人に伺うとまだ雪が緩んでおらず、特に上部ではえらく苦戦したとのこと。

 
1時間程で一の越に到着。ここで休憩している間に何人かのボーダーが御山谷にドロップしていった。見るからに気持ち良さそうな滑り。こちらは南向きの斜面なので、先ほどの西向きルンゼと比べれば雪面は十分に緩んでいるようだ。


スキーヤーやボーダーで賑わう一の越



ボーダーが次々にドロップ


 我々はシートラーゲンに切り替えてハイクアップ続行。見上げる雄山への登路には殆どの部分で夏道が露出しているのでブーツのまま登り上げることにする。崩れやすい石だらけの急斜面には、所々に青氷が残っているのでスリップしないよう慎重に足を運ぶ。


山頂への登路には雪がほとんど無いが、、、



一部にアイゼン無しではちょっと嫌らしいところもある



御山谷の様子



大日岳をバックに登行するKさん



夏道を行く私 山頂までもう一息(Kさん提供)


 
300mの高度差にたっぷり1時間かけ、正午丁度に雄山山頂に立った。社務所前にはスキーヤーがたむろして滑降の支度をしている。そのうち何人かは山崎カールに向かって行った。


雄山山頂に立つKさん



奥大日岳&大日岳



つい1週間前に痛ましい遭難があったとは信じられない穏やかな山並み


 眼前に広がる御前谷の大斜面はきれいなものだ。面ツルで一本のシュプールも残されていない。最高点にある祠で安全を祈願した後は早速滑降の準備を行う。

 まず切り込み隊長の
Kさんが突入。ドロップポイントは半ば雪に埋もれた鳥居の前だ。1245分、気合の掛け声とともに山頂直下の急斜面に飛び込んだ。華麗なジャンプターンを繰り返しながら、どこまでも落ちていく。標高差150mほどを一気に滑ってようやくストップ。


鳥居の前からこのスロープにドロップ



滑降開始!



どんどん落ちるKさん


 次は私の番だ。居並ぶギャラリーの前でみっともない転倒だけはすまいと緊張。しかし、どうやら思い過ごしだったようで雪質は私の経験した中では今シーズンベストのザラメ。雪質も安定し、急ブレーキやエッジが引っ掛かることもない。気持ちよくターンを繰り返しながら私もどんどん落ちていく


私も落ちる(Kさん提供)



同上(Kさん提供)



ここまで一気に降りて一旦停止


 その後も滑降を続け、標高
2650mまで高度を下げたところでランチ休憩をとった。この日は余程条件が良かったと見えて、雪は多少重くなったものの2300m辺りまで快適な滑降が楽しめた。


さらに落ちる


 ここからタンボ平に向けて長いトラバースの開始。
2150mで最初の支尾根を越え、合計4つの支尾根をトラバースしていく。流石はK師匠。最後の支尾根は鉄塔上部に出るというセオリー通りの完璧なルート取りだ。


乗越ポイントへ向かってトラバース開始




最後の支尾根越えに10mほど登り返し



鉄塔上部の藪漕ぎ 根曲竹に滑ってもがく私(Kさん提供)


 最後の支尾根を越えてからタンボ平に降りるまで途中に雪切れが
2か所あり、根曲竹が密生しているブッシュを突破しなければならなかったが、ここでもKさんの嗅覚がものを言い最短距離で雪を繋ぐことができた。後はロープウェイの下を藪をよけつつ滑り降りるだけ。午後215分、満ち足りた気分で黒部平に無事帰り着いた。


行動時間  
4時間45


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