2018年11月16日(金) 例年であれば、スキーの初滑りに備えて余念がないこの時期、残念ながらライブカメラに映っているのは地肌むき出しの山ばかり。紅葉が終わった後も雪の無い高山は、かつて訪れたアンデスの荒涼とした無味乾燥の岩山にも似て趣がない。そんな時は近場の低山で体力つくりに励むに限ると、半世紀ぶりに丹沢を南北に貫く主脈を歩いてみた。 電車とバスを乗り継いで焼山登山口に着いたのは午前8時前。長丁場なので遅いスタートは避けたいが、公共交通機関頼りなので仕方ない。1分1秒も無駄にしまいとバスを降りたら速攻で歩き出す。時刻は8時ちょうど。
焼山への登山道は深いU字溝の中に付けられた石畳の道。その昔ここを歩いた時は、大雨で小川のようになっていたことをふと思い出した。埋もれていた記憶はきっかけさえあれば蘇えるらしい。
石畳が終わるとやがて明るい尾根筋へと出た。9時30分、焼山山頂に到着。見晴らしのタワーは、立ち入り禁止のロープで囲われていたので登ることは断念。少し遅れて後続の若者がやってきた、彼とはその後、相前後しながら縦走の旅を続けることになる。
やや単調ながら広くて快適な登山道。落ち葉の絨毯を踏みしめながら、少しずつ高度を稼いでいく。焼山の次のマイルストーンは黍殻山。うっかり山頂への分岐を見落とし巻いてしまったため、次の分岐点から逆戻りする羽目になってしまった。黍殻山は、大掛かりな雨量計が設置されているのみの素っ気ない山頂。眺望も無いのですぐに回れ右し姫次へと向かった。
先般の風台風、24号の置き土産がここにもあった。無残にも根本からへし折られた大木がまだ青い葉を付けたまま、登山道を塞いでいる。こうした惨状は姫次から先、頻繁に目にすることになる。何十年、何百年と生き抜いてきた大木を容赦なくなぎ倒す風とはどれほど凄まじいものなのだろうか。
姫次を過ぎると、愈々丹沢最高峰の蛭ヶ岳への登りに差し掛かる。ここはかなりの急坂、しかも足にえらく堪える段差の大きい木階段の連続だ。
12時30分、計画より30分遅れで蛭ヶ岳山頂に立った。いつの間にか湧いてきた雲に陽光は遮られ、風当りも強く寒々とした山頂。余り居心地は良くないが、ここで後半戦に備えて腹ごしらえをしておく。
蛭ヶ岳から先は勝手知ったる稜線漫歩。しかし早い日没時刻を意識すると余りのんびりとはしていられない。そこかしこの泥濘が煩わしいが、泥跳ねを気にせずペース優先で歩き続ける。
丹沢山は殆ど素通り。殆ど人と出会うことの無かった前半とは打って変わり、大勢のハイカーと行き交いながら先を急ぐ。2時55分、本日最後の急坂を登って塔ノ岳に到着。
天気は今一つ冴えないが、空気は澄み切っているとみえて、下界の景色がクリアに見える。街の夜景を眺めながらのナイトハイクも悪くないだろうが、本日の目標は日没前下山。何とか陽のあるうちに下山しようと、残る体力を振り絞ってペースアップ。
最後はトレランの山ガール二人と一緒に大倉のゴールへと駆け込んだ。時刻は16時45分。力及ばず日没を迎えてしまったものの、目標にしていた16時52分発渋沢行きのバスにはぎりぎり間に合った。総距離25Km、累積高度2400mを平均歩行速度2.9Km /hで歩き通し、完全燃焼した一日でした。 行動時間 8時間45分 |