谷川岳主脈縦走         百名山
 

2014年9月30日(土)

 まだ10月の声も聴かないというのに、山は早くも紅葉真っ盛り。谷川岳の稜線付近では先週末の段階でもう見頃を迎えたらしい。花の命も短いが紅葉も然り。うかうかしているとあっという間に赤錆と化し枯れてしまう。早く腰を上げねばと、少々焦りだした折も折、山スキーの師匠Kさんから谷川岳主脈縦走のお誘いがあった。まさに渡りに船、二つ返事でご一緒させてもらうことになった。ちなみにKさんとは無雪期初コラボだ。

 今回の縦走スタート地点は群馬県側の谷川岳ベースプラザ。新潟県側の火打峠よりも、250mほど標高の低い地点からのスタートとなるが、蛇紋岩の多い西黒尾根を下って尻餅をつくよりマシだろう。また下山時間が読めないことから、公共交通機関は使わないことにした。平標山の下山口にKさんの車をデポ。登山口の土合へは私の車で向かった。

 午前4時過ぎにベースプラザをスタート。西黒尾根を登るのは実に9年ぶりだ。Kさんは先頭を私に譲ってくれたので単独慣れした私にとってはマイペースで歩けるのが有難い。ヘッデンを頼りに暗闇の中、胸を突く急登が続く。


久しぶりの西黒尾根


 歩き始めから1時間もすると、次第に空が白み始めた。ヘッデンを消灯して間もなく樹林帯を抜け出た。朝焼けをバックに武尊山を初め、上州の山々のシルエットが美しい。


夜明けとともに樹林帯を抜け出た



鎖場を登るKさん



今一つパッとしない紅葉



先行者に追いついた



岩場を登る私 山頂までもう一頑張り


 急登はまだまだ続くが、ダイナミックな景観が背中を押してくれる。スタートからちょうど3時間で谷川岳トマの耳に立った。吹き付ける風が冷たいので余り長居はできない。記念写真を撮ったらすぐに回れ右。肩の小屋まで下り、小屋前のベンチで燃料補給の休憩をとった。


一つ目のマイルストーンクリア


 次の目的地はオジカ沢の頭。実は、ここまでは期待外れの紅葉に内心がっかりしていたのだが、谷川岳の西面に広がる素晴らしい紅葉を目にしてネガティブイメージは完全にリセットされた。赤、橙、黄色の見事なパッチワークと笹の緑が絶妙な組み合わせだ。中でも注目すべきは鮮やかな赤。赤色を発色させるのは、健康食品でお馴染みのアントシアニンとか。この物質は紫外線が強くなるほど活性化するらしい。強い西日が美しい赤色を演出する影の主役ということなのだろうか。


谷川岳西面の紅葉



同上


 谷川岳から万太郎山までの区間は、昨年3月にKさんとご一緒したバックカントリーが記憶に新しい。その際に通過したルートを一つ一つ反芻しながら、雪の無い稜線歩きを楽しんだ。





 縦走路である以上、当然と言えば当然だが、アップダウンの繰り返しがある。ナントカの頭と称するピークがウンザリするほど出てくるのだ。オジカ沢ノ頭の後は、小障子ノ頭、大障子ノ頭と言った具合。そうした数多のピークを越え、万太郎山には9時50分に立った。6時間近くかけて、ようやく縦走路の中間地点に着いたことになる。


オジカ沢ノ頭から万太郎山を望む






万太郎山山頂より仙ノ倉山を望む まだまだ先は長い


 この頃になると平標山方面からのハイカーと行き合うことが多くなった。中には逆コースで主脈縦走する見るからに健脚そうな単独女性もいた。


万太郎山を振り返る BCではこのスロープを滑降


 ここから先はKさんにとっても私にとっても初体験の区間だ。両側ともにスッパリ切れ落ちた痩せ尾根を慎重に下り、この縦走路上の最下点、毛渡乗越へと向かう。


痩せ尾根を行く私



エビス大黒ノ頭へ


 エビス大黒ノ頭は、七福神のふっくらしたイメージとは程遠い険しいピークだ。主脈縦走BCを目論むKさんも上州側の崖、越後側の急斜面を目にし、これはスキー向きではないとの印象を持ったようだ。


中々険しいエビス大黒ノ頭への道



エビス大黒ノ頭より仙ノ倉山を望む



遥々越えてきた山並みを振り返る


 そのエビス大黒を越え、仙ノ管山との鞍部へ下っていると、トレランの若者が疾風のように抜き去って行った。曰く馬蹄形から主脈を平標山まで縦走し、平標新道を下るのだそうな。人間業とは思えない超絶スタミナには脱帽。


縦走路にはこんな奇岩越えもある


 12時55分、多くのハイカーで賑わう仙ノ倉山の頂を通過。BCであれば巻いてしまえるのにと思いつつ、南側のピークを忠実に越える。13時45分、縦走路最後の頂、平標山に到着。


仙ノ倉山から平標山を望む


 この辺り一帯はKさんにとっては庭同然の山スキーゲレンデだ。そんなKさんとのBC談義に花を咲かせながら松手山への稜線を下って行く。最後は疲れた足には鞭打っての激下り。15時50分、駐車場に無事帰着した。


松手山へ



振り返ればこんな紅葉も


 久しぶりに12時間近く歩き詰めで心地よい疲労と達成感。天気とパートナーに恵まれ、初秋の谷川岳を存分に味わい尽くすことができた。Kさん、お誘い感謝です。

 唯一の気掛かりはまたもや発生したGPSトラブル。自分のは修理に出したので、今回使用したのは代替え機。不可解なことに、この代替え機も衛星信号をロストし、仙ノ倉山周辺のトラックがあらぬ方向へ飛んでしまった。Kさんが持つ同じ機種のGPSでも別のところで信号ロストが生じていた。この機種共通のバグか、それとも、本来が軍事目的のGPS、緊迫する隣国との情勢に絡んで何等かの意図的操作や妨害行為でもあったのだろうか?


行動時間 11時間50分


 
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