谷川岳BC   新潟・群馬県 1963m            百名山
 


2017年12月23日(土)

 群馬のKさんのお誘いを受け、一年ぶりの谷川岳BC。ベースプラザの案内に依れば、天神平の積雪量は100cmと少ない。となると今回予定している熊穴沢や西黒沢は間違いなく藪地獄。Kさんにとっては自分の庭のようなものなのだろうが、私にはジャングルも同然。昨シーズンを上回る激藪の洗礼を浴びることとなった。加えてマンホールだらけの沢下りのおまけつき。昨年に引き続き、いたいけな老人虐待企画にまんまとハマってしまったのだ。

 巻き添えを食らったのは、東京から来られたLさん。たまたまハイクアップから我々と行動を共にし、結局最後までそんな苦行にお付き合いして頂いたのだった。

 午前8時30分始発のRWで天神平スキー場へ。ゴンドラから眺める西黒沢はその名の通り黒々しており、明らかに藪は埋まっていない。この様子を見ながらも、ここを下って最悪進退窮まったら、田尻尾根を登り返して逃げればいいやと相変わらずご極楽トンボの私。。。

 そんなことを考えているうちにビューテラスに到着。さらにリフトに乗り継いで天神峠まで労せず運び上げてもらった。天気は、予報の通りであまり芳しくない。山頂付近はすっかり雲に包まれている。


天神峠からの眺め 山頂付近は雲の中


 例によって天神尾根を鞍部まで滑り降り、そこから壺足、シートラでハイクアップをスタート。時刻は9時20分。しっかり踏み固められたトレースがあるので楽をさせてもらえる。このトレースは穴熊沢ノ頭の急下降部分もうまく巻いてくれていた。


シートラでハイクアップするKさん




西黒沢を俯瞰 沢割れの状況は行ってみなければわからない。。。


 斜度が急になる前にアイゼンを装着。樹林帯から吹き曝しの稜線に出ると流石に風が冷たい。途中、風を避けられる岩陰で結局使わなかったシールを剥がすなど滑降準備をしておく。視界は次第に悪化し、肩の小屋辺りでは、前を行く登山者がやっと視認できる程度。トマの耳で記念写真を撮ったら早速滑降準備にかかる。


アイゼン登行するKさん 周囲は徐々に視界不良に



岩陰で滑走準備をする私



一応ピークは踏んでおいた


 11時55分、滑降開始。雪はやや硬くパックされている上、時にはパウダー、時にはモナカと目まぐるしく変化する。天も地もわからない空間識失調状態なのでまともな滑りにならない。振り返るとLさんも苦労されているようだ。一方、Kさんは暗視ゴーグルでも付けているかのように、視界不良をものともせずスキーを自在に操っている。


トマの耳から滑降するKさん



同私



標高を下げると視界が戻ってきた


 天神尾根が痩せてくると視界が回復してきたが、裏腹にコース取りに難が出てきた。西黒沢側は崖、反対側は藪なのでトレース上を滑り降りるしかない。凸凹が酷い上に登山者にも迷惑なので、すぐにギブアップ。結局熊穴沢避難小屋まで板を担いで降りる羽目となった。

 半ば雪に埋もれた小屋脇で、行動食を摂りながら暫しの休憩。ここから愈々沢滑降のスタートだ。Kさんは立木やブッシュの密生する急斜面を華麗な小回りで果敢に攻めている。続く私は少々重いパウダーに腰が引けながらマイペースで滑降。Lさんはこうした地形にはマッチしそうもない長尺のスーパーファットをやや持て余しておられる様子。


滑降開始したKさん



同私 ギャラリーの視線が背中に



滑降ルート検討中のKさん



藪を縫って滑降するKさん



藪は無いがえらい急斜面


 私はバランスを崩したり藪に絡まれたりで何度かコケ、雪まみれ。天神尾根の稜線からはトラバース気味に進み、熊穴沢源頭部を見下ろす支尾根に出た。ここから沢床までは藪だらけで相当に急。

 Kさんは、下が見えない殆ど崖と言っても良い急斜面、かつフォールラインと45度の角度で付いた狭いスロープを巧みなギルランデで滑り降りて行った。とてもそんな真似はできない私はもう少し斜度の緩い別斜面を選択。藪と格闘しながら時間をかけて滑り降りた。


熊穴沢源頭部へ滑り込むKさん



私 緩く見えるが私にとっては急斜面


 その後暫くはヒドンホールに気を付けながら沢床をゆるゆると滑り、西黒沢との合流点に到着。ここには西黒沢を下ってきたシュプールがあった。西黒沢はゴウゴウと水流の見えるマンホールだらけ。穴を避けて左岸、右岸を目まぐるしく渡りながら下流を目指していく。


西黒沢と合流



この辺りは沢割れしていないが、、、



すぐにこんな状況に


 スノーブリッジが形成されていない渡渉もあり、スキーを外さねばならなかったことも度々。水際の急斜面のトラバースや氷化した岩場をアイゼンで突破したりと、アトラクション満載だ。最後はツタが絡みつく藪をクリアし、スキー場の田尻沢下山コースに合流。


沢割れしているので渡渉の連続



同 後方はLさん



板を担ぐことも度々



アスレチックの連続



ここはアイゼンを装着して下降 落ちればドボン



積雪量、あと1mは欲しい



RWのゴンドラが見えても先は長い


 ガイド宜しきを得て、立ち木に激突したり、水浴びをすることもなく、何とか無事に下山することができた。古希間近の年寄りでも、こんな過酷なアスレチックを楽しめた(耐えられた?)と達成感は一入。Kさん、今回も感謝です。Lさん、これに懲りずまた山スキーをご一緒しましょう。


行動時間  5時間55分

Equipment  Vector V6BC 163cm/Scarpa F1Evo


  
Map
 Track
Weather  Map 
  トップ                              山歩き 
inserted by FC2 system