谷川岳BC   1963m 群馬・新潟県           百名山 
 


2017年1月7日(土)

 新春BC第一弾は、快晴が約束された谷川岳。最近いつもご一緒させて頂いている群馬のKさんが案内役だ。彼にとってこの山域は自分の庭同然。正月早々にも同じコースを踏破しておりとても心強い。

 午前6時過ぎにベースプラザに着くと、三連休初日にも関わらず、客の姿はまばらで閑古鳥が鳴いている。どうやらロープウエイの運転開始時刻が、8時半から7時に繰り上がったことは十分に周知されていなかったようだ。

 始発のゴンドラに乗り込み、天神平へと向かう。上空から眺める西黒沢は藪が目立ち、沢が完全に埋まっているかどうか微妙なところ。積雪量がまだ十分とは言えない現在、この沢経由の下山には相当慎重な判断が必要なようだ。


         ゴンドラからの西黒沢の様子                        抜けるような青空の天神平



少し雲がかかっている谷川岳


 7時40分、リフトの稼働を待たずに山頂駅からハイクアップを開始する。ゲレンデ脇をジグザグにシール登行。年甲斐もなく前日に神楽で藪スキーの特訓をやり過ぎたせいか、鉛を引きずっているかのように足が重い。後発の登山者にどんどん追いつかれてしまい、軽快なKさんをお待たせして申し訳ない限り。


シール登行するKさん


 熊沢ノ頭の手前でアイゼンに換装し、スキーを背負った。足元は、超軽量ながら構造上の欠陥から結局使い物にならずお蔵入りしていたCampのTec対応アイゼンだ。箪笥の肥やしにしておくのも勿体ないので、松本のブンリンさんに相談したところ、トウコバの金具をヒールレバーからのベルトで締め上げるという改良を施してくれた(写真ご参照)。この対処方法は見事に奏功、最後まで全く緩むこともなく確実に雪面をグリップすることができた。山道具は工夫次第で使い勝手が格段に良くなるものだと改めて実感。なけなしの投資が無駄にならずに済んだことも有り難い。


左側のアイゼンは同じアルミ製アイゼンだが別物。結果的に同じ構造になった。二重環よりカジタックスの方がワンタッチで済み利便性が高い。




シートラーゲンに切り替える



          熊穴沢の頭からの激下り                         バックステップで降りる私



      熊穴沢避難小屋 入口は掘り出されていた                    続々と登る登山者



オジカ沢ノ頭方面はガスで覆われ眺望なし


 高度が上がるにつれ、雪面が締まってきたのでシートラーゲンのままで登行を続ける。相変わらず調子の出ない私が喘ぎ登っている間、余裕のKさんは熊穴沢や西黒沢の様子を仔細に観察していた。前回と比較し沢はかなり埋まってきたのは確かとのことだが、今一つ確信がもてないご様子。やはり現地に行って確かめてみるしかないのかも。。。


西黒沢の状況は???



            肩の小屋までもう一息                            小屋に到着


 肩の小屋が近くなると流石に風が強い。背にしたスキー板が風に煽られるのに耐えながら、一歩一歩慎重に先へと進む。歩行開始からちょうど3時間で肩の小屋に到着。小屋の風下でアイゼンを外し、シールも剥がして滑降準備を済ませておく。


         山頂へと向かう登山者の列                              山頂に到着



この景色 感無量



オキノ耳は今回パス



苗場山と神楽ヶ峰も一望


 壺足で山頂へと向かい、ジャスト11時、トマの耳の頂に立った。記念撮影を終えたら後はお楽しみタイムだ。スキーを履いてまずKさんから滑り出し模範演技。万一のために間をおいて私も続く。


頂上直下のスロープ 滑降開始



どんどん落ちるKさん



私も落ちるが、、、



技量の差は歴然 多くのギャラリーに注視され、汗顔の至りとはこのこと


 雪質は最高。若干の風紋をものともせず、スキーが良く走る。山頂直下に2本のシュプールをつけて瞬く間に第一ラウンドは終了。その後は登山者の邪魔にならないよう痩せ尾根を避難小屋の先まで滑り降りた。


振り返ると広大な斜面にある2本のシュプール


 さて結論を先延ばししてきた下山ルートをどうするか。田尻尾根方面へと戻るか、それともこの辺りから西黒沢に向けてドロップするかどうか。時刻はまだ正午前であるし、最悪西黒沢が通行不能となっても田尻尾根へ登り返せば済むことなので協議の結果、後者でいくことになった。Kさんとしては右岸を高くトラバースし西黒沢への下降地点を出来るだけ下流にもっていくようガイドするとのことだ。


西黒沢に向けドロップするKさん



私も続く


 重パウダーながら、疎藪の気持ちの良い斜面に飛び込む。しばらく標高を落としたところで右に舵を切った。小尾根を乗越し、熊穴沢源頭部の結構スリリングな急斜面をトラバース。狙い通り天神沢との出会い辺りで西黒沢の右岸に出た。


右岸を高く巻いて行く



熊穴沢源頭の急斜面をトラバース



藪との総合格闘技



西黒沢に降り立った


 書いてしまえば2行足らずだが、そこに至るまでの藪はかなり濃くて私にとってはえらい試練だった。枝にぶら下がったり、幹に抱き着いたりしながらのモンキー下りで大汗をかかされた。西黒沢に降りてみれば、案じていた通り沢割れしており、至る所ホールだらけだ。

 場所を選びながら右岸を慎重に滑り降りる。もう一息でスキー場からの下山コースに合流というところで、とんだハプニング。雪の切れた小沢を身軽になって飛び越えようとKさんがスキーを対岸に放り投げたところ、運悪く滑走面から着地。板はするする舞い戻ってきて流れに落ちてしまったのだ。幸い板は水底に留まってくれたので無事回収できたが、やはり山スキーは最後まで何があるかわかない。

 下山コースに出た後は重力に従って流すだけ。ベースプラザ帰着は午後1時5分。短時間ながら最後までアトラクション満載で中身の濃いBCをエンジョイすることができた。神楽でヘルメットやゴーグルを傷だらけにした藪トレも無駄にはならなかったようだ。Kさん、今回も感謝です。


行動時間  5時間30分


  
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