谷川岳  群馬・新潟県 1977m    百名山
 

  
 

2009118

 谷川岳にはおよそ40年前、学生時代に一度登ったことがある。急な天候悪化から緊急避難的に尾根筋に幕営したが、そこはおそらく風の通り道だったのだろう。強烈な風雨でテントごと吹き飛ばされそうになり、生きた心地がしなかった。この体験から谷川岳にはあまり良いイメージを持っていないのが正直なところ。百名山踏破の一環として再訪するこの機会に是非ポジティブなイメージに塗り替えたいものだ。登山ルートについても天神平からロープウェイで安直にショートカットするようなことをせず、西黒尾根を往復してじっくりこの山の良さを味わうことにした。

 自宅を午前3時に出発。ロープウェイ土合口駅には5時半に到着した。都内から僅か2時間半である。ICからの距離が短いこともあるのだろうが、これほど近い山とは思わなかった。立体駐車場に車を停め、夜明けを待って歩き出した。時刻は550分。まず登山指導センターに寄って登山者カードを提出した。林道歩きはわずかですぐに山道に入る。紅葉はすっかり終わってしまったようだ。落ち葉が登山路を埋め尽くしている。落ち葉だけならよいが、その下の石が曲者だ。時折隠れた石に躓くのでなんとも歩き辛い。送電線の鉄塔を過ぎたところで単独の若者に追いついた。結構な大荷物を背負っている。冬山のトレーニングでもしているのだろうか。単調な樹林帯のなかをしばらく歩く。そのうち葉を落とした木々の間から次第にマチガ沢や一ノ倉沢の絶壁が垣間見えるようになってきた。魔の山とも呼ばれ、過去770名ものクライマーの命を奪ったのが十分納得できる険悪さである。そう刷り込まれた先入観もあるのかもしれないが、左手のゆったりした山並み、ロープウェイの天神平駅とスキー場と対比するとどうしてもイメージは暗くなってしまう。




谷川岳を仰ぎ見る



    振り返ると白毛門が見える           雪で足場の悪い鎖場


This is Tanigawadake



          何をザンゲしようか


             谷川岳肩の小屋


 樹林帯を抜けると尾根も痩せてきて雪混じりの岩場になる。鎖場も連続するようになって気が抜けない。この辺りでもう一人先行していたご老人に追いついた。群馬の方で谷川岳は自宅から見えるし、もう十五、六回は登っているとのこと、しばらく立ち話をして上越の山々について色々と教えて頂いた。中央分水嶺に位置するだけに天候は非常に不安定であること、風向きによって敏感に天気が変化する等々、有り難く拝聴した。西黒尾根から振り返ると常に見えて存在感のある山は白毛門とのこと。名前も気に入ったが谷川岳の絶好のビューポイントで登る価値がありそうである。痩せ尾根からひとしきり急登が続き、そのうち道は天神尾根コースの登山道と合流した。左手下に肩の小屋を見ながら一登りで谷川岳双峰の一つ目のピーク、トマの耳に着く。一応山頂を踏むが、そのまま素通りして最高峰である二つ目のピーク、オキの耳に向かう。一旦下る箇所があるが、一週間前の雪が凍って滑りやすい。谷川岳山頂にはちょうど9時に着いた。頂上には誰もいない。穏やかな天気のもと静かな頂をしばらく独占させてもらった。やや霞んでいるものの上越の山並みが一望できる。まだこの山域に馴染がない小生にとってはどれも無名の山に等しいのが残念だ。唯一同定できたのは先日登った巻機山だ。特徴あるゆったりとした山頂付近は、もうかなり雪に覆われている。


           オキの耳へ向かう稜線       


トマの耳



 しばらくするとトマの耳方面が多くのハイカーで騒がしくなってきたので早々に退散することにする。途中、トレランの二人組みとすれ違った。相当な早足で今後にしたオキの耳に向かっている。その後も先ほど追い抜いたお二人の他、天神平からと思われる登山者が陸続とやってくる。再び西黒尾根を下るが、雪交じりの岩場で足場が良くないので登り以上に時間がかかってしまった。黙々と下り続け、1125分に登山口に帰り着いた。楽しく歩くことが出来て、これまでのネガティブなイメージを一掃することができたのは大きな収穫だった。次回は是非残雪の季節に再訪してみたいものだ。



行動時間     5時間35
実歩行時間       5時間
コースタイム     7時間15

 


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