平標山BC 1984m 群馬・新潟県               
 


2020年3月21日(日)

 イタリアを初め欧州諸国における新型コロナウィルスの猛威は目を覆うばかり。翻って日本は何とか持ちこたえているとは言うものの、いつ迄この小康状態を維持できるのだろうか。街を歩けばお花見の家族連れがぞろぞろ、公園には大勢の子供達と母親が集うなど平常時と何ら変わりない光景を目にする。自粛疲れで警戒感が少々緩んでいるのではと心配になってしまう。基礎疾患を持つハイリスクの高齢者としては、欧州のような爆発的な感染の広がり、オーバーシュートが発生しないことを祈るばかりだ。

 そんな中、いま自分に出来ることは、健康を維持し罹患を可能な限り避けることしかない。この目的に最も合致するのは大自然の中で人と殆ど触れ合うことも無い山歩きだろう。山の行き帰りに人ごみに入っては元も子もないので、SAやPAへの立ち寄りも避けるようにしている。これが私なりの新型コロナ対策だ。

 という訳で群馬のKさんの平標沢滑降のお誘いには、迷うこと無く二つ返事で乗ってしまった。寡雪下の今冬、殆どレポの無い仙ノ倉谷や毛渡沢の様子を調べたいとのこと。言い換えれば人柱になって沢割れがどれほど酷いかを調べたいということになるのだが、不覚にもそうした伏線に気が付いたのは、激しく流れる雪解け水を眼下に高巻に次ぐ高巻を強いられた時だった。

 今回は発着地が離れているので車二台を活用してのロジスティックス。私の車を毛渡橋近くの高架下にデポし、Kさんの車で平標山登山口へと向かう。

 午前6時5分、板を背にハイクアップ開始。予想はしていたものの、雪解けの余りの速さに言葉も無い。林道はもとよりその両脇の雪も消えかかっている。さらに進むとヤカイ沢との分岐辺りでも地面が露出。登山道の無いヤカイ沢。藪リスクを避け夏道経由とすることにした。


雪解けが早いので唖然


ヤカイ沢の入り口も雪が無い


 平標山の家へと向かう登山口の手前で小休止。ここから夏道の一本手前の尾根を詰めていく。斜度がきつくなったところでクトーを装着。クラスト気味の雪面にクトーがサクサクと小気味よく効いてくれる。


藪も無く雪質もいい感じ



苗場山が見えてきた


 稜線に出るとヤカイ沢経由で三々五々山頂を目指す登山者が見えた。どうやら通過を妨げるほどの藪は杞憂だったようだ。彼等の足元を観察すると8割がたが登山者。スキーヤーは明らかにマイノリティ。厳冬期と比べると完全に比率が逆転している。


次第に疎林となって、、、



尾根に出るとこの景色



登山者多数


 9時40分、山頂到着。ポカポカ陽気で風もそよ風程度、完全に春山の様相だ。相前後して山頂に立った二人組は、ユーガイヒト沢に向かうとのこと。奇しくもヤマレコのレポで参考にさせてもらった方々だった。


山頂までもう一息のKさん



山頂にて


 記念写真を撮ったら早速滑走モードにチェンジし、滑降を開始する。カリカリの稜線を横滑り交え慎重に滑り降りて一ノ肩へ。ここを右から巻き平標沢源頭部に向かった。滑り出すと暫くはクラストとパウダーのミックス、やがてやや重いパウダーとなった。しかし今冬初めて履く細板に私のプアなテクが追い付かず、中々思うようなスキーがさせてもらえない。色々試行錯誤しているうちに美味しいところはあっという間に終了。


カリカリの稜線を下る



カリカリ斜面を滑降



中々緩まないが、、、



こんなご褒美も



Kさん



同上





同上



巻機山と越後三山



そろそろ斜度が緩んできた



早くもぱっくりと口を開けた滝が出現


 滝の出現を皮切りに眼下に沢割れを眺めながら右岸の高巻が始まった。こうなるとアドレナリン全開のKさん。ズブズブの腐れ雪に苦戦する私を後目にどんどんルートを切り開いて行く。大根下ろし沢が第一回目の渡渉。ここが割れているのは初めてとのことだったが、飛び石でセーフ。続いて仙ノ倉谷。ここは飛び石できずブーツの水没は免れなかった。


ルート開拓するKさん



木に縋りながトラバースする私 落ちれば奈落の底



完全に沢割れ SBも無し



開けたところではこの景色に救われる



大根下ろし沢の渡渉



仙ノ倉谷の渡渉 ブーツが水没



段差を乗り越えるKさん



群大山荘にようやく到着


 群大山荘を過ぎてからは、雪切れが数え切れないほど繰り返される。板をいちいち外していたのは最初のうちだけ。そのうち面倒になり、スキーを履いたまま砂利の上を歩いて無雪区間を強行突破する。長い林道歩きにいい加減ウンザリさせられる頃、デポした車が見えてきた。


この辺りの登山道は崩落 枝につかまりながら渡りクリア



峰々に別れを告げる



横着の極み



帰ってきました


 車への帰着時刻は14時40分。年寄にはハード過ぎるアスレチックだったが、良い汗をかいた満足感と達成感は十分。しかし正直気力とチャレンジ精神に体力の方が追い付かなくなってきた感もある。先だって歩いた西黒沢や大烏帽子山同様、ここも卒業、二度目は無いというのが偽らざるところかな。



行動時間 8時間35分



Gear Ultravector154cm / Scarpa F1Tr


  
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