2013年4月5日(金)
昨日は越後須原の民宿に泊まった。美味しい魚沼産のご飯とその醸造物を堪能して十二分に寛ぐ事ができた。今日は予報通り、高気圧に覆われて抜けるような青空だ。
少し早目に宿を出て午前7時前には登山口に到着。先日浅草岳登山の際に車をとめた大自然館から数百メートル手前に路駐する。驚いたことに平日にもかかわらず、もう数台の先客がいた。やはり知る人ぞ知る山スキーの名山なのだ。
7時10分にスキーを担いで歩き出す。眼下の破間川に向かって少し下り、橋を渡るが、これがえらくスリリング。橋の上に乗っているのは、幅50cmも無いような雪のナイフエッジ。橋床の半分は露出しているので降りてしまえばいいが、雪の高さが2m以上もあるので、降りるのも、よじ登るのも容易ではなさそう。下を見ないように、おっかなびっくりこのナイフエッジを渡った。
恐怖の橋(対岸より撮影) しばらく林道沿いを行く
対岸からシール登行を開始。林道沿いにしばらく進み、下黒姫沢へと降り立つ。沢の左岸側の山肌が大きく雪割れしている。距離があるので万一崩れても沢の真ん中までデブリが落ちてくることはないだろう。
下黒姫沢を登る 左岸の山肌が少し崩れ始めている
時折デブリも 左側に聳える1221mピークの稜線
源流域が近くなり、沢幅が狭くなってきたところで左岸の小尾根に取り付いた。何人かの先行者はそれぞれが独自のルート取りをしている。私も自分が登りやすそうと思うルートを選んで登って行く。
この辺りから左岸の尾根へ 結構急な登り
しばらく急登が続いたあと台地状の地形に出た。左の山稜の雪庇が崩壊して大きな雪塊がゴロゴロしている。いつまた崩壊が起きるやも知れず、上方を気にしながらここは足早に通り過ぎた。
左手稜線の雪庇の崩壊
こんな心休まる光景も 台地からカール状地形へ
その先、稜線へのルート取りでちょっとまごついてしまった。事前にGPSにアップロードしてきた先達の実ログによれば、守門岳へと延びる稜線に一旦上り詰めてからカール状の地形に沿って、稜線をぐるりと四分の一周するようになっている。しかし、どう見てもダイレクトに黒姫に向かった方が早そうだ。迷った挙句、結局GPS通りに進むことにした。
1335mピーク
急斜面を登っていくと、先行者のトレースを発見。途中でスキーからツボ足に替えて直登している。私はシールにのまま登行を続け、何とか稜線に出ることができた。待っていたのは思わず歓声を上げたくなるほどの大パノラマ。とても標高1500mに満たない山とは思えない。
稜線間近、登行してきた沢を見下ろす
袴岳の方に目をやるとトレースの主は遥か稜線上を歩いている。カール底を見下ろすと3人パーティが黒姫に向かって最短距離を直登していた。やはり少し遠回りをしてしまったらしい。
稜線からの守門岳方面の眺望
黒姫へと続く稜線(手前が1328mピーク)
ともあれ、360度の絶景を満喫しながらの稜線漫歩だ。しかしルンルン気分はそこまで。1328mピークを越えようとして唖然とする。稜線は雪庇で断ち切れたような状態で、次のピークの鞍部に向かってはほぼ垂直の壁。これではとても降りることができない。カール側の斜面をトラバースしようにも、雪割れがサメのようにパックリ大きく口を開けているので、結局カールの底まで降りないとダメそう。
1328mピーク直下はこんな状態で降りられず(登り返した鞍部より)
一方北側を観察すると、傾斜も程よくなかなか美味しそうな斜面が広がっている。登り返しは面倒だが、この際、スキーを楽しんでしまおう。
シールを剥がして滑降開始。程よく締まった気持ちの良いザラメだ。調子に乗ってあまり降り過ぎると後が大変なので、標高差にして200mほど降下したところでストップ。ここから右へとトラバースして再びシールを装着し、1328mピークと次のピークとの鞍部に登り返した。
滑り降りた北斜面 ここから登り返し
稜線に立って目の前の1335mピークを眺めると、いかにも山頂のように見えたが、本当の頂きは更にその先にあった。1335mのピークへと登り上げてから、少し下降してナイフリッジを越えていく。その後はだらだらした登りとなり、ちょうど正午にだだっ広い山頂に立った。
右前は1335mピーク、左奥が山頂 雪のナイフリッジ
袴岳から大岳、中津又岳にかけての雪庇の発達した稜線は迫力満点。先日遊んだ浅草岳も指呼の距離にある。山頂ではカメラに大展望を収めたのみで、シールのまま回れ右。1335mピークまで戻ったところでゆっくりランチタイムとした。食後は一気呵成に下るだけだ。
袴岳から大岳、中津又岳へかけての峰々
浅草岳(左に延びているのが早坂尾根)
12時30分、シールを外して滑降開始。一旦鞍部に向けて少し下ってから大斜面へとドロップした。南向き斜面のせいか、重いザラメに少し戸惑うが、それでも十分楽しい。
そのままカール底を横切り、雪庇崩壊現場の台地へと滑り込む。緩傾斜なので、しばらく漕ぎ進むと、今度はターンするたびにスラフの流れる急斜面。ザクザクの重雪なのでスキー操作に一苦労。再び階段状になった緩斜面を漕いで下黒姫沢へと滑り込んだ。
ここを滑り降りたが、シュプールが見えない 同左
後はダラダラと沢沿いに下って行くが、所々細かな登り返しがあったりして中々楽はさせてくれない。先行者のトレースを追っていくと、どうもおかしい。GPSで確認するとやはり沢を降り過ぎでいる。先行者も同じように間違いに気がついたらしく、ツボ足で右岸を登り返していた。私も板を背負って30mほど登るハメになった。
林道をのんびり滑り降り行くと、程なく絶叫ブリッジに帰着。流石に雪が腐っているのでナイフリッジはもう勘弁願って、一旦橋床に降りてから対岸へと渡る。対岸ではスキーを雪上に放り投げ、立木に掴まりながら雪壁をよじ登った。
車への帰着は13時25分。ルート取りなど反省点も多々あるが、昨日に引き続いて今日も無事に雪と戯れることができた。この二日間、素晴らしい自然の遊び場を提供してくれた越後の山々に心より感謝!
行動時間 6時間15分
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