2013年4月13日(土)
昨年に引き続き、鳩待峠、戸倉間の道路開通前に静かな至仏山で春スキーを楽しむことにした。戸倉からの長いアプローチは例によって自転車を活用して時間短縮を図るつもり。去年は廃車寸前の重いママチャリ。今年は軽快なクロスバイクにグレードアップしたので、延々と続く辛い登りも少しは楽になるはずだ。
午前5時半に戸倉に到着。ゲート近くの駐車スペースに車をとめた。敢えてアクセス不便な時期を選ぶもの好きというか、同好の士の車は2台。うち一台からは若者2人がスキーを担いでちょうど出発するところだった。
毎度のリチュアル、朝食とウェアやソックスなどの身支度をさっさと終えて私も車を後にする。いつもと違うのは、ブーツを固定したスキーとザックを背負って自転車に跨ること。久しぶりの重荷がずっしりと肩に食い込む。
時刻は6時10分。ゲートから一旦は下りとなるが、それも束の間で、その後は24段ギアを一番低速対応にセットしてひたすらペダルを漕ぎ続けるのみ。
朝一早々の重労働で息が切れるものの、なかなか快調だ。しかし油断大敵。側溝から溢れた水が凍結しているのに気がつかずスリップし転倒、バイクもろとも氷上をツーと滑ってあわや崖下に落ちそうになった。まさに冷や汗もの。これに懲りてその後は危ういところは必ず降りて歩くことにした。
その後は順調。途中で先行していた2人組を追い抜いて津奈木橋に無事辿りついた。昨年と同じように道路の分岐から少し登ったヘアピンカーブから尾根に取り付く。その際、本日二度目のヘマ。道路脇の雪壁を登ろうとして枯葉で隠れた水たまりにどっぷり片足を突っ込んでしまったのだ。今日はいったい何をやっているのやら。ソックスを固く絞ったり仕切り直してから、ハイクアップを再開した。
自転車をデポしてハイクアップ開始 尾根に取り付き
このところの冷え込みで固くクラストした雪面に昨晩降った新雪が10cmほど積もっている。青空も覗いて天気は回復しつつあるものの、今ひとつ冴えない。空からは時折小雪が舞い、向かう先の稜線にはガスがかかっていている。
途中で先の2人組が追い付いてきた。彼らは二日前にもやって来て季節はずれのパウダースノーを楽しんだのだそうだ。若いし、見るからに屈強な連中だ。
先を行く2人組 回復基調だが天気は今ひとつ
クラスト斜面が多くなったところでクトーを装着。板直付けタイプのVoileの初めての出番だ。歯がしっかり雪面に食い込んでくれるのでなかなか具合が良い。
程なく1867mのピークに到着。尾瀬沼方向は辛うじて展望が開けているものの、至仏山の姿はベールにつつまれてまだ拝めない。鳩町峠からのトレースが一本合流している。おそらくゲートにあったもう一台の車の主だろう。
小さなアップダウンを繰り返しながら、ガスに見え隠れしている先行2人組の背中を追いかける。のっぺりしたオヤマ沢田代を過ぎると、そろそろ小至仏山。昨年は稜線伝いに越えたが、今回は2人組のトレースに従って山腹を巻いていく。
1867mピークまでもう一息 稜線に出たが至仏山はガスのなか
小至仏山をトラバース
10時30分に至仏山山頂到着。単独と2人組の3人がいた。丸一日誰とも出会うことのなかった昨年とは大違いだ。しばらく彼らと雑談したり、滑降準備をしたりするうちにガスが晴れてきた。これを潮時に単独はムジナ沢へと向かい、2人組はワル沢へ。登り返して2本目はムジナ沢も滑る由だ。
頂上先着の3人 ついでに、、、
見る見るガスが晴れてきた
小至仏山
ノートラックのワル沢
見事なテレマークで滑り降りていった彼らを見送った後、私もワル沢へと滑り降りた。底付きするパウダー。雪質が微妙に変化したり、所々クラストがあったりして必ずしも快適ではないが、十分楽しめた。
広大な一枚バーン 途中から登り返す2人組(黒い点)
約300m滑降してストップ。そこから余り高度を下げないようにトラバースして、1867mピークへと向かった。途中でそこそこの斜度に無木立の気持ちよさそうなスロープがあったので、滑降を楽しんだ。雪質も快適なザラメで大満足。しかし、お楽しみが大きいほど、それに応じて後の労苦も大きいのが山スキー。高度差100mほどに止めて、再びシールを貼ってピークへ向けて登り返す。滑っている時とは大違いで、初夏のような強い日差しと照り返しですぐに汗だくになってしまった。流れる汗が目にしみる。
1867mピークに向けトラバース 振り返ると青空の下に至仏山がくっきり
燧ヶ岳、この山も滑ってみたい、、、
1867mピークに戻ってランチタイム。至仏山を振り返ると山頂からはシュプールが何本も描かれていた。どうやら2人組と私以外にも滑り降りた人がいるようだ。
食事のあとは、ピークから尾根取り付き点まで高度差500mの滑降。朝方の新雪はどこへやら、重い湿雪に変わり下へ行くほど、べちゃべちゃのシャーベットに化けていた。粘着性が高いせいか、急斜面ではターンの後、スラフが直径30cm大の雪だるまになってゴロゴロ追いかけてくる。
1867mピークより下山開始 下るに連れシャーベット状態
ブッシュ密度の濃くなった林間をボーゲン交えて滑り、ピークから20分少々でバイクのデポ地点に降り立った。一息ついたあとは再びスキーとブーツを背負っての重力任せのツーリング。殆どペダルを漕ぐこともなく、1時間弱かけて登ってきた道を17分足らずでゲートに帰着した。
今日も山スキーが思い切り楽しめて満足の一日だった。ただ、好天にも恵まれ、時間的にも体力的にも十分余裕があったのに、何故ムジナ沢に足を伸ばさなかったかとちょっと後悔の念も。
行動時間 7時間5分
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