塩見岳  長野・静岡県 3047m       百名山 



20101016

 
今回は百名山で残る日帰りロングコースの一つ、塩見岳に行く。翌日に用事があるのでどうしても日帰りしなければならない。次第に日が短くなってきているので早出が必須だが、それでも日のあるうちに無事下山できるだろうか。ネットの記録をチェックしてみた。鳥倉ルート往復の場合、トレラン諸氏は別格として(大方9時間台)、一般登山者はだいたい11時間から13時間程度かかっている。年齢と山歩きの所要時間がほぼ私と同じなのでいつも参考にさせて頂いている方の記録を見ても12時間近くを要している。これは相当頑張らないと日が暮れてしまいそうだ。

 早い夕食の後、仮眠をとって午前零時前に自宅を後にした。中央道の松川
ICで下りて曲がりくねった小渋ダム沿いの道を進む。大鹿村に入ってからは、取倉林道への入り口を見落とさないように神経を集中する。案内に従って林道へと進む。舗装されているがカーブだらけの道を約15km走り、終点のゲートに到着した。広い駐車場には車が数台あるが人の気配はない。みな仮眠中なのだろうか。相前後して2台の車が到着したが、すぐに静かになって人が出てくる様子がない。明るくなるまで仮眠するつもりらしい。

 私は日帰りの長丁場、まだ真っ暗であるが、ヘッドランプを点けて歩きだした。出発はちょうど
4時半。しばらくは殆ど勾配の無い舗装道路を行く。眠気覚ましとウオーミングアップにはちょうど良い。少し上り勾配がきつくなったところで鳥倉登山口に到着した。ここから杉林のなかを登るが、暗闇のなか、のっけから道を誤って伐採地に入り込んでタイムロス。すぐに登山道に戻って後はひたすら登り続ける。登山路は適度な傾斜に保たれている上、階段や木の根っ子ではないので登りやすい。急なトラバース地点には所々伐採した資材を活用したハシゴがかけられている。風情はあるのだが、ちょっと頼りない。楽しみにしていた紅葉はシラビソなど常緑樹の間に点在しているので今ひとつ迫力に欠けるようだ。標高が上がってくると左手に山並みが見えてきた。本谷山方面であろうか。途中で水場を通過。適度な水量があって冷たくてとてもおいしい。塩川ルートとの分岐を過ぎると間もなく三伏峠だ。既に小屋は閉じられていて人気は全くない。



             比較的歩きやすい登山道                      木の梯子はちょっと頼りない



              塩見岳が見えた                             人気のない三伏峠



           入口は厳重に閉ざされていている                    テント場にも人影はない 



 
三伏峠からは稜線歩きになった。進行方向右手に鉄兜ライクの塩見岳が展望できるので気分的に楽である。ともかくあそこまで歩いていけばいいのだ。予報によれば長野県地方は晴れマークがついていたが、見上げる空は高曇りでちょっとすっきりしない。天気は冴えないが、塩見岳の北俣尾根方面の紅葉が素晴らしいので救われる。三伏山からは一気に100mを下る。鞍部から今度は本谷山へ向けて150mほどを登り返す。本谷山を越えると、また下りとなり、せっかく登った150mをそっくり返上することになる。樹林帯に入ると、緩い登りのフラットな道でいかにもトレラン君が喜びそうな駆け抜け可能なルートだが、ところどころのぬかるみが酷い。ここで本日初めて他の登山者に出会った。塩見小屋から下山してきた方。ゴーロ帯を過ぎると再び登りになる。やがて塩見小屋の前に出た。ネットの情報では閉じられたことになっていたが、まだ管理人が滞在しているようだった。目の前には天狗岩がどーんと聳えている。



        三伏山頂上                  三伏峠を振り返る
       

         塩見岳が目前に                塩見小屋


 
ここまで殆ど休み無しで来たが、この際一気に行ってしまおう。小屋を素通りして天狗岩への登りにかかる。これまでで一番急な登りで乳酸の溜まった足腰には辛い。天狗岩を過ぎるといよいよお楽しみの岩登り。ハシゴやロープといった補助は無いが、マーキングの指示に忠実にルートを選べば特に苦労することもない。ぜいぜいと息を弾ませ塩見岳西峰の頂きに立った。時刻は1010分。ここまでの所要時間は予定していたよりちょっと早い5時間40分であった。すぐに5mほど高い東峰に行って昼食をとりながら景観を思う存分楽しんだ。



塩見岳までもう一息



              西峰(奥に東峰が見える)                            東峰



甲斐駒ケ岳、白峰三山方面





 
南アの中間地点だけあって北方には甲斐駒、仙丈、白峰三山、南方には荒川三山等、それに富士山のオンパレード。それにしても風が冷たい。霜柱も立っていたし、山頂付近は確実に初冬を迎えつつあるようだ。吹きさらしのなか、登りでかいた汗が冷えてきた。そろそろ下山にかかろう。気をつけながら岩下りをして天狗岩へと下る。途中で単独の2名とすれ違った。ナップザックの軽装なので彼らも日帰り組だろう。この頃になるとすっかり青空が広がって秋空になってきた。日暮れ前には鳥倉に戻れそうだし気分的にも楽になったのであちこちにカメラを向けながらのんびり歩く。本谷山への登り返し、さらに三伏山へのアップダウンにうんざりしつつ、次第に遠のく塩見岳に別れを告げた。



             天狗岩を振り返る                      天気が良くなってきた。下山はちょっと早すぎたか



 三伏峠には朝には無かったテントは二張。若い男女が楽しそうにおしゃべりをしていた。若さにちと嫉妬しつつ還暦オジサンは黙々と鳥倉へとひた下る。時折現れる道標に表記されている所要時間が思いのほか長いのでがっくりとくるが、ともかく頭を空にして下り続けた。ようやく登山口に帰着、ここからのんびり林道歩きになる。往路は暗闇でわからなかったが、はるか高みの岸壁にへばりつく木々の紅葉はえも言わぬほど素晴らしい。駐車場には午後
310分に帰着した。思ったより早く帰れたが、27kmものロングコースでアップダウンはあるし流石に疲れた。着替えを手早く済ませて車を出す。松川ICへのくねくね道路は来たときとは異なり昼間なので運転しやすかったが、問題はその先、中央高速では事故の連鎖が続き大渋滞となっていて自宅到着は午後10時ちょっと前になってしまった。山で11時間、運転で11時間の実に長〜い一日でありました。61歳を過ぎたジジイがこんな寿命を縮めるようなことをやっていていいのかな。



              登山口に帰着                               林道沿いの紅葉




行動時間     10時間36分
歩行時間     10時間
標準CT      14時間40分




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(沿面距離が異常値なので参考にならない)
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