2013年11月7日(金)
台風は遥か東海上を逸れていったが、冬型の気圧配置をもたらした。新潟や長野県北部の山は雪になりそうだ。そんな時は近場でお気楽ハイキング。ずっと気になっていた南アルプスを望む信仰の山、七面山を歩くことにした。
午前6時前に表参道の登山口に到着。杉の巨木の間に車をとめた。登山口には奉献元丁と記された灯篭がある。この元丁を出発点として山頂直下の奥の院まで50丁、各丁毎に灯篭が設置されているとのことだ。標高差が凡そ1200mあるので、24m登ると1丁カウントアップされる計算。果たして「もう」と励みになるのか、それとも「まだ」とうんざりさせられるのか。。。
出発点は「元丁」 どこまでも階段が続く表参道
6時20分に参道を歩き出す。日蓮宗総本山の奥の院へと導く参道とあって整備が行き届いている。一定斜度の広い道にどこまでも続く階段。それに灯篭による丁目表示。要所要所に屋根付きのベンチまである。それでも山頂までは標高差1500mを稼がなければならないので、基本的に運動量は他の山と変わらない。
額から汗をぽたぽた滴らせながら登っていくと、突如樹林が開けて景観が一望できた。すぐ近くにはどっしりした身延山、その背後には甲府盆地が広がっている。残念ながら、富士山は雲の中のようだ。実はこの参道にはこうしたビュー・スポットは殆ど期待できない。終始深い森の中を修行僧よろしく忍の字で歩くだけだ。
各「丁」の基本セット(休憩所と灯篭) 身延山と甲府盆地
途中の休憩所も素通り。高度が上がってくると気温も低下し、風も通り抜けるようになったので暑さからは少し解放された。2時間半で奥の院、敬慎院に到着。ここに至るまでに出会った人は、お寺の関係者と思しきご夫妻と休憩所のおばあちゃんだけで静かなものだ。
奥の院へ さすが総本山
参拝は後回しということでそのまま山頂へと向かう。荷揚げ用ケーブルを過ぎると、道はこれまでとは様変わり。ナナイタガレの大崩壊を左に垣間見てからは、しばらくはかなりの急登。やっと山らしくなった。息を切らせて、出発からちょうど3時間で山頂に立った。500m/Hは私としてはかなり頑張った方かも知れない。
山頂が見えてきた ナナイタガレの大崩壊
七面山山頂到着 八紘嶺への縦走路
山頂は展望ゼロなので水分補給の小休止した後はすぐにその先にある喜望峰へと向かう。カラマツの落ち葉の絨毯を踏んでダラダラと下った後は急な登り。その途中で見かけた枝からベールのように垂れ下がる地衣類(サルガセオ?)はとても印象的。陽光が当ってえも言われぬ神秘的な光景だった。
カラマツの落ち葉を踏みしめて歩く サルガセオ?の森
20分少々で喜望峰の展望台に着いた。ここから南アルプス南部の峰々が勢ぞろい、、、と言いたいところだが、光岳方面には厚い雲がかかっている。小笊を従えた笊ヶ岳とその奥に聖岳、塩見岳等は何とか同定できた。反対側に見えるはずの富士山は完全に雲のなか。しかし、これだけで来た甲斐があったと何となく満ち足りた気分になってしまったのはなぜだろうか。
笊ヶ岳の奥に聖岳
雄大な景色をおかずに帰りのエネルギーを補充した後は往路を引き返すのみ。再び七面山の山頂に立ったが、相変わらず人の気配はない。余程人気にない山かと思ったが、単に時間が早かっただけらしい。その後、階段道を下っていると、登拝の人達とひっきりなしにすれ違うようになった。
普通の山であれば定番の挨拶は「コンチワー」だが、ここでは「(登拝)御苦労さまでーす」。中には手を合わせて挨拶する方もいて面喰らってしまう。小学生の課外事業の御一行様もいたりして途端に賑やかになった。結局、山姿は私の他は若い女性一人だけ。ここは信仰の山だと改めて納得した。
灯篭のカウントダウンを励みにどんどんと下り、元丁へは12時15分に帰着。半日行程ながら十ニ分に晩秋のハイキングを堪能させてもらった。
行動時間 5時間50分
|