2014年4月19日(土)
今年で3回目となる恒例の「鳩待峠開通前」の至仏山春山BC。長いアプローチが難点だが、それだけに集う人が少なく静かな山を楽しむことができる。津奈木橋までは自転車で、そこから尾根に取り付き1867mピークに登り上げるのがいつものパターン。今年は終点まで除雪が終わっているようなので、もう少し頑張ってペダルを回し鳩待峠を目指すことにする。
戸倉のゲートの標高は1018m。鳩待峠は1590m。600m近い標高差と10.5Kmの距離がある。そろそろ前期高齢者の仲間入りをするジイさんがこのハードなコースを走破できるだろうか。それも装備の他にスキーやブーツなど重荷を背負って。。。
午前5時半、戸倉のゲート近くの駐車スペースに車を駐める。先着の車が数台。MTBを組み立てたり、タイヤに空気を入れたりと、皆さん出発準備に忙しい。中にはハンドメードの留め具を使ってスキー板を自転車に取り付けている人もいた。スキーなど重荷を背負って前かがみの姿勢をとり続けると、どうしても腰に負担がかかってしまう。この方法を検討してみる価値がありそうだ。
6時5分、ペダルを踏んでゲートを後に。最初の坂道を下りきったところから、いきなりの試練が始まる。24段ギアのギア比を最大にして懸命に漕ぐが、スピードはどんどん落ちて出るのは顎だけ。とても直線的にグイグイと登るわけにはいかず、道幅を隅から隅までフルに使ってジグザグ登行する。
戸倉のゲートを出発 津奈木橋
それでも次第に調子が出てきて、前回55分かかったのを10分短縮して津奈木橋に到着。なかなか良いペースと気を良くしたのも束の間、ここからが本当の試練だった。押し歩きの誘惑に何度も駆られつつ、勾配を増した坂道を必死に漕ぎ続けること更に45分、やっとの思いで鳩待峠に着いた。
いつもハイクアップ開始する尾根の取り付き点 除雪を終えた鳩待峠
太腿がパンパンで、今日一日分の筋力を全て使い切ってしまった感じ。峠には若い単独が二人いたが、私と入れ違いに出発していった。峠は朝の冷え込みで雪面はガチガチ、吹き抜ける北風が冷たい。じっとしていると寒いので、休憩もそこそこにバイクからスキー・モードに頭と装備を切り替えて先行した二人を追う。
シール登行開始 至仏山、例年よりブッシュが多いような
右手の樹間から覗く1年ぶりの至仏山。昨年より積雪量が少ないのか、それとも雪解けが早いのか、かなりブッシュが目立っている。1866mのピークを北側から巻いてそろそろ森林限界を過ぎようとする頃、先行していた二人のうち一人に追いついた。
先行者二人の姿が見えた 小至仏山のトラバース
至仏山はいつの間にか、どこからか湧いてきたガスに覆われている。雪面は完全に氷化、シールだけでは心もとない。小至仏山直下のトラバース前にクトーを装着した。
ワル沢方面は辛うじて視界あり ガスの山頂到着
ガスが一層濃くなり、それまで視界にあった先行するもう一人の姿がすっかりガスに飲み込まれてしまった。10時30分、ホワイトアウトの至仏山の山頂に立った。遅れてもう一人が到着。
北から吹き付ける風が冷たくて余り長居はしていられない。シールオフして単独二人よりも先に滑降を始める。前回宿題となったムジナ沢を滑るつもりでGPSを頼りに北東方向に向かったものの、視界ゼロに加えて正面から風が爆風のように吹き付けてくる。
結局弱気の虫に負けて、ムジナ沢は諦め風下のワル沢に転進することにする。滑降を開始すると間もなくガスが切れて視界が回復。最初は固くクラストしていた雪面もゆるみ始め、快適なザラメへと変化していく。
ワル沢を滑る 山頂方面にはまだガスが
調子に乗ってどんどん落ちていくと、雪が板にまとわりつくように重くなってきた。高度差で約500mを滑降して標高1750m付近にて停止。ここでランチタイムとする。
どんどん滑り降りて、 鳩待峠がすぐ眼下に見える1750mでストップ
降りてから振り返ると山頂付近のガスがとれて青空が広がっているという、毎度お馴染みの悔し泣きパターン。。。このまま背を向けて降りてしまうと悔いが残りそうなので、再び山頂を目指すことにする。気合を入れ直して歩き出すと、先ほどのクラストが嘘のようにザラメにシールがよく利いて歩きやすい。
山頂付近のガスはすっかり取れている
1時間10分かけて本日二度目の山頂を踏んだ。今度はムジナ沢への滑降ルートも確認できたが、時間切れなので宿題は来年に持ち越しだ。
せっせと登り返し、 本日二度目の山頂を踏む
平ガ岳にはまだ雲がかかっている
尾瀬沼と燧ヶ岳 これで思い残すことなし
本日2度目のワル沢を気持ちよく滑り降りる、、、は最初だけ。気温上昇とともに重雪の標高が上がってきたのか余り楽しめない。樹林帯の中をゆるゆると滑り、沢のボトムまで降りきったところでシールオン。鳩待峠へ約100mを登り返した。
ワル沢を滑り降りて、 鳩待峠へ登り返す
小屋の前で小休止の後、スキーからバイクモードに切り替えて再びペダルを踏む。今度はペダルを回す必要なし。重力の法則に従って坂道をどんどん落ちていく。ヘアピンが多いのでスピードは出せない。ずっとかけ続けているブレーキが壊れてしまうのではと心配になるほど。
登り1時間半かかった10.5kmの道程を30分足らずで走破し、無事ゲートへと帰着。バイクとスキーで延1800mの高度差は楽ではなかったが、この時期だけの静かな尾瀬の山を楽しむことできて大満足の一日だった。ヒルクライムで大腿四頭筋を酷使した割には翌日大して筋肉痛に悩まされることもなかった。歳をとってもまだまだやれそうとちょっぴり自信と期待がもてたことも収穫かな。
行動時間 8時間10分
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