至仏山  群馬県 2228m       百名山 



20101011

 首都圏に近い百名山がいよいよ残り少なくなってきた。そのうちの一つ、苗場山へ10月の3連休に行くつもりにしていたが、初日、二日目は雨で断念、三日目は他の地域は晴れの予報なのに弱い冬型の影響で新潟県だけが雨模様ということで諦めざるを得なかった。しかしこのまま三日間自宅に閉じこまっているのは辛いので、晴れマークがついている群馬県にある至仏山に行くことにした。

 自宅を午前1時前に出発。関越自動車道に入ると見上げる空には星が瞬いている。ところが赤城高原辺りに来ると曇り空になり、さらに沼田ICから尾瀬戸倉が近くなると小雨模様になってきた。考えてみれば新潟県に隣接していて太平洋側と日本海側の分水嶺に立地しているのだから冬型気圧配置の影響を受けて当たり前か。もっと南の木曾御嶽山辺りにすればよかったと思ったが後の祭り。いくら年をとっても思慮の無さは直らない。雨のなか乗り合いタクシーに乗り換えて鳩待峠へと向かった。

 連休の最終日とは言え、体育の日というだけあって人出は大変なものだ。朝一番で到着したのにバス停前の食堂はあっという間に人で溢れかえり、押し出されるように歩き出す羽目になった。時刻は520分、天候のせいもあってまだ真っ暗だ。ヘッドランプを点け傘をさして歩く。山の鼻への木道には先行した人達の行列ができている。急いでいるわけではないが、あまりにペースが合わないので木道が往復用の2本になった所で先に行かせてもらった。次第に周囲が明るくなってくると川上川の周辺に素晴らしい紅葉が広がってきた。山の鼻ビジターセンター前に広がる田代とその周辺の山の紅葉は見事の一言。小雨模様のあいにくの天気だが、せっかくなので植物見本園の周回ルートを半周だけして景色を楽しんだ。ぐるっと一周して山の鼻の出発点に戻り、今度は至仏山への登山口へと向かう。



             川上川のせせらぎ                             至仏山荘前のテント場



       上田代の風景                


これが見たかった



 
蛇紋岩が積み重なった登山道にはざあざあと水が流れている。ほとんど沢のなかを歩いているようなものだ。それでなくとも滑りやすいと言われている蛇紋岩が雨で濡れているので気が抜けない。上り専用というのは十分に頷ける。しばらく樹林帯のなかを行くが、ガスが深くて視界は50m、上も下も展望は全くない。やがて森林限界から、はい松帯に出ると体がよろけるほど北風が強まってきた。木道の段差が拡大して歩きづらいところもあるが、山肌の風化を促進しないように階段を忠実に登っていく。至仏山山頂には8時丁度に到着。山の鼻との標高差が800m程度しかないせいか、滑りやすいことを別にすれば予想以上に楽な行程だった。山頂で食事をしたりしてしばらく様子を見たが、ガスが晴れてくる兆候もないのでさっさと下山することにした。



            川になった登山道                           足元はともかく紅葉は素晴らしい



       蛇紋岩の登り             足を高く上げなければいけない


              展望ゼロの山頂                                三角点



 
尾瀬の紅葉は楽しめたとは言え、至仏山は完全に外れだった。百名山のスタンプを一個押しただけの山行になってしまった。ここからの燧ケ岳と尾瀬ヶ原の眺望が絶品とのことなので是非晴れが確約された時期に再訪することにしたい。小至仏山への岩だらけの稜線は北風と共に雨粒が吹き付けてくるので思いのほか寒い。むき出しにしていた両手がすっかりかじかんでしまった。この頃になるとハイカーが続々と登ってくるようになった。山の鼻へは下山禁止なので鳩待峠からのピストンであろうか。オヤマ沢田代を過ぎて稜線から下りにかかったところでようやく少しガスが晴れてきた。尾瀬ヶ原方面が少しだけ顔を覗かせている。山の鼻側とは異なり、木道が続いているわけではないので、所々泥濘が酷い。気をつけていないと靴がずっぽりと泥に嵌ってしまう。開け始めた群馬県側の山々の紅葉を楽しみながら下り続け、10時前に鳩待峠に帰着。登山靴の泥を洗い落としてすぐにタクシーに乗り込んだ。



        冷たい風の吹き付ける稜線                     



         標高が下がると見通しが良くなってきた                     泥だらけの足元



            黄色があったり                             赤もあって最高の散歩道




 休最終日なのであまり寄り道をせずに帰宅を急いだ。関越自動車道の渋滞はそれほど酷くなかったが、都内に入ってから聞いた交通情報では10kmを越える渋滞を伝えていた。帰宅した後には渋滞が40km位まで渋滞が伸びたらしい。山の早出、早着きはあらゆる意味で鉄則だと改めて思う。



行動時間     4時間30分
歩行時間     4時間
標準CT      6時間5分




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