甘利山  千頭星山  1731m、2139m 山梨県      
 

2017年8月30日(水)

 8月も残すところ僅か。月が変わらないうちにもう一度どこかに出掛けたいと思うが、標高の高い山は天気が今一つ。鬱々としながら山と高原地図「北岳甲斐駒」を眺めていると、見落としてしまいそうな隅っこに千頭星山という標高2100mを少し超える山があった。ハイキング対象の山ながら、破線ルートで鳳凰三山の主脈にも繋がっており中々面白そうだ。朝早い時間であれば、多少の晴れ間は期待できそうなので早速出かけてみることにした。


朝もやに包まれる甘利山グリーンロッジ


 午前5時、甘利山グリーンロッジ前の駐車場に到着。身支度を済ませて5時35分にスタートする。手入れの行き届いた遊歩道を30分ほど歩くと、あっけないほど簡単に甘利山の頂に着いた。レンゲツツジなど、花の山として有名なこの山だが、今やシーズンは終盤。三脚を構えたカメラマンが一人だけと閑散としている。


どこに行っても存在感のある富士山



お花畑は終盤



 山頂を通り過ぎると、30mほどの下り。たっぷりと朝露を蓄えた笹原が登山道の両側に密生して待ち構えていた。これは毎度お馴染みの笹の葉シャワーをたっぷり浴びることになりそうだ。覚悟してはいるものの、少しでも浸水被害を食い止めようとスパッツを装着しておく。


気持ちの良い散歩道があり、、、



サルオガセの森もあって楽しいが、、、



生い茂った笹にびしょ濡れにされてしまう


 奥甘利山への登りは標高差100mほどだが、勾配がきついので息が切れる。ピークを越えると休む間もなく今度は300m近い急登だ。笹原の中を泳ぐように前進する。ゴアテックスの防水性能を越える水攻めの連続で、ブーツの中は敢え無く水溜りと化してしまった。

 7時30分に千頭星山に到着。樹木に遮られ、山頂からの展望はない。ここからが本日のハイライト。この機会に鳳凰三山の主稜線への破線ルートを、時間と天気の許す限り偵察してみることにする。


山頂からの展望無し


 山頂から少し下ると展望が開けるところがある。ガスが掛かってはいるが、地蔵岳方面の主稜線が遠望できた。正面には噂に聞く大崩壊地が赤茶けた岩肌を晒している。


山頂を少し下った笹原 もはや諦めの境地



大崩壊地 手前のピークに登って立ち往生


 この尾根は大ナジカ峠に向かって大きく落ち込んでいるが、その手前にはいくつかピークがある。一つ目を越え、二つ目に差し掛かったところでうっかりマーキングを見落としてしまった。あるかないかの踏み跡を辿ってピークを越えると、その先は何と急峻な崖。

 完全にミスルートしたと思い、戻ろうとするとピーク山頂部に「大ナジカ峠を経て南御室小屋に至る」と書かれた半ば朽ちかけた案内板があった。これにすっかり騙され再び崖っぷちに戻り、下降点を探して右往左往してしまった。しかしどこも蟻地獄のような急斜面で朽ちて当てにならない枝と脆い岩だらけ。


これにすっかり惑わされた


 怪我をしては元も子もない。結局下降を断念し、来た方向にピークを下ると、何のことは無い。マーキングがあった。正解は「左手の沢を一旦下降してピークを巻く」だった。

 そうこうしているうちに天気は下り坂。辺りはすっかりガスに呑まれてしまった。急峻な下りに辟易しながら大ナジカ峠に到着。道迷いのロスタイムもあり、時刻は既に9時を回っている。


大ナジカ峠は気持ちの良い開けた笹原だった


 天気が良ければ辻山辺りまで行って南アルプスの盟主北岳に表敬したかったが、視界は絶望的とあって完全に戦意喪失。本日の偵察はここで打ち切りということに。少々時間は早いがここでランチタイム。帰路の急登に備えしっかりカロリー補給をしておく。


降りてきたピークはガスの中


 再び大汗をかいて降りてきたばかりの250mを登り返した。千頭星山直下まで戻ったところで、これから南御室小屋へ向かうという二人組に行き合った。彼等にはエールを贈るとともに、二番目のピークには絶対登らないようアドバイスしておいた。

 千頭星山から先はお気楽なハイキングだ。笹の葉も今やすっかり乾き、笹原に分け入っても快適そのもの。そこかしこに咲く今が盛りのマルバダケブキのお花畑を鑑賞しながらのんびり下山した。


マルバダケブギの群生



奥甘利山から千頭星山を振り返る


 駐車場到着は12時ちょうど。6時間25分のハイキング+αの充実した山歩きだった。


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