仙ノ倉山BC  新潟・群馬県 2026m            二百名山 
 


2015
3月21日(土)


 前回登った日白山は展望台と言われるだけあり、ズラリと勢ぞろいした谷川岳連峰の眺めが圧巻だった。とりわけ茫洋として取りとめのない平標山の隣にあって、くっきりとした三角形の陰影を持つ仙ノ倉山が一際目を引く。自ずと次はこの山に登ろうと心に決めたのだった。下山路は、予てより一度は滑りたいと思っていた有名クラシックルート、シッケイ沢だ。折り良く春分の日は最高の春スキー日和になりそうとの予報。かくして4年ぶりにこの山を再訪することになった。

 午前
7時前に平標山登山口近くの除雪スペースに到着。祭日とあってほぼ満車状態だ。運よく最後に残った1台分のスペースに駐車することができた。

 身支度を整え、
75分に車を後にする。別荘地へと向かう林道に雪はついていないのでスキーを肩にハイクアップ。三々五々前を行く人達の姿が見える。スキーヤー、ボーダー、登山者とその出立ちは様々だ。


             除雪最終地点                  先行する人達


 除雪最終地点でシール登行に切り替える。今日は土樽の列車時刻、
1359分というデッドラインがあるせいか、自然と足が早くなってしまう。カップルや登山の団体さんを次々に追い抜いていく。

 ヤカイ沢ルートは右俣の源頭を正面に見ながら、右に回り込んで沢状地形から稜線に登り上げるのが何時ものルート、この日は気まぐれを起こして手前の小尾根を登ってみることにした。


       ヤカイ沢左俣には大規模なデブリが           小尾根に取り付く


 北向きの斜面なので朝の冷え込みで雪面はカチカチに凍結。初めからクトーを効かせながらジグザグ登行するが、斜度がきつくなると、クトーがあっても滑るし、キックターンもままならない。万一滑落すれば立ち木に衝突して相当痛い目に遭いそうだ。このルートを選んだことをちょっと後悔し始める。そんな矢先、方向転回しようと片足を上げた瞬間、軸足のスキーがスリップしバランスを崩してしまった。とっさにウイペットのピックを雪面に突き刺して滑落は免れたものの、もう1本は通常のストックで支点確保の役に立たず、その後も体勢立て直しにひと苦労。やはりウイペットをダブルにしておくべきと痛感した。追加投資止む無し。


         カチカチの凍結斜面をシール登行          やっと尾根筋に出た


 そんなこんなで、やっとの思いで尾根筋に出てようやく一息ついた。水分補給しながら、稜線を見上げるとかなり藪が出ているし、雪面はデコボコ。相当に雪割れが多そうだ。稜線の中央を進むことは止めて、左側斜面をトラバース気味に登行することにする。

 この頃になると最初に張り切り過ぎたせいか、少々疲れが出てきて足が重い。忍の字で高度を上げていくと、ようやく山頂も間近となり斜度が緩んで来た。ここで単独の登山者と出会った。聞けば三国峠からやって来たとのこと。結構な長丁場のはずだが、微塵も疲れを見せず飄々と平標山の山頂を目指していった。


           地肌が露出する稜線                仙ノ倉山へ向けてトラバース


 同氏を見送り、笹穴沢の源頭を仙ノ倉山へ向かってトラバース開始。先ほどの氷地獄とは打って変わり、南東向きの斜面はとても美味しそうなザラメ雪だ。シッケイ沢は北東向きだが、雪面の緩み具合が気になる。


           平標山を振り返る                  仙ノ倉山へ最後の登り


 仙ノ倉山への稜線は地肌が見えているので、右手の斜面をシール登行。雪をつないで夏道へと出た。そこかしこに木道が姿を現し始めており、春の訪れを感じさせる。


         登頂を終えて引き返してくるカップル         山頂到着


 小ピークを
2つ越え、午前11時に仙ノ倉山の山頂に立った。快晴の空の下、谷川岳の屏風絵が文句なしに素晴らしい。山頂には同年輩の登山者とスキーヤーの二人が休憩していた。スキーヤーと話をすると、シッケイ沢には1名先行した方が居る由。それは心強い。彼自身は往路を戻りヤカイ沢を滑るそうだ。


万太郎山方面を望む


 滑降準備をしたり、行動食を摂っていたりするうちに続々と後続が登ってきて賑やかになった。
1130分、衆目が集まる中でちょっと気恥かしいが、一足先にシッケイ沢に向かって滑降を開始する。

 先行トレースにならって北に移動し、ドロップッポイントに立つととても日本とは思えない大迫力のアルペンパノラマが目の前に展開する。足元には無木立の一大バーンが遥か下まで広がっている。見えている範囲だけで高度差は
700mは有りそうだ。少しスキーを走らせて雪面をチェックするが、滑りやすいザラメで全くクラストしておらず一安心。


吸い込まれるように落ちていく


 (私にとっては)かなりの急斜面。意を決して飛び込み、谷底に吸い込まれるように落ちていく。我ながらターンがきっちり決まるので楽しい。先行トレースは雪面が少し硬くなると、すかさず緩んだ斜面へと移動して規則正しいシュプールを刻んでいる。必然的に私も右へ倣い、追随する。


まだまだ続く極楽斜面


 谷が狭まり左へドッグレッグしていくと壮大なスケールのデブリが出て来た。シッケイノ頭辺りから雪崩れてきたものらしい。このデブリを避けて右岸を滑降していくと、間もなく毛渡沢との出合に出た。この辺りからは斜度も緩くなり、雪も重くなって上半身頼りの試練の滑りを強いられる。それでも先行者がつけた的確なトレースのお陰で、下手なルートハンティングで進退きわまるようなこともなく、随分と楽をさせて頂いた。


大規模なデブリ



          デブリを避け右岸を行く                毛渡沢との出合


 額から汗を滴らせながら忍耐の滑りを続け、ようやく群大仙ノ倉山荘に到着。以前の吊り橋に変わって立派な橋が出来ているので難なく左岸へと渡ることができた。ここからは更に長く辛い道程が続く。少し時計の針が気になり出した頃、ようやく関越高速と鉄道の橋梁が視野に入ってきた。


           広々した河原を滑降するが、、、         次第に斜度が無くなり試練に                         



           橋を渡り群馬大山荘へ               橋梁をくぐって舗装道路へ


 舗装道路に降り立つとデポしてある車が多数。単独だとこれが出来ないので辛い。とどめは土樽駅に向かうダラダラ登り。もう一汗をかかされ、
1330分、ゴールの土樽駅に到着した。ホームに降り立つと案の定、先行者の方がおられた。群馬から来られたKさん。各山域のBC事情に精通し、エクストリームもこなす大ベテランの方だった。

 その後、越後湯沢への列車、また平標山登山口へ向かうバスの道すがら、Kさんにはお世話になりっぱなしの上、有意義なアドバイスを多々頂いた。この場を借りて厚く御礼いたします。


行動時間  
6時間25


 なお、今回もGPS不調でログが取れず残念な結果となりました。


  
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GPS不調でデータなし
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