2013年6月9日(日)
先週の富士山をもって今シーズンの山スキーは思い残すことなく終了。雪山装備を全て片付け、板もチューンアップに出し、頭も道具もすっかり夏山モードに切り替えた。
このところ梅雨らしくない好天が続いているのでじっとしていられない。さてどの山を歩こうか。思い浮かぶ候補地No.1は、これまで何回も計画しては空振りしていた佐武流山。山深い秋山郷の、そのまた奥にあって苗場山から白砂山を結ぶ稜線では最も標高が高いにも関わらず、日本二百名山の一つという以外に特に目玉となる特徴がない地味な山だ。
午前5時に405号線沿いの登山口に到着。駐車スペースは見当たらないので路肩に駐車した。練馬ナンバーの車が一台先着。今日の山は貸切という訳ではなさそうだ。
5時25分、ポストに登山届けを投函してスタート。登山口からすぐに目がしみるような新緑の森に分け入った。むっとする森の香り。思わす深呼吸して、フィトンチッドを胸一杯取り込んだ。しかしこの気持ちの良い森の散策はいくらも続かず、直に林道歩きとなる。
登山口 森の散策を楽しむ
道が山の西側から南側へと回り込むと、辺り一帯に陽が差してきた。陽光を浴びて一層鮮やかになった新緑が退屈な林道歩きを癒してくれる。
大岩山の山腹を1/4周ほどして月夜立岩が正面に見えるようになると檜俣川下降点はもう間もなくだ。ここから沢に向かって100mほどを一気に下降する。
ゆるゆると林道を登る 月夜立岩
事前情報によれば、渡渉ポイントには固定ロープが張り渡してあるとのことだったが、どこにも見当たらない。沢の水量は多くもないが少なくもない。飛び石伝いはちょっと無理そうだ。覚悟を決めて靴を脱いで裸足で渡る。ほんの5秒ほどなのに、水の冷たさで足がちぎれそうになるほどだ。
固定ロープは見当たらない この小滝の上を渡った
渡渉後はいよいよ山歩きらしくなってきた。木の根に掴まって体を持ち上げるような急登が続く。ぐいぐいと高度を上げると、ほどなく物思平に到着。曰くありげな名前だが、なんの変哲もないちょっとしたスペース。ここにテントがふた張り設営してあった。もぬけの殻なのでテントの主は山頂に向かっているのだろう。
物思平 テントがふた張り
尾根筋に出るとようやく展望が開けてきた。右側にそびええるもっこりした山は1631mピークだろうか。さらに岩菅山やら苗場山などスキーではお馴染みの越後の山々が次々に登場。真白き雪化粧の姿を見慣れているのでスッピン姿にはちょっと戸惑うが、夏姿もこれはこれで良し。
樹木は相変わらず多いが、、、 少しずつ展望が開けてきた
岩菅山(正面の高い方は裏岩菅山だろうか?)
太い根っこの絡み合う歩きにくい水無尾根をもくもくと登って1870mのワルサ峰の狭い頂きに着いた。ここから見える三角形のピークが今日の目的地、佐武流山であろうか。
ワルサ峰 佐武流山らしきピークが見えてきた
見晴らしの良い稜線のアップダウンを繰り返して、苗場山への縦走路との分岐点に到着。この辺りから残雪が続くようになった。雪で見失いがちの夏道を外すと根曲がり竹の群生に通せんぼされてしまう。
西赤沢源頭(苗場山分岐) しばらく残雪歩き
やがて残雪が途切れ、痩せた尾根が続くようになった。ここで下山してきた若い男性二人と行き合った。物思平のテントの主達だ。
それからほどなく山頂に到着。時刻は9時55分。人工物が一切見えない山頂というのは本当だった。樹木があるので眺望は北東方面に限られるが、林道やアンテナ、送電線といった類いは目に入らない。うねうねと折り重なる山並みだけの世界。苗場山と神楽ヶ峰、霞に煙ってはいるものの、越後三山も遠望できた。やって来た甲斐があった。
しばらく稜線を歩いて、、、 山頂到着
苗場山
越後三山
しばし眺望を楽しんでから山頂を辞した。再び痩尾根から雪渓へ。帰りは靴スキーで遊びながら下る。ここで登ってきた別の二人組と行き合った。結局この日、山中で会ったのは先ほどの二人と合わせて4人。シャクナゲ満開のこの季節、かつ日曜日にも関わらず、山に入ったのは私も含めて5人だけということだ。
登り返し(ピークの左隣は鳥甲山)
見事なシャクナゲ コイワカガミ
ワレサ峰で休憩していたテントの二人組に追いついた。しかし調子が良かったのはそこまで。急坂の降りが続くようになると膝に少し痛みがでてきた。雪山シーズン中は、機動性抜群のスキーで楽して下山していたので、歩いて下る労苦は久々だ。
コケが美しい この手があった
標高が下がるとともに凄まじさを増した虫の鳴き声に送られて降り続ける。ようやく檜俣川の渡渉点に戻ってきた。再び靴を脱いで水に足を浸す。日差しのせいだろうか、朝ほど冷たさを感じない。対岸を100mほど登り返す。後はのんびり林道歩きと森の散策を楽しんで、14時20分、無事登山口に帰着した。
行動時間 8時間55分
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