利尻岳  北海道 1721m    百名山
 


  
2009710

 利尻島にはその昔、フェリーで訪れたことがある。その際は利尻山への登山も予定していたが酷い風邪引きで果たせなかった。今回はその昔無かった空路からの訪問、かつ利尻山への再挑戦である。便を選べば東京から一泊で利尻山の登山は可能と思われるが、私の場合はマイレージの特典航空券をフルに活用するため、北海道に三泊することになった。同じ日のうちに羽田→千歳→利尻スルーのフライトが確保できなかったためで、冗長ではあるが中継地の札幌に一泊した。札幌ではホテルの只券クーポンが使えるJALホテルに宿泊。安上がりにしたつもりだったが、ススキノをうろついたり、時間つぶしでホテル近場の飲み屋でビールをたらふく飲んだりしたため、結局高くついてしまった。一夜明けて翌日、千歳からのフライトは定刻よりやや遅れて出発したものの、無事利尻に到着した。予報に反する素晴らしい天気で空港からも利尻山全貌が良く見えた。さっそくその雄姿を何枚もカメラに収めた。利尻はアイヌ語で「高い山」を意味する「リシッリ」に由来するとのこと。利尻山は島内のみならず礼文や稚内からも展望できて文字通り島の象徴的存在と言っても過言ではない。

 空港には約束通り沓形の民宿から迎えが来てくれていた。お姉さんの運転する車で約20分、「えびす荘」へ到着。まだ午後2時前だったので下見を兼ねて沓形コースの登山口のある見返り台に徒歩で向かうことにした。トレーニングがてらちょっと早足で歩き、1時間15分ほどで目的地に着いた。翌日は低気圧接近で天候悪化の予報が出ていたので、シャッターチャンスは余り期待できない。天気の良いうちにと山側、海側の景色をデジカメに収めた。帰路、折り良く下山してきた単独の方に出会った。登山道の状況を聞くとそれ程悪くないとのこと。雨続きのため沓方コースは自粛するようお達しがあったと宿で言われていたので心配していたが、これで心は決まった。夕食前には近くの利尻ホテルの日帰り温泉に行く。ミルクチョコを溶かしたような茶色のお湯に浸かる。海辺に面した露天風呂もあってゆっくり楽しめた。




見返り台から利尻岳



利尻島の紹介にちょうどいいのでパクリ


 
いよいよ待ちかねた利尻山登山の日。ここしばらく気象庁の週間天気予報を眺めて気をもんでいたが、やはり好天は期待できないようだ。昨日とは打って変わってどんよりした空模様である。利尻山がまだ見えているのが救いだが、頂上到着まで持つかどうか。平均年齢70歳は越えていると思われる御一行と一緒に昨日歩いた登山口まで民宿の車で送ってもらう。皆さんに別れをつげて一番降りで歩き始めた。登山路はたっぷりと水を含んで滑りやすく、U字溝のような構造になっているので、すぐに登山靴やスパッツは泥だらけになった。シリコンで防水処理をしてきたものの泥水のなかで何時まで耐えられるか。六合目辺りで単独の人を追い抜く。内地の山と比較すると+1000mすべしというだけあって樹林帯高度が低い。徐々に目に付きだした這い松と比例して増えてきた色とりどりの花々をカメラにおさめた。なかでもこの山域の支配的な花、蝦夷イヌナズナがいたるところに群生している。避難小屋を過ぎてから、夜明かしの坂とか背負子投げの何とかといった恐ろしげな名前がついている危険箇所が出てくるが、名前負けしているのではというのが率直な感想だ。とりたて怖い思いをすることもなかった。但しガレ場のトラバースだけは、気を引き締めて慎重にかつ急いで通過した。

 この辺りまで来ると東側からガスがどんどん下っており、次第に山頂周辺が雲にかくれるようになってきた。鴛泊コースとの分岐の尾根筋に出てから、さらにひと登り。ここは、小さな軽石が集積して一歩登ると半歩下がるような歩き辛い道だ。鴛泊から来た多くの登山者に混じって黙々と高度を上げる。     

頂上には8時45分に到着、登山口から約3時間半かかった。頂上の祠をバックに若い女性二人組みのシャッターを切ってあげた。小生の方もお願いする。完全に雨模様になってきたため、長居をせずすぐに下り始めた。360度「海」という絶海の孤島的パノラマを期待していたが、これは望むべくもない。ガスと雨で景色を楽しむこともできないし、ゆっくりする理由も無いので下山することにする。単調な道を長官山、七曲等の表示を横目にひたすら下り続け、12時丁度に利尻北麓野営場に到着した。時間が早いのでそのまま林道を下り続け、鴛泊市内へと向かう。国道で島を周回するバスをつかまえ南回りで沓方に戻ることにした。約40Kmを海を眺めながらゆっくり周遊し沓掛に戻った。利尻温泉に立ち寄り汗をながした後、3時過ぎに宿へ帰着した。


    


翌日は沓形岬や公園を散策した後、千歳経由の
ANAで帰途に就いた。

コースタイム
沓形登山口           0510
避難小屋              0610
三眺山                  0740
利尻山                  0845
頂上発                  0900
野営上着              1200
鴛泊                     1240

歩行時間合計       6時間30分(野営上まで)
標準コースタイム 8時間20


  トップ     山歩き 
inserted by FC2 system