2019年5月12日(日)
立山BC二日目は、毎シーズンの定番となりつつある御前沢滑降。雄山山頂から黒部湖まで、剣御前小舎から雷鳥平への滑降も含めると累積滑走標高は2000m弱にもなるロングツアーだ。ちなみに御前沢は厚さ30m近い氷体を持つ学術的にも認められた歴とした氷河だそうな。御前氷河の滑降には何となくロマンが感じられると思うのは私だけだろうか。
標高2750mに位置する剣御前小舎の朝は寒い。窓辺の雪に触るとカチンコチンで石のようだ。朝食後だらだらと時間をつぶし、雪の緩むのを待った。小舎前で日向ぼっこをしていると、スキーヤーが一人、三田平のテント場から剣沢を登ってきた。聞けば昨日は真砂沢を滑降した由。我々に先行してシュプールを一本残していた方だった。これから奥大日岳へ向かうとのこと。室堂乗越へと下って行く後ろ姿を見守っていると、まだ雪面はかなり堅そうだ。ターンはせず殆ど横滑りの連続で慎重に降りている。
荘厳な夜明け
もう少し雪が緩むのを待った方が良いのはやまやまだが、痺れを切らして我々も雷鳥沢を下山することにした。時刻は7時40分。雷鳥沢はシュプールだらけ。それが凍り付いているので何とも滑りにくい。エッジを効かせながら右手の尾根へトラバースし、だましだまし下って行く。それでも標高が下がるにつれ、ザラメの快適な滑りが出来るようになってきた。
つがいの雷鳥の見送りを受け、、、
雪はまだ堅いが、、、
滑り降りることに
カリカリ斜面を降りる
雷鳥平から一ノ越へと向かう
ブル道活用
雷鳥平からは称名川沿いに一ノ越目指して登って行く。一ノ越が近づくにつれて浄土山の山腹を大勢の登山者が歩いているのが目視できるようになってきた。標高2600m辺りで室堂からのトレースに合流。我々も晴れて蟻の行列の一員となった。
スキー場並みのシュプール
蟻の行列に仲間入り
10時ちょうどに一ノ越に到着。雄山を見上げると稜線上には殆ど雪がついていない。アイゼンも必要なさそうだ。小休止後、シートラでラスト300mの登りにかかる。毎度のことながら、ガレ場の急坂を前傾不自由な兼用靴で歩くのは難儀だ。
一ノ越から雄山を見上げる
1時間ほど喘ぎ登り、雄山山頂に到着。最高点にある神社で安全を祈願したら、早速滑降の準備にかかる。雪面は腐った新雪でザラメ化しておらず、余り楽な滑走はさせてもらえそうにない。
御前沢を俯瞰
神社からの滑降は止め鳥居からドロップ
11時30分、大勢のギャラリーの見守る中、Kさんが先頭を切って御前沢に飛び込んだ。例によって最大傾斜のラインで落ちていく。私も続くが、雪質とスラフを警戒して少し右手の尾根方向に舵を切ってから沢中央部へと滑り込んだ。滑ってみれば雪質は案じた程でもなく、上質ザラメ。殆どノンストップで滑走を続け、サル又のカールへと滑り込んだ。
Kさん突入
私も続く
御前沢中盤
同上
振り返る
下部は流石に重い雪に変わり、太腿を酷使するようになってきた。いつものように2274mピーク直下で尾根を乗越し、送電鉄塔に向かって延々と急斜面をトラバースする。鉄塔手前で尾根を40mほど登り返して尾根上に出た。
修行の雪になってきた
そろそろ乗越地点
延々と続くトラバース
尾根へ登り上げる
ここからタンボ平への標高差は約400m。ロープウェイのギャラリーの目があるので余りみっともない滑りは出来ない。何とか無難にタンボ平に降り立つと、雪面は前日にゴンドラから俯瞰した通り、深い縦溝だらけ。この辺りから黒部湖まで私にとって一番の試練となった。縦溝と藪に苦戦しながら滑走を続け、午後1時10分、標高1470mの黒部湖畔に降り立った。
ゴンドラの目を意識しつつ、、、
タンボ平へ滑降
見納め
黒部湖へ
黒部ダムへ
これにて今シーズンのスキーは終了。内容の濃い充実した二日間の余韻に浸りながら、板を背に堤防に向かって歩き出した。今シーズン10回以上もBCにご一緒し、年寄相手に何くれとなく面倒を見て頂いた私設ガイド兼、スキーインストラクター兼、介護役のKさんには大感謝です。また一つ歳を重ねる来シーズンはもっと手がかかると思いますが、何卒宜しく。。。
行動時間 6時間5分
Gear Dynafit Cho Oyu / Scarpa F1 Tr
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