大崩山BC 2523m 岐阜県               
 


2019年1月19日(土)

 大寒を目前にしたこの日、パウダースノーを求めて久々に乗鞍岳方面へ足を延ばした。向かう先は、昨年1月、股関節痛など体調不良に泣かされた四ッ岳のお隣に位置する大崩山。四ッ岳ではラッセルに参戦することはおろか、ルーファイのお手伝いもできず、完全にお客様状態。ガイドツアーで頂きに立たせてもらったようなものだった。今回はそのリベンジ戦。果たして汚名挽回となるかどうか。。。

 いつもの相棒Kさんとは、松本市郊外で落ち合った。ここから先は彼の車に乗り換え、一路平湯温泉スキー場へ。年を追うごとに長距離ドライブが苦痛になっている年寄りにとって、Kさんの介護送迎サービスは本当に有難い。

 まだ暗闇に包まれた午前5時15分にハイクアップ開始。我々の平湯到着を相前後して若者が出発していった。彼は四ッ岳へ向かうとのことだ。小雪が舞う中、単独氏が刻んだトレースを有難く使わせてもらう。


小雪の舞う中、駐車場を後にする


 最初の尾根への取りつきは毎度苦労させられるところだ。かなりの急斜面の上、新雪が不安定で油断すると板がずり落ちるし、トレースがあっても180度開脚のキックターンは容易ではない。おまけにシールの効かない木の根に阻まれたりして、最初の30分で汗をたっぷりかかされてしまった。


キックターンに苦労する私


 2時間ほど借り物のトレースで楽をさせてもらったが、大滝川の渡渉点へと向かった単独氏のトレースから離れ、我々は小沢から大崩山北東尾根へと取りつく。新雪は思いのほか深く、ファットの板では脛から膝まで沈んでしまう。これほどの積雪量なら、スーパーファットを選択すべきだったとKさん。股関節痛のトラウマがある私は、正直重い板より多少ラッセルが辛くてもファットがベターなのだが。。。


寒中ラッセルもまた楽し


 予想以上の深雪、Kさん提案により15分ローテーションで二交替ラッセルをすることになった。この方法でラッセルを続け、痩せ尾根の上部へと登り上げた。標高1700mから2000mまでの区間は痩せた尾根に藪が密生しており突破に難儀する。ここをスキーで下降するのはどう見ても論外。しかし良く観察すると尾根の右手の沢は、斜度も緩く比較的藪が薄い。帰路はこの巻きルートを使うことした。


激藪地帯を突破するKさん



尾根筋は藪地獄



跪いて藪のトンネルをくぐるKさん


 標高2000mの台地で一息ついた後は再び急登が始まる。膝、時には太腿まで埋まる厳しいラッセル。癒しは雪を纏ったオオシラビソの造形美と陽光を浴びて光り輝く白銀の峰々だ。


深いところでは太腿ラッセル



癒しの景色 四ッ岳方面



癒しの景色 金山岩?



大崩山を望む



おとぎの国に迷い込むことも



山頂直下のルンゼ ここを滑る人もいるとか


 雪や凍結によるシールやビンディングトラブルに悩まされながらも、営々とラッセルに励む。休みなしでハイクアップを続けるが、手ごわい深雪を前にして気が付けば山頂到着の目標としていた午後1時を回ってしまった。しかし、幸い風は穏やか、視界も十分と申し分の無い天候なので敗退は有り得ない。


ラッセルを頑張るKさん



氷と雪の世界を行く



どこまでもラッセルが続く



いよいよ山頂目前


 午後1時55分、やっとのことで山頂到着。駐車場を出発してから、実に8時間40分の長丁場だった。目の前には四ッ岳と猫岳、その間には乗鞍岳が顔を覗かせている。大展望を満喫し記念撮影を終えたら、早速シールを剥がしてお楽しみタイム。


山頂到着!



四ッ岳 右奥には乗鞍岳



北アルプス


 北向き斜面の雪は最高級の極上パウダーだった。深雪のラッセルに苦労させられた急斜面は、至福のオフピステゲレンデに化けてくれた。一応雪崩を警戒して相方を常に視界に入れ間隔をあけて滑走する。舞い上がるスプレーを全身に浴びながら、あっという間に2000m台地まで滑り降りてしまった。


滑降スタート



Kさん先行



スプレーを上げるKさん



スプレーを上げる私



台地までまっしぐら



まるで半身浴


 ここまでは天国、ここから下のやせ尾根は藪地獄だ。この難題は事前チェックが奏功。登行時観察したスキーヤーズレフトの沢に少し落とすことでうまく回避することができた。登りのトレースに復帰した後は、しばらくボブスレー。

 最後の難関は登りで苦労させられた崖下りだ。敢えて難易度の高い急斜面を選び、飛ぶように滑降するKさんを見送り、私は少しでも斜度の緩いスロープを選びながらマイペースで滑走する。それでも情けないことに隠れた木の根や笹のトラップにひっかり何度か転倒してしまった。

 4時5分に雪まみれになって帰着。登りで苦労した分、達成感は一入ながら、滑降時には動体視力や咄嗟の反応といった、所謂体の「きれ」が悪くなっていることを実感させられた一日だった。いつまでこんなハードな山スキーを続けられるだろうか。足腰はまだしっかりしているつもりなので、ロッキー・ザ・ファイナルの真似事でもやってみようか。


行動時間 10時間50分



Gear  Voile Supercharger woman 164cm / Scarpa F1Tr


  
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