2012年5月20日(日)
午前4時に起床。雷鳥荘の部屋のカーテンを開けるとすっかり明るくなっている。今日も上々の天気だ。朝食のサービスは6時半からなので、それまでの時間をすっかり持て余してしまった。カメラを手に外をぶらぶら散歩したり、地図を眺めながら夏山の縦走計画を練ったりして時間をつぶす。
夜明け 雷鳥荘の周りを散歩
ふと窓から雷鳥平方面を眺めると、奥大日岳へ向かって稜線を歩く人の姿があった。出遅れたかなと一抹の不安。朝食を終えた後、急きたてられるように私も出発した。
クラストしたカリカリの斜面を雷鳥沢のキャンプ場めがけて慎重に滑り降りる。降り切った所でシール登行に切り替えた。まだ雪面が硬いので念のためクトーも装着しておく。GPSをスタートし忘れていたのに気がつき、ここでスイッチオン。
雷鳥沢の尾根から新室堂乗越に向け進む 地獄谷がだいぶ下に見えるようになった
先ほどの登山者とは別に、どうやらもう一人先行しているようだ。それ程遠くないところで稜線に向かって登っている姿が見えた。間もなく新室堂乗越に到着。少々遠回りの経路を辿ってしまったかも知れない。どうした訳か、先ほどの単独氏が引き返してきた。どうやら少し緩み始めた雪面を踏み抜くので、つぼ足では無理と早々に判断したらしい。先ほど部屋から眺めたアーリーバード氏は足跡からしてワカンかスノーシューで歩いているようだ。
室堂乗越まではやや下り気味だが、滑り降りるほどでもないので、シール+クトーのままで進む。乗越の正面に聳える2400mピークは真っ白で妙に威圧感がある。45度前後と思われる結構な斜度があるので、ここからつぼ足に切り替えることにした。
奥大日岳 左が2400mピーク
スキーとストックをデポし、ピッケル、アイゼンの冬山装備で行く。急斜面にアイゼンを利かせながら登って行くが、気温が上昇しているので、だいぶ雪面が緩んできているようだ。足首辺りまでもぐる。それがピークの上に出ると脛ラッセル状態になってしまった。更に太腿まで踏み抜くようになって、完全に戦意喪失。こんなことなら、スキーを担いで来れば良かったと思うも、今さら引き返してシートラーゲンする気力も湧いてこない。
足首〜膝ラッセル状態が続く 剣岳が姿を現した
奥大日岳を目の前に、無念だがここから引き返した
せっかく早起きしながら早朝の歩き易い時間帯を有効に使えなかったのが致命的と反省するが後の祭りだ。今回は潔く撤退することに決めた。しかし、時間はまだ8時。室堂に真っすぐ向かうには早過ぎる。次回に備えて気になっていた山崎カールを偵察してみることにした。
ピーク下に降りたところで再びシールに戻して引き返す。新室堂乗越まで戻ってから、全くシュプールのついていない斜面を高度差にして150mほどを滑り降りた。気持ちの良い快適ザラメだ。降り切ったところから、一直線に山崎カール目指してシール登行する。次第に近づいてくる山崎カールをじっくり観察すると、斜面には沢山のシュプールが描かれているが、ドロップポイント辺りが厳しそうだ。急斜面の上、狭い雪の間隙の両脇に岩が出ているのでかなりビビりそう。
山崎カールへと向かう
ちょっと左に寄り過ぎたが、下から見たドロップポイントの様子
標高2600mまで登ったところで、偵察はもう十分と室堂平目指してスキー滑降することにした。誰もお絵描きしていない斜面を気持ちよく滑り降りた。降り切ったところから再びシール登行し、11時前に室堂ターミナルに到着。改札に並ぶと、お隣は何と昨日同宿だったKさんだった。浄土山の斜面を登り返して2度も滑られたとのことだ。私の方は、行き当たりばったりで歩きも滑りも中途半端な一日にしてしまったといたく反省。
この無垢の斜面を滑り降りた
臨時便のトロリーバスのお陰でスムーズな乗り継ぎができて扇沢には午後1時前後に帰着。時間が早かったので小仏渋滞もそれ程酷くならないうちに通過し、日暮れ前には無事帰宅することができた。
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