御座山  長野県 2112m   二百名山

  
 
2010124

 このところすっかり二百名山づいている。今回は西上州から佐久の山々にかけての最高峰である御座山を目指すことにした。天気予報は晴天を約束しているので八ヶ岳連峰の大展望が期待できそうだ。登山口は南相木村からと北相木村からとに大別できるが、コースがやや長くて、歩き甲斐のありそうな北面の長者の森から登ることにした。

 
中央高速を長坂ICで降りてから佐久方面へと進み、小海から124号線に入る。所々に御座山の登山案内の標識が立っている。これほどメジャーな山だとは知らなかった。長者の森ロッジから右手の道に入ってすぐのバンガローの立ち並ぶ道路脇に車をとめた。この先、さらにラフロードが続いているが、ドライブに来たわけではないので車に頑張ってもらう必要はない。車外に出ると風の音がごうごうと凄まじく、枯れ枝がばらばらと降ってくる。昨日の低気圧通過の余波がまだ残っているらしい。

支度を整え7時に出発。季節はずれのせいか、人や車の姿はどこにもない。歩きだしてしばらくは林道を行く。途中に車数台が置けそうな広場を過ぎるとすぐに階段の山道となった。ステップの段差は大きく、結構なスクワットを強いられる。やがて緩やかな登りとなって落ち葉の絨毯のカラマツ林を歩いていくと、正面に赤白の巨大な高圧線鉄塔が見えてきた。この下をくぐってしばらく登ると白岩コースとの合流点だ。



            無人のバンガロー村                           朽ちた階段を登る



              送電線の鉄塔が見えてきた                    気持ちの良い枯れ葉の道



             見晴らし台                                 次第に雪道になる



 
尾根筋へ出たので葉を落とした木々の間から景色が楽しめるようになる。見晴台からは新雪をまとった八ヶ岳連峰が圧倒的な迫力で目の前に広がっている。この辺りから少しずつ雪が現れてきた。前衛峰を過ぎると登山道は一面の雪になる。正面に見える御座山は黒々していて、謳い文句である「岩稜の山」といったイメージはおよそ感じられない。一旦鞍部へと下り、最後の急登となる。木の根っ子を掴んで体を引き上げるような道はすぐに終わり、正面に避難小屋が見えてきた。ここで本日初めて人の気配を感じた。雪上に一人の足跡が残っている。南面の栗生コースを登ってきたらしいが、すでに下山したようだ。小屋脇の岩場は、西面がすっぱり切れ落ちていて凄まじい高度感である。前言取り消し、岩稜の山の面目躍如だ。幸い先ほどまで吹き荒れていた風は、嘘のように治まっている。強風下では、這って歩かねばならないだろう。周囲に2000m超の山が無いだけに、眺望は文句なしに素晴らしい。正面に連なる八ヶ岳連峰を筆頭に、秩父、南アルプス、北アルプス、浅間山、先週歩いた妙義山等など、関東以西、以北の山のオンパレードだ。東方面には日航機事故の御巣鷹山も近いはずなのだが、折り重なる山々に埋もれてとても同定できない。




               立派な避難小屋                           ダンゴ串刺しの山頂標識



雪を頂いた八ヶ岳連峰(北八ヶ岳は雲の中)



南アルプス



奥秩父



妙義山(前衛山に邪魔され全体は見えない)



 
素晴らしい景色に圧倒されつつ、同時に思いもかけないことだったが、フラストレーションも頭をもたげてきた。最近登った二百名山は、毛無山、笊ヶ岳といい、どちらかというと「観客席の山」が多い。毛無山は富士山、笊ヶ岳は南アルプスの最高の見晴らし台だ。それはそれで結構だが、観賞されている白銀の峰々は言わば「メインステージ」で主役を演じている。たまには立ち位置を変えたいものだ。次回は雪支度をしてどこかの「メインステージ」を歩こうと意を決めて山頂を後にした。帰路は雪を薄く被った木の根に滑って尻餅をついたりしながらも、葉を落とした木々の間から陽光の差し込む初冬ながらも麗らかな尾根筋を楽しみつつ、ゆっくり下山した。結局最後まで人と合うことはない静かな山歩きであった。


行動時間   4時間20分
歩行時間   4時間
標準CT       5時間40


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