乗鞍岳BC               百名山
 


2013
2月14日(木)


 今回は厳冬期の乗鞍岳に初挑戦。この山には過去三回訪れているが、剣ヶ峰に到達できたのは夏のハイキングだけ(それも標高2700mの畳平から)。昨年5月はアイスバーンでシールが効かず滑落して敗退、11月には強風に恐れをなして位ヶ原止まりということで積雪期には三度目の挑戦ということになる。

 登頂の可否は、一にも二にも天候次第なのでタイミングを見計らうことにした。幸い
2月に入ってから冬型の気圧配置が緩み、短い周期で移動性高気圧が現れるようになってきた。高気圧に覆われ、穏やかな天候に恵まれそうな日を選んでGoとした。

 朝
8時半のリフト運転開始に合わせて乗鞍高原スキー場、善五郎の滝近くの駐車場に車を乗り入れた。平日ながら流石に人気のバックカントリーの山。日本各地のナンバーをつけた車から降り立った山スキーヤーやボーダーが身支度を始めている。

 せっかち男の私はそんな彼らを尻目に早速始発のリフトに飛び乗った。
3本乗り継いでスキー場トップ、バックカントリーエリアのスタート地点に立った。時刻は午前9時丁度。

 私が一番乗りかと思ったが、先行者のトレースが一本ついている。どうやらリフト運転開始前から歩き出した人がいるようだ。昨日の雪で雪面はまっさらな状態。有り難くこのトレースを拝借させてもらう。


         スキー場トップからはトレースが一本                        乗鞍岳お目見え


 昨年
11月末にはブッシュだらけだった急坂にはたっぷり雪がついていた。この急坂を越えるとなだらかな切り開きとなる。トレースの深さは足首程度。とは言え、先陣を切った方は一人でラッセルしているようなのでご苦労なことだ。

 しばらくすると高天ヶ原と並んで剣ヶ峰が姿を現してきた。意外にあちこち地肌が露出している。吹き付ける風が尋常ではない証左だろう。


          なだらかな切り開きを行く                   途中追いついてきた人に抜かれる(後で再び先行)


 人様のトレースがある上、前回苦労させられたブッシュや起伏が雪の下なのでとても歩きやすい。位ヶ原への急な登りに差し掛かったところで、先頭のスキーヤーに追いついた。


            位ヶ原山荘への分岐                          先行する単独氏に追いついた


 ラッセルのお礼を丁重に申し述べて先行させてもらう。少しは恩返しと思ったが、吹き曝しの位ヶ原は固くウインドクラストしているのでラッセル不要。何も貢献できず申し訳ない。


         位ヶ原(高曇りのため「暗いヶ原」のよう)                   時折強い風が吹き抜ける


 時折突風が吹き抜けるが、この程度なら山頂を狙えるだろう。帰りにカチカチのクラスト斜面を滑る勇気は無いので、肩の小屋まで行く計画は取りやめ。手前の肩の小屋口にスキーとザックをデポ。ピッケル、アイゼンに装備を替えて、ここから直接山頂に向かうことにした。

 夏道は肩の小屋から朝日岳へと大きく「く」の字を描いているが、危険な個所を避ければ冬場のルート取りは自由。剣ヶ峰に出来るだけ最短距離で向かうことにした。


直接剣ヶ峰へ向かう


 ツボ足で歩き出すと、いきなり吹き溜まりにハマって膝ラッセルとなり、おいおい話が違うとちょっと焦る。幸い、すぐにウインドクラストした斜面となってアイゼンを効かせながら快適に登れるようになった。

 時折雪煙を巻き上げながら突風が襲ってくるのでピッケルで確保姿勢をとる。山頂が近くなると
45度前後の急勾配になってきた。慎重に一歩一歩を刻んで午後1時、ゲレンデトップから丁度4時間で念願の冬季乗鞍岳山頂に立つことができた。


              剣ヶ峰山頂の鳥居                             エビのしっぽだらけ


畳平方面、バックは北アルプス



白山


 比較的穏やかとは言え、山頂の風は間断なく吹き付ける爆風のようで長居はしていられない。
360度の景色をカメラに収めてさっさと下山開始。

 山頂直下、先ほどの単独氏が、朝日岳方向から登ってきたので挨拶を交わす。何やら色々質問されているようなのだが、風音に遮られて言葉が聞き取れず会話にならなかったのが残念。

 帰りのルートは、蚕玉岳から肩の小屋口へ向かって一直線に下山することにした。アイゼンが小気味よく効いてくれるのでどんどん捗る。傾斜が緩くなったところで吹溜まりを避けて右方向に進路修正しつつデポ地へと下山した。


蚕玉岳から剣ヶ峰を振り返る



肩の小屋口(中央の二つの点)目指して下山



             下山のラッセル跡                         肩の小屋口の小屋(トイレ?)


 小屋脇で風を避けながら遅いランチをとった後、お楽しみのスキー滑降開始。当初だだっ広い位ヶ原で方向感覚を無くして北寄りに行き過ぎてしまった。進路を修正して切り開きのバックカントリーコースに復帰。おそらく1ダースほどのスキーヤーが食い荒らした雪面を避けて少しでもノートラックの部分を滑り降りた。


        せっかくのパウダーはギタギタがっくり              一本しかなかったトレースはハイウェイ状態       


 ふかふかの新雪を堪能できたのは、ほんのつかの間。肩の小屋口から
30分もかからずにスキー場トップに帰り着いてしまった。これで本日の予定は終了。しかし3本のリフトに乗るのにシニア一日券を買ってしまったため、貧乏性の私はゲレンデを何本か滑ってしっかり元をとってから帰途についたのでありました。


行動時間 5時間40


  
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