西吾妻山BC  大平下り               百名山
 


2017年3月4日(土)

 日本百名山で有名な吾妻連峰の北面には知る人ぞ知る山スキーのクラシックルートがある。その一つが大平下り。西吾妻山から東大巓へと連なるたおやかな稜線の途中にあるピーク、藤十郎から大平集落へと下山する長丁場のルートだ。

 今回もご一緒するのは群馬のKさん。同氏とは米沢市内で落ち合い、車を連ねて大平へと向かった。凍てついた山道のどん詰まりにある大平公民館前に私の車をデポ。Kさんの車に私の山道具を積み替え、一路天元台高原スキー場へ。

 行く手には澄み切った青空の下、真っ白な吾妻の峰々がくっきりと見えている。南高北低の気圧配置により荒れ模様との予報だっただけに、これは嬉しい誤算だ。

 天元台スキー場は5年半ぶり。前回は無雪期、しかも西吾妻山ピークハントで慌ただしく駆け抜けただけなので、初めて訪れたようなものだ。


一基目のリフトへ


 スキー場には予定通りオープン前に余裕をもって到着。8時20分の始発RWで標高1350mの高原駅に労せずして運んでもらった。しかし順調だったのはここまで。この先のリフト3基の稼働が遅れ散々待たされる羽目に。一基目はようやく動き出したが二基目が続かない。

 寒さに耐えているより歩いた方がましと、ウオーミングアップがてらゲレンデをシール登行する。後ろを振り返ると、他のBCスキーヤー達も諦めて歩き出したようだ。


北望台 見えているのは飯豊の山並みだろうか


 三基目のリフト乗り場に着くと、ジャストタイミングで運転開始。眼下に米沢平野を一望する標高1829mの北望台へ一番乗りできた。

 9時40分、ハイクアップ開始。前日の降雪で雪面はまったくのノー・トレース状態だ。先頭を行くKさんはラッセルマシーンと化してどんどん道を切り開いている。


がんがんラッセルするKさん


 周囲には部分的に雪を纏ったモンスターになりかけの樹氷が林立しており、その間を縫うように緩やかにハイクアップして行く。稜線近くなるとモンスターは完全に変身が終わっている。これを鑑賞できるだけでも来た甲斐があるというものだ。


米沢平野を望む



モンスターに変身中






 最初のピーク、中大巓は北側から巻いて人形石辺りで稜線へと出た。稜線と言っても高原のように広々しているので視界不良時には要注意だろう。

 ここでシールオフし滑降スタート。ウインドクラスト混じりながら、絶品のパウダーだ。藤十郎の一つ目のピークは南側から巻いて二つ目のピークに立った。緩斜面のアップダウンが続くが、ウロコ板のおかげで全くストレスを感じない。



Kさん


 藤十郎からはいよいよメインイベントの大平下り。私好みのメローなツリーランが延々と続く。滑走スピードに難のあるウロコ板ながら、極上パウダーのおかげでスキーは良く走ってくれる。





 しかし良いことばかりは続かない。このコースでの一番の懸念事項は間々川の渡渉。夏道通りだと急斜面となって進退に窮するとのレポがあったので早目に右岸へ。しかし渡渉点が上流過ぎたようだ。スキーを背に急斜面を四駆で攀じ登ったり、痩せ尾根の急斜面を滑降したりと要らぬアルバイトを強いられてしまった。


急斜面を四駆で攀じ登る私


 おまけにヒヤリとするシーンも。Kさんが通過した際の僅かな刺激で、尾根の右側に張り出した小雪庇が崩れ、それが連鎖反応を起こして下の斜面全体が雪崩れたのだ。しかも2回も。美味しそうな斜面なのに、ここを滑り降りようという気持ちはこれで一気に萎んでしまった。


雪崩れた斜面 破断面が観察できる


 間々川が屈曲する地点まで滑り降りると川床ではガイドツアーの団体がシールを貼って登り返しの準備をしていた。どうやらここが正しい渡渉点だったようだ。

 ここから1393峰の丸森山を目指してハイクアップ。少し締まり気味の雪面にウロコが良く効き、シール無しでもサクサクと登って行ける。ピークを越えた後しばらくは滑降を楽しめるが、斜度が無くなってからが長い。

 重い粘着性の雪は団子状になり、頻繁にソールに張り付いてしまう。こうなると全く滑らず、歩くことすらままならない。そうこうしているうちに先ほどのツアーグループが追いついてきて先行。大勢で悪雪を舗装してくれたので途端に滑りやすくなった。

 林道沿いにどんどん高度を下げ、そろそろ太腿が悲鳴を上げ始めた頃、大平公民館に帰着した。時刻は午後2時20分。期せずして恵まれた快晴の下、たくさんのモンスターを鑑賞。さらに東北ならではのパウダーを心行くまで味わうことができて大満足の大平下りだった。


行動時間  4時間40分



  
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