根子岳BC  長野県 2207m    
  

2012213

 山登りを再開して以来、関心事はますます若かりし頃に戻りつつある。かつては山スキーを志して5月の唐松岳にスキーを担いで登ったこともあった。今も昔も思考回路は同じままで成長していないようだ。春先の山歩きで見たスキーヤーに触発されて、昨年から40年ぶりにスキーを再開。年甲斐もなく派手に転んで首や腰を痛めたりしながらも、せっせとゲレンデに通った。カービングスキーなど道具の進化には目を見張るものがあるが、悲しいかな、体がそれに追いついていけない。それでも老いの一徹、涙ぐましい苦労の甲斐あって何とか少し様になってきた。

 最近の口癖「老い先短いのだから、、、」と家族にエクスキューズしながら、大奮発してスキー+山スキービンディング、兼用靴、シール等、山スキーギア一式を取り揃えた。ハードは一人前でも経験や技術というソフトは未熟、まずは好天を狙って初心者向きの根子岳からデビューすることにした。

 菅平奥ダボススキー場の第一トリプルリフトに乗って出発点を目指す。リフトを降りるとスノーキャットの受付をしていたが、もちろんこの誘惑には乗らない。乗るのはシールを貼った自分のスキー板だけ。実はシールを付けての歩行練習が今回の目的なのだ。


            第一トリプルリフトの下り場                          根子岳を見上げる


 空は快晴、北アルプスを始め白銀の峰々が歓迎してくれている。慣れない手つきでシールを装着、
9時きっかりにゆっくり歩き始めた。最初のうちは勝手が分からず、スノーシューのように一歩一歩足を持ち上げてパタパタと歩く。重い板を持ち上げているので当然足への負担が大きく、息も切れてくる。バックカントリーは楽じゃないなと思いながら試行錯誤しているうちにシール歩行にも慣れて来た。板を持ち上げるのではなく、板を前にすっと滑らせれば良いのだ。次に踏み込むようにしてスキー全体でしっかり雪面を捉えれば、ずり下がることもない。


          圧雪されたコース沿いに進む                        同時に出発したベテラン氏



北アルプスと妙高連峰の眺め


 慣れるに連れて次第にペースが上がってきた。ほぼ同時に歩きだしたベテラン氏を振り切ってどんどん高度を上げる。ゲレンデ同様、圧雪されたコースが頂上の方へと伸びているのでラッセルも無く楽チンだ。次第に傾斜がきつくなってきたのでクライミングサポートを一段立てて歩く。

 避難小屋への分岐を過ぎて全体行程の
2/3辺りまで来たところで背後から轟音が聞こえた。客を満載にしたスノーキャットだ。凄まじいエンジン音を轟かせながら2台が追い越していった。好天は午前中しか持たないとの予報通り、いつしか太陽が陰り出し、気が付けば遠くの山々も頂上付近は雲に覆われている。

 傾斜が緩んでくると、こんもりと雪を身にまとったモンスター達が立ち並ぶ頂上直下の広場に着いた。ここがスノーキャットの折り返し地点らしい。降りたばかりの乗客が出発準備にいとまがない。大別してスキー組みとスノーシュー組みとがいるようだ。後者は四阿山にでも縦走するのだろうか。頂上へは樹林帯を抜けていかねばならないが、木々の間をスキーを履いて歩くのは面倒なので広場において徒歩で登った。


             頂上はもうすぐそこ                            可愛いモンスター達


 山頂には
1045分に到着。1時間45分ほどのエクササイズだ。下り坂の天気とは言え、視界は申し分ない。圧巻の景色をしばらく楽しんだ後、下山にかかる。先ほどのベテラン氏がスキーを履いたまま、樹林の間を苦労しながら登ってきた。聞けば昨日も同じコースを歩いたとのこと、10m先しか見えないホワイトアウトで大変だったらしい。GPSで位置確認をしながら小刻みに下った由。


             2年ぶりの根子岳山頂                        菅平を振り返る(手袋の影がご愛嬌)



山頂には沢山のスキーヤーがいた



四阿山



草津方面を望む


 広場へと戻り、ここでシールを剥がし、ブーツの足首も固定して滑走モードとする。最初のうちは圧雪したコースを滑っていたが、せっかくの機会なので非圧雪エリアに踏み込んでみた。ふかふかの雪の上を浮揚するように走るのは何とも心地よい。すっかり病みつきになりそう。

 左にそのまま下ってしまうとゴルフ場方面に出てしまうので圧雪エリアと付かず離れず下る。
2時間近くかけてせっかく稼いだ高度600mを僅か12分で滑り降りてしまった。かくして私のBCデビューは目出度く終了。しかし天気も申し分なく、スキー場の延長みたいな圧雪コースを歩いただけなので、BCと称するのは、おこがましいのも重々承知。これから安全第一で無理せず少しづつ経験を積んでいこうと思う。


 

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