那須 朝日岳   栃木県 1986m          百名山
 


2019年10月23日(水)

 日本には朝日岳と名のつく山は数多くある。そのうち最もメジャーなのが、百名山や三百名山にノミネートされた、那須、谷川、そして北アルプスの朝日岳の三座。今年は後者二座に足跡を残しているので、残るは那須の朝日岳ということになる。この頂きを踏んだのは百名山ピークハントに血道を上げていた、かれこれ10年近くも前。台風崩れの熱帯性低気圧が過ぎ去った翌日、紅葉狩りがてら久しぶりにこの山を歩くことにした。

 今回は、ロープウェイのある東面の混雑を避け、西側にあって静かな沼原池を起点にする。反時計回りで周回し、朝日岳の他、まだ訪れたことが無い三斗小屋温泉も巡ってみるつもり。そろそろ夜が明けようとする頃、沼原池に到着。広い駐車場にあるのは、ひと気の無い車がポツンと一台だけで、目論見通り静かな山歩きが楽しめそうだ。

 手早く支度をして午前6時きっかりに沼原池を後にする。これから登る白笹山を見上げると、上部には分厚い雲。前日のGPV予報によれば、この辺り一帯は朝方雲が残るとのこと。外れてくれることを期待していたが、残念ながらスパコンの計算に狂いは無かった。


向かう先はあいにくの空模様


 登山道に踏み入れると前日の雨で至る所ずぶずぶの泥濘だらけ。早くもズボンの裾が泥まみれとなるが、いちいち気にしていては前に進めない。高度が上がると、案の定雲中に突入。同時に風も強くなってきた。

 文字通り深い笹に覆われた白笹山、次は南月山とピークを越えていく。時折ガスの切れ目から那須の市街地が見渡せるが、それも森林限界を越えるまで。やがて視界は完全に閉ざされてしまった。強い西風が間断なく吹き付け、まるで冬山の様相だ。




 牛ヶ首から峠の茶屋へ向かうトラバース道に入ると風当りは益々強くなった。眼鏡には拭いても拭っても、すぐにびっしりと水滴が付着し視界を遮ってしまう。視力よりも視界が大事と眼鏡を外すことにした。


牛ヶ首が辛うじて見えた


 峠の茶屋の辺り一帯は、強風が吹き荒れることで有名。この日も例外にあらず、体当たりするような風に身体が泳がされ、時には耐風姿勢を取らねばならないほど。まるで冬山の予行演習のようだ。

 天候の回復は期待するほどには進まない。朝日岳まで来ても相変わらず強風、視界もゼロ。山頂でもゆっくりなどしていられない。追い立てられるように朝日岳の肩へと取って返した。


 その後も休みなしで下山。熊見曽根を下り標高が低くなるとようやく風が治まり一息つくことができた。隠居倉という奇妙な山名のピークを越える頃になると、遅ればせながらようやく天候が回復してきた。下山したら青空という良くあるパターンに今日はまんまと嵌ってしまったらしい。残念だが致し方なし。


三斗小屋温泉の源泉



三斗小屋温泉


 10時30分、三斗小屋温泉に到着。柔らかな日差しの下、やっと落ち着いて昼食がとれた。事前にチェックしたところ、ここにある二軒の温泉宿では日帰り入浴は出来ないらしい。味わうのは秘湯の雰囲気だけにして帰路に就く。ここから沼原までの標高1300m前後はちょうど紅葉が見頃。錦秋の那須を心行くまで堪能することが出来た。



 



 



茶臼岳の雲は大分取れてきたが、、、


 


朝日岳はまだ雲の中



 


 12時35分、沼原の駐車場に帰着。帰路寄り道して板室温泉大正村幸乃湯で汗を流し、気分良く帰宅の途に就いた。しかし、都内に入った途端、要人来日に伴う交通規制で首都高や幹線道路はどこも大渋滞。せっかく山で養った鋭気とフィトンチッドは自宅に着く頃にはどこかに消し飛んでしまった。


行動時間 6時間35分


 




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