苗場山  新潟・長野県 2145m       百名山 



20101023

 今週末は、先々週悪天候で見送った苗場山に行くことにした。地図を見ると苗場山は標高が上がる程に等高線が込み合ってくるが、南西方面だけが緩い等高線となっていてまるで航空母艦のようだ。切り立った崖の上にある頂上部は高層湿原になっていて周囲が10kmにも及ぶという。富士山などと同じ立派な成層火山であり、元々はコニーデであったものが、火口部周辺の侵食が進んで現在の山容になったということらしい。登山口はいくつかあるが、今回はアクセスが良くて最もポピュラーな「かぐらみつまたスキー場」から登ることにした。

 例によって夜中に自宅を出発して関越道を湯沢
ICへと向かう。高速を下りて国道17号からスキー場への林道に入り、予定していたよりも早く、午前5時前に第二リフト町営駐車場に着いた。既に10台以上が停まっているが、夜明けまで間があるせいか誰も車から出てくる気配がない。今回は先週の塩見岳のような長丁場ではないので、仮眠して夜明けを待つことにした。しばらく、うとうとしていると周囲が明るくなってきた。外を見渡すと出発の準備をしている人達がいるし、続々と後続の車が到着している。空には雲ひとつない晴天だ。ラッシュになりそうなので慌てて身支度をして545分に車を後にした。

 ゲートを越えて和田小屋へと続く舗装された道を行く。このときは駐車場脇にショートカットできる登山口があるのに気がつかず、要らぬ遠回りをしてしまった。和田小屋までは
1kmほど、ちょうど良い準備運動だ。ここからいよいよ樹林帯のなかの登りとなる。登山道には濡れた石がごろごろしているので歩き辛い。何度も滑ってバランスを崩してしまう。今日は一番乗りかと思っていたが、前方には単独の女性が歩いている。しばらくストーカーのように後ろについていたが、ペースが合わないので先行させてもらった。下ノ芝辺りから少しずつ展望が開けてくるので登りが苦にならない。右手にまだスキーのリフトが見えている。高度1800m辺りであろうか。シーズン真っ盛りの頃にはパウダースノーが楽しめそうだ。中ノ芝にはちょっとした展望台があって東方の山並みが一望できる。薄い雲海の上に山並みが浮いていて形容しようもない美しさ。谷川岳、武尊岳や巻機山、奥の方には日光の山々が見えているはずなのだが、情けないことに確信をもって同定できない。ここからやや平坦になって上ノ芝、神楽ヶ峰を過ぎるとようやく苗場山のご本尊が姿を現した。ここから見ると地図通り急峻な山容でその先に高層湿原地帯が広がっているとはとても想像し難い。



              登山口(下山時撮影)                       和田小屋への林道(下山時撮影)



               朝日を浴びる紅葉がきれい                  濡れた石のごろごろした道                 



             神楽ヶ峰までもうすぐ                             雲海の上の峰々



            神楽ヶ峰から見ると険しい苗場山                    実は嘘のように平坦な頂き



 
一旦鞍部まで下りきって登り返すが、今までの行程で一番の勾配で息がきれる。ここで下山して来たハイカーと本日初めて行き交った。山頂の小屋に泊まっていた由。頂上の展望は素晴らしいですよと励まされる。しばらく景色はお預けにして足元だけに神経を集中して登っていく。やがていきなりと言って良いほど唐突に別世界が目の前に開けた。麦草色に染まった草原が一面に広がり池塘が点在している。広々した草原のどこに山頂があるのだろう。山頂湿原の木道を辿っていくと山小屋が2軒見えてきた。山頂の標識はそのうちの一つ、遊仙閣の裏手にひっそりと立っていた。出発から2時間45分。これで70座目の百名山をクリアすることができた。山頂部分の周囲は樹林に囲まれているので長居をするようなところではない。証拠写真をとってすぐに湿原へと向かう。麦草色の草に緑のはい松、点在する池塘のコントラストが素晴らしい。折角なので小赤沢コースの方へしばらく歩いて湿原の美しい眺めを心行くまで楽しんだ。



            気持ちのよい木道の散歩道                       ひっそり佇む山頂の標識



小赤沢コースへの木道



奥のとんがった山は皇海山?



谷川岳方面を望む



 
木道をのんびり歩きながら引き返し、小屋近くのテラスで小赤沢から登ってきた方と一緒に山座同定を試みたが、広域地図がなかったので今一つ確信が持てない。帰宅後カシミールでチェックすることにした。去り難いがそろそろ下山することにする。再び壁のような雲尾坂を下る。往路では凍って締まっていた道がすっかり融けてぬかるみになっている。この頃になると続々とハイカーと行き交うようになった。みな一様にカメラのシャッターを切ることに余念がない。泥濘で滑らないように足運びを慎重にしたり、登ってくる人達に度々道を譲るのでロスタイムが多い。それに石だらけの道は滑りやすいので下りと雖も時間的には登りと大差ない。和田小屋を過ぎた後は、紅葉を楽しみつつ林道をのんびり歩いていると後ろから若者が駆け下ってきた。聞けば山頂まで1時間50分で登ったこと、今日はもう一山(巻機山)やるとのこと。やはり若さには叶わない。駐車場には1115分に帰着。帰るにはちょっと早すぎるが、これで高速の渋滞には巻き込まれずに済む。



行動時間  5時間30
歩行時間  4時間45
標準CT    7時間40


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