2013年3月23日(土)
2月の中旬にパウダースキーを楽しませてもらって以来、すっかりこの山の虜になってしまった。もとよりパウダーシーズンはとっくに終わり。それでも諦めきれず「もどき」でもいいからと降雪後を見計らって再訪することにした。
週末で、しかも午前7時半を回っているというのに、温井集落の除雪最終地点に着くと何と私が一番乗り。しかし流石に人気の山、出発準備をしていると続々と車がやってきた。
天気は予報通りの曇り空。昨夜からの一時的な冬型による降雪を期待していたが、前日のトレースがそのまま残っているのを見ると、どうやら空振りだったようだ。
7時50分に出発。周囲の光景は前回とは大違い。融雪がかなり進んでいる。水道の施設小屋を押しつぶさんばかりだった雪は、今や小さな綿帽子。小雪のちらつくなか、カリカリに凍結した雪面を歩く。
除雪最終地点に一番乗り 融雪がかなり進んでいる模様
前回は三角屋根を左に見ながら右手へと進み、林道をショートカットするようなルート取りだったが、これはちょっと遠回り。今回は最短コースを狙って、小屋脇から直接尾根に取り付く。
左側正面の尾根に取り付く 首都大学小屋
直ぐに急登となるが、カリカリの氷結斜面に、ろくすっぽシールが効いてくれず、のっけから苦戦だ。もたもたしている間に後続のテレマーク二人組に追い抜かれてしまった。いつものように腕の悪さは道具でカバー。クトーを装着して登行継続。
最初は緩斜面 急登の先にはブナ林が
天気は回復の兆し無しだが、それはそれで良し。氷の衣を纒ったブナの美しい森がガスの中から浮かび上がって何とも幻想的だ。しかし高度が上がるにつれ、ガスは更に濃度を増して、殆どホワイトアウト状態になってきた。
何度見ても素晴らしい自然の造形美
9時45分に山頂に到着。視界はせいぜい数メーター。先行した二人組が座り込んで滑降の準備をしているのが辛うじて見える程度。風はそれほどでもないが、気温はかなり低いようで薄手のアウターでは震えがくるほど寒い。
時刻はまだ10時前なので、前回滑った北東斜面がどうなっているか、おさらいしてみることに。視界不良のなか、とんでも無い方向に降りないようGPSをチェックしてから滑降開始。
雪面はカチカチに凍結した上に薄く新雪が積もった状態で、所々吹溜まりといった感じ。ガリガリとスキーのエッジがアイスバーンに底付きしているので、パウダーの浮遊感は期待すべくもないが、それでも十分滑降を楽しめた。
前回同様200mほど下ったところで終了。再びシールを貼っての登り返し。薄く粉雪をまぶした氷化斜面には毎度苦労させられる。クトーの歯も雪面に跳ね返されて横滑りするし、私の技術では、キックターンもままならない急斜面。スリップしないよう神経を足元に集中させ、最後の急登をトラバースするように斜めに登りきって再び山頂に立った。
相変わらずガスは濃厚で視界ゼロ。良くなる気配も無いので今度は速攻で下山することにする。シールを剥がし、GPSをチェックして下る方向を確認。前回南側の尾根を下ったので今回は北側を行く。
視界はせいぜい数メーター 北側の尾根を下る
基本的にクラストがやや緩んだ雪質だが、気温が余り上がらないせいか、ザラメには程遠く、時折ガリガリとエッジが絡む。視界不良なのでスピードを抑えて慎重に下っていたのに、不意に現れた段差にバランスを崩して思いっきり転倒。硬い雪面で打った腰の痛いこと。暫く痣になりそうだ。
先行する二人のスキーヤー
この斜面を下りきって台地に滑り込んだ
最後の急斜面に立つと眼下の雪原にツアーらしき一団が見えた。滑り降りてみると何と皆小学生くらいのちびっこ達。やはり雪国らしい。こうした中から熟達の山スキーヤーが育ってくるのでしょう。ツアーのちびっこに混じってゆるゆると滑降し、11時40分に車に帰着。
ちびっ子スキーヤー達 路肩は満車状態
期待していた降雪は少なくてちょっと残念だったが、変化のある雪面でのスキーを経験できたので十分満足。鍋倉山はやはり素晴らしい山だ。着替えを済ませた後は、一路今日の宿の長岡市を目指してハンドルを握った。明日は浅草岳に登る予定。
行動時間 3時間50分
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