火打山  妙高山   新潟県 2462m、2454m       百名山   
 

2016年10月15日(土)

 久々に土日と高気圧に覆われた日本列島。高速料金が節約できるため、サンデー毎日の私にとっても有り難い晴天の週末だ。天気が良ければ目的の山を決める作業も楽しい。山地図を前に散々迷った挙句、積雪期にお馴染みの頚城山塊を歩くことにした。

 本命は未だ頂を踏んだことのない焼山だが、残念ながら今年3月に山頂部半径1Km以内が立入規制されたので解除されるまではお預けだ。せめて近くまでということで火打山に登ることに。

 予定した行程は、赤倉スキー場に近い燕温泉を起点に、妙高山を経由しての火打山へのアプローチ。山と高原地図によれば、標準CTが14時間を超える長丁場となる。日没前に帰り着けるか微妙なところだが、早朝に出発し、老いの一徹パワーを発揮すれば何とかなるだろう。


           登山道というより遊歩道                              光明滝 


 未だ夜の明けやらぬ午前5時5分に燕温泉の日帰り駐車場を後にする。静まり返った温泉街を抜けると、程なく登山道の標識があった。登山道と言っても幅約1m、コンクリートで舗装された立派な遊歩道だ。この快適至極な道は北地獄谷に沿いに源泉の管理棟を過ぎるまで続いた。

 硫黄成分に依るものか、白い岩肌を流れ落ちる光明滝を見送るといよいよ急登が始まる。朝日に染まる紅葉に癒されながら30分ほど喘ぎ登ると四合目。この先も胸先八丁と苦しい登りが続く。六合目の天狗堂を過ぎる辺りから、周囲の山々の展望が開けてきた。


朝日に染まる紅葉



              木々の造形が美しい                              急登が続く


 妙高山と外輪山の間、南地獄谷の源流辺りだろうか、シューという音と共に高く舞い上がる水蒸気の噴出があった。周囲には硫黄の匂いも漂い、ついつい御嶽山の惨劇が頭を過ってしまう。


            山頂が望めるようになった                             天狗堂



              ようやく八合目                          外輪山 この下から水蒸気が噴出


 急登はなおも続く。最後は鎖場を慎重に登り、ごつごつした岩場を辿って最高地点の妙高大神2454mに着いた。燕温泉から3時間10分の道程だった。ここでようやくお目当ての火打山、焼山にご対面。火打山までは直線距離にすればせいぜい5Kmにも関わらず、うんざりするほど遠く見える。


               九合目の鎖場                             山頂までもう一息



火打山は遠くてうんざり



             こちらが標高2454m                             北峰は標高2446m


 山頂には山小屋を発ってきたハイカーが大勢屯していて休むスペースもない。すぐに北峰に移動するが、降った雪が解けたのか、辺り一帯は泥濘だらけだ。腰掛けることもかなわず、立ったまま行動食にパクついて小腹を満たしておく。

 山頂から燕新道分岐までは標高差400mの大下り。足場が悪い上にハイカーが続々と切れ目なく登って来るため、道を譲る待ち時間も馬鹿にならない。ボトムから大倉乗越までは100mの登り返し。その後すぐに150mの下りと休む間もなくアップダウンが続く。


長助池は殆ど涸れていた



             大倉乗越から、、、                            火打山を望む


 10時10分、レーダードームのような黒沢池ヒュッテに到着。ここまで来てようやく中間地点だろうか。まだまだ先は長い。次のマイルストーン、高谷池ヒュッテまでは小一時間ほど。前半は眼下に黒沢池を、後半は少し近づいた火打山を眺めながらの道。ところどころ酷い泥濘があるので油断できない。足元から飛び跳ねた泥が眼鏡やウエアを汚すほどなので、尻餅でもつけば悲惨なことになる。


             黒沢池ヒュッテ                            ここから茶臼山を越えていく



妙高山と黒沢池を振り返る


 笹ヶ峰との分岐に着くと愈々火打山が大きく迫ってきた。高谷池の対岸には色とりどりのテントの花が咲き、木道を行き交うハイカーはさながら最盛期の尾瀬沼のようだ。


            高谷池ヒュッテ分岐                             テント場も大賑わい



湖面のさざ波が残念



高谷池、天狗の庭を振り返る



               泥濘が続く                             この辺でタイムリミット


 BCスキーでは延々トラバースする天狗の庭から雷鳥平への夏道は尾根筋を忠実に辿っている。この辺りで時間が気になりだした。日没を考慮して自ら課した引き返し時刻のデッドライン、正午をそろそろ過ぎようとしている。しかし山頂まで余すところ後僅かなので、ルールを曲げてハイクを続行。タイムリミットから遅れること15分、12時15分に1年半ぶりの頂に立った。


焼山



北方台地



妙高山を振り返る


 山頂からの360度の眺望は圧巻だ。火山独特の不気味な岩肌を晒す焼山からは盛んに白煙が立ち上っている。その裾野には、昨春スキーの師匠、群馬のKさんにガイドして頂いた北方台地が広がっている。滑走したラインを目で追いながら、貴重な体験を懐かしく思い出した。

 山頂くらいゆっくりしたいところだが、足の遅いワンデイハイカーの悲しさ、引き返しの時間があるので余りのんびりとはしていられない。手早くランチを腹に収め下山にかかる。


また来る日まで、、、


 ここでも引きも切らず登って来るハイカーの通過待ちに泣かされる。結局登りと余り変わらないタイムを要して高谷池ヒュッテの分岐へ帰着。時計を気にしながら、休まず歩き続ける。

 黒沢池ヒュッテに着くと小屋前は大勢の宿泊者で賑わっていた。これからビールで乾杯という羨ましい人達を後目に三ツ峰へと向かう。これまでとは打って変わって余り整備の行き届いていない道だ。出会ったハイカーも一人だけという静けさ。根曲竹の群生に切り開かれた道は歩きにくいが、泥濘は無いので助かる。


           黒沢池ヒュッテから三ツ峰へ                      途中ダテカンバが美しい


 殆ど高度を下げないまま、神奈山との分岐に着いた。ここから燕新道までは僅かな距離ながら、足場も悪くロープに縋りながらの凄まじく急な下りだった。燕新道から黄金清水までは平坦で一息つくが、その後再び足場の悪い急坂を下る。


           神奈山の紅葉が美しい                         大倉池に向かって激下り


 大倉沢の渡渉点に着くと先行していた男女4人パーティがちょうど石伝いに渡ろうとしている最中だった。陽もかなり傾いてきたため、彼等には道を譲ってもらい先を急ぐ。


           1500m近辺がそろそろ見頃                    石飛に苦戦する女性ハイカー   



紅葉と滝のコラボは最高


 夕闇迫る午後5時10分、無事燕温泉に帰着した。天気にも恵まれ、慌ただしくも久しぶりに12時間越えの山歩きに完全燃焼した一日だった。至る所名湯だらけのこの山域、せっかくの機会なので麓の温泉宿でゆっくり汗を流したことは言うまでもない。


行動時間  12時間10分



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