妙義山  群馬県 1104m     二百名山
  


20101127

  週末の天気は上々との予報なので山歩きに出かけることにする。近場の百名山は登りつくしてしまったことから、最近は深田二百名山をかなり意識するようになってきた。二百名山リストには百名山には無い破線コースもある。年をとるごとに難易度の高い山での遭難リスクが高まるとはよく言われていることなので、まだ元気なうちにこうしたルートへのチャレンジを済ませておこうと考えている。その一つが今回の妙義山だ。

  
自宅を未明に出発して午前6時を少し回った頃に妙義神社近くの道の駅みょうぎに着いた。登山者用に指定された駐車場はもっと下った所にあるのだが、紅葉シーズンを過ぎているし、お土産も買うことだしと勝手に決め付けて停めさせてもらった。身支度を始めて、デジカメを忘れてきたことに気がついた。弁当を忘れてもカメラを忘れたことは、かつて一度も無かったのに。愈々ボケが始まったのかなとガックリしながら6時半に車を後にする。

 ところで、妙義山を縦走する場合、妙義神社と中ノ嶽神社のどちらを起点にすべきなのだろうか。標高差の点から言えば中ノ嶽からはアップダウンはあっても全体に下り基調になるので体力的には楽だろう。しかしマイカーの場合、中ノ嶽に車を置いていくと妙義山神社に下山してから再び
300m近くを登り返さねばならない。タクシーで戻る手もあるかも知れないが、やはり妙義神社からのルートの方がベターだ。

 さて妙義神社の大鳥居をくぐったものの、登山口がよくわからない。もともと大の字を経由するつもりだったのだが、結局妙義神社南入り口に入ったため、中間道をしばらく進むはめになってしまった。第一見晴地点から「これから先は上級者向き」との看板に少々ビビリながら白雲山頂方面へと踏み込んだ。大の字方面へトラバースするところで本日初めての鎖場になった。ここでいきなり洗礼を浴びる。落ち葉でカモフラージュされた偽ステップを踏み抜いてしまった。バランスを失って慌てて鎖にしがみ付くが、こんな調子では先が思いやられる。気を取り直して、繰り返し現れる鎖場に神経を集中しながら登っていく。何とも聞きしに勝る険しさだ。その一方で頭のどこかは麻痺して童心に返ってしまったようだ。次に何が出てくるかとワクワクしながらアスレチックを楽しんでいる節もある。


             携帯のカメラから裏妙義



 
奥の院は薄気味悪いので覗き込んだだけでパスし先を急ぐ。白雲山頂には若い三人組がいた。南側がスッパリ切れ落ちた岩の上に平気で立っているが、圧倒的な高度感で見ている方が怖くなる。景色は文句なしで北には裏妙義の怪異な奇岩の峰々が勢ぞろいしているし、西には雪を頂いた浅間山の秀麗な山容が展望できる。ここから痩せ尾根をアップダウンしながら天狗岳、相馬岳と越えていく。ネットで事前に情報を仕入れておいたのでサプライズは無いが、話で聞くのと自ら体験するのでは大違いだった。垂直に近い岩に垂れて居る鎖を掴んで上り下りするとどうしても体が反るので、岩そのものがオーバーハングしているのではと思えるほどだ。実際にそうなっている箇所もあったかも知れない。岩の表面が濡れている場合は特にいやらしい。スタンスが不安定なのでどうしても鎖を掴む手に力が入る。テレビのサスケという筋肉番組で筋肉ムキムキマンが上半身の体力を使い果たして次々に池に落下していくシーンがあるが、足場の悪い所では鎖を握り締めつつ思わずこのイメージが脳裏に浮かんでしまった。

 天狗岳のピークを越えて表妙義の最高点である相馬岳に着いた。時刻は9時。距離は短いのだが出発から2時間半を要している。ここから踏み跡はどんどんと下っていく。アップダウンを繰り返しながらホッキリを過ぎると本日のハイライトの鷹戻しだ。鎖と梯子の連続する50mを必死の思いで登りきった。上から見下ろすと垂直に近い壁で相当な高度感だ。ここを下りにとらなくて良かった。鷹戻しの頭に着くと、先を行く単独の登山者が目に入った。東岳を攀じ登っている。鷹戻しの頭からの垂直の下りは、足場が確保し辛かった。新旧の2本の鎖を握り締め、腕力を頼りに降りた。東岳に着くと二人の登山者が休憩している。先ほど見かけた方はその先の中之岳の頂に居た。これで最後のピークになるのでザックを下ろして休憩することにした。山頂にいた方は、妙義山の常連らしくここで昼食をとりながら色々話を聞いた。曰く、この山は下半身よりも上半身を鍛えていないと駄目だとか、一気に縦走する前に2回に分けて様子見をした方が良いとか、等々。


              妙義山最高峰の相馬山                         中岳山頂の祠



 しばらく休んだ後、一足先に下山を始めた。頂上からすぐに二段の鎖場となる。今度はロープが張ってあるので、このロープ沿いに進んで行くと、何と再び鎖場の下部に逆戻りしてしまった。ロープを跨いでいかねばならなかったのだ。しばらく急下降が続く。ここで中高年のご夫婦に追いついた。鎖場でギブアップして下山しているところだとか。メタボ体型の方々だったので止めて正解でしたと声なき声でつぶやく。石門分岐から石門広場に出ると、そこはものすごい数のハイカー達で埋め尽くされていた。石門から大砲岩を見上げただけでさっさと下山する。遊歩道をしばらく下ると石門入り口に着く。ここからは舗装道路だ。一本杉から再び遊歩道へ入り、紅葉と奇岩の景観を楽しみながらどんどん下る。再び林道に出て駐車場へは
午後1時丁度に帰着した。今回の山歩きは足腰だけではなくて全身運動だったので、翌日は案の定と言うか、上腕や腹筋など上半身の筋肉痛にしっかり悩まされた。


行動時間    6時間30分
歩行時間    6時間
標準CT                10時間15


  
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