御正体山  山梨県 1682m    二百名山
 

  
 

2011326

 日々伝えられる東日本大震災の悲惨さは、暫くの間、山歩きの意欲をすっかり殺いでしまった。被災者が大変な状況にあるのに、呑気にアウトドアスポーツをエンジョイするなどということは、考えただけで罪悪感さえ覚えるほどだった。しかし赤岳以来、長らく山の霊気、フィトンチッドを吸っていないので都会の毒気で窒息寸前になってきたのも事実。義捐金やら節電など自分に出来ることは一所懸命にやっているつもりなので、被災者の皆様には申し訳ないと思いつつも山歩きを解禁することにした。

 それでもちょっと遠慮して今回の目的地は近場の道志山塊、御正体山である。
ネットで御正体山の登山記録をチェックすると多くの方が道坂峠からピストンしているようだ。しかし、道坂峠の標高は1000mを越えていて、頂までの標高差がせいぜい600m程度しかない。これではちょっと物足りないなと思う。さらに400mほど下った細野の三輪神社登山口からの方が登り応えがありそうだ。少々道程は長くなるが三輪神社から入山し、道坂峠へ下山することにしよう。最後は細野に戻るため退屈な国道歩きを強いられるが仕方がない。自宅を早朝に出発、約1時間半で登山口に到着した。駐車スペースを探したが、神社近くには見当たらない。しばらく付近をうろうろした後、道坂峠に向かって少し登った路肩に僅かなスペースを見つけたのでここに車をとめた。身支度をして730分に車を後にする。鳥居の先にある急な階段を左に見ながら、うららかな春の日差しで気持ちの良い林道を歩く。しかし、花粉症に苦しんでいる人は、この季節とても心穏やかには歩けないだろう。周囲を見渡すとそこかしこ杉林、強い風にあおられながら花粉を大量生産しているのだ。



          三輪神社から歩きだす                           廃屋のベランダにくつろぐ猫



          立派な林道だが傾斜がきつい                     やっとアスファルトから解放される



 舗装道路が続いているが、次第に半端ではない勾配になってきた。一般車通行止めのゲートを過ぎると歩いて直登するのも大変なほどである。時折、建設工事の作業に向かう車が私を追い越していくが、エンジンを盛大にふかしながら低速で喘ぎ喘ぎ登っている。仏ヶ沢沿いにはこの立派な舗装道路が相当奥まで入り込んでいるようだ。

 背後に三つ峠方面と思しき山々が展望できるようになってくる頃、登山道の入り口があった。数日前の雪が積もっており、踏み跡は全くない。硬い舗装道路から落ち葉や雪のクッションを踏みしめて歩ける登山道は何と心地よいことか。一旦車道に復帰してから、道路を横切って再び登山道へと入る。ようやく山歩きらしくなってきた。雪はせいぜい足首程度、アイゼンを付ける程ではないので、つぼ足で登っていく。雪に埋もれたトラロープが続く急斜面になると、ちょっと足元が滑って覚束なくなってきたが、面倒なのでそのまま進む。

 やがて右手の尾根が合わさったところで傾斜が緩み、峰宮跡についた。ここの手前には池の平方面への分岐がある。御正体山へは殆どフラットの尾根道を行く。強い風がごうごうと周囲の木々を揺らしている。林のなかなので冷たい風に当たらずに済むので有難い。その分展望が犠牲になっているのは仕方がない。御正体山山頂には登山口から
2時間45分を要して1015分に到着。

 木々に覆われているので展望は全く無いが、気持ち良さそうな陽だまりがあった。雪の無い季節であればのんびり出来そうなところだ。ここには人の足跡があった。これまで動物の足跡ばかりを見てきたので妙に安心する。牧ノ沢山方面から登ってきたようだ。山頂にはベンチやテーブルがあるが、すっかり雪に覆われている。立ったままコンビニお握りの簡単な昼食をとった。



         登山道は林道の舗装道沿い                   道路を渡ってからようやく山歩きらしくなった



三ツ峠方面?の展望




               まったく足跡なし                            尾根筋に出た



          峰宮跡                        御正体山山頂


 食事の後は楽しむ景色もないので即下山開始、予定通り道坂峠へと向かうことにする。山頂からはいきなり急下降だ。滑って歩きづらいので
6本歯の簡易アイゼンを履いて歩くことにした。白井平分岐まで下るとここまでついていた先人の足跡は白井平へ向けて下っていってしまった。再び自分だけのものとなった雪のマイキャンバスにフットプリントを描きながら歩く。林間の尾根筋は、アップダウンの緩やかな雪の散歩道、それにところどころ展望が開けているので楽しい。正面には丹沢山塊がよく見えている。どっしりした形の良い山は大室山だろうか。


丹沢方面の眺め



絵画チックな三ツ峠?方面


 ゆるやかな登降を繰り返しながら歩き続けていると再び登山者の足跡を発見。どうやら道坂峠からここまで来て引き返したようだ。暫く進んだところでその足跡の持主に出会った。ちょっと無愛想な中年のご夫妻だった。ここから先、岩下ノ丸、
1228mピークとアップダウンを繰り返して今倉山への分岐に出た。分岐を右手に折れると、薄暗い杉林のなかを急下降していく。降り立ったところは廃道のようで、セメントで入り口を塞がれたトンネルがあった。少し歩くと道坂トンネル脇の国道に出た。ここら辺りはバイクの練習場になっているのか、爆音を響かせて飛ばしている連中が多い。こうしたバイク族を尻目に道坂トンネルに向けて歩きだした。都留市につながる国道をのんびり下り続けて、三輪神社には午後2時に帰着。哀れ、わが愛車はスギ花粉で黄な粉をまぶしたようになっていた。


           うららかな縦走路                               降り立った廃道


 最近GPSが不調で、今回もトラックデータが全く記録できていなかった。一旦リセットしないと駄目なようだ。工場出荷時点のデフォルトに戻して様子を見ることにしよう。

行動時間              6時間30
歩行時間              6時間(国道歩き含む)


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