巻機山BC               百名山
 


2013316日(土)

 ついこの間までやれパウダーだの、やれ新雪ラッセルなどと言っていたのが、嘘のようにすっかり春めいてきた。この週末は移動性高気圧に覆われて快晴が約束されているので、お気に入りの山、巻機山で春スキーを楽しむことにした。

 午前
7時に291号線の冬季登山口に到着。道路脇の除雪された狭い駐車スペースには先着の車が3台。その内2台の主は既に出発している模様。残る1台の面々は車内で食事の真っ最中。
 
 
725分、スキーを背負って出発。道路から雪壁を登って雪原に出ると、朝日をもろに正面から受けて雪原がキラキラと眩しい。雪面には昨日のものと思しきスノーシュー跡に混じって本日の先行者のものらしきスキートレースが何本もあった。


         道路から雪原に登りスタート                           今日も最高の天気


 いつものように二子沢川に沿って緩やかに登って行く。顔を上げれば、コバルトブルーの空の下、真っ白な稜線が歓迎してくれている。割引沢の奥に聳える三角形の岩は天狗岩だろうか。雪の付着していない黒々とした造作は、背景の白とのコントラストが際立ってちょっと異様な感じ。

 米子沢にかかる橋を渡り、まだ深い雪の下にある桜坂の駐車場へ。ここから井戸尾根に取り付くとまだ陽の射さない斜面はカチカチでシールが効かず、早くも苦戦を強いられる。何とか凌いで尾根筋に出ると、行く手には最初の難所、井戸の壁が待ち構えている。


              二子沢川に沿って歩く                        桜坂から尾根に取り付く


 明るいブナの尾根は、次第に斜度を増してきた。シール歩行の練習がてら少し頑張ってみたものの、滑りまくってあっけなく降参、シートラーゲンに切り替えた。

 スキーを背負っての急登は辛いが、まだ雪が緩んでおらず足場が崩れないので有難い。昨年
4月中旬には同じところでグズグズの雪に加えて、藪とそこかしこに開いたツリーホールに苦しめられた。一ヶ月早いとまだ厳冬期の名残があるのか、流石にきれいなものだ。急斜面だが雪の状態さえ良ければ、帰りにスキーが楽しめそう。


              井戸尾根に出た                          井戸の壁 急だが滑りやすそう


 井戸の壁を越えると周囲の景観は次第に疎林へと変化。さらに進むと無木立の広大な斜面が目の前に広がってきた。その先には次の難所、前巻機の急登がある。その山頂直下に先行する
6人パーティの姿を捉えることが出来た。


           次第に疎林となる                              いかにも快適そうな斜面



前巻機を登る6人パーティ


 前回、前巻機へはシールのまま登り上げることができたが、今回はとても無理そうだ。雪面がテラテラと不気味に光っており見るからに手強い。夏道に沿って少し登ってはみたものの、やはりカチカチの状態でクトーも気休め程度にしかならない。早々にシール歩行をギブアップして、スキーをアイゼンに変えてツボ足で登る。

 前巻機山頂に着くと巻機山が初めてその優美な姿を現した。山頂近くには、先ほどの先行6人組が移動しているのが見える。米子沢源頭へ下る斜面を観察すると、早くも一筆書きがあった。その作者、単独スキーヤーが前巻機に登り返してきた。曰く、雪面が固くて苦労したとのこと。もう少し雪が緩むのを待った方がいいとのサジェッション。私が山頂に着く頃は正午を回るのでちょうど頃合だろう。


             谷川岳の山々                             埋もれずにいた山頂標識



たおやかな巻機山 米子沢源頭へシュプールが一本


 避難小屋に向けてシールで滑り降りる。手を抜いてヒールはフリーのまま。案の定というか、斜度が急に変化したところで前のめりになってずっこけた。やはりものぐさは禁物だ。

 山頂には
1220分に到着。先行の6人組は米子沢に向かっていた。雪崩を警戒してか、一人ずつ間隔をあけて滑り降りている。私もと少し心が動いたが、沢筋はやはりリスキー。おとなしく源頭までで止めておきましょう。


米子沢源頭へ


 風が冷たいので周囲の景色をカメラに収めた後は直ぐに滑降の準備に入る。山頂付近のアイスバーンを横滑りでやり過ごし、少し下ってからお楽しみのスタート。手頃な斜度と固めのザラメにスキーが良く回って快適そのもの。あっという間に米子沢源頭まで滑り込んだ。

 風の穏やかな日溜まりで一休み。お楽しみの後には苦行が待っている。シールを貼って
高度差80mばかりをえっちらおっちら登り返し、再び前巻機山頂に立った。


              快適な滑降                              米子沢源頭で一休み



前巻機に向かって登り返し


 今日はシール着脱に忙しい。今度こそ最後となる滑降準備を終えて、お楽しみの再スタート。
2時間ほど前にはカチカチにクラストしていた雪面は南面だけあって快適なザラメに変化してくれていた。広大な無木立の斜面を気持ちよく滑り降りてブナ林へと突入する。


前巻機を一気に滑り降りる


 下るに連れて雪はどんどん重くなってきたが、何とかスキー操作が可能なレベルだ。高度
1200m辺りまで降りて米子沢を観察すると、視界に入る範囲で一箇所大規模なデブリがあった。6人組はここをどう越えたのだろうか。


米子沢のデブリ


 井戸の壁も豊富な残雪量のおかげで、さほど苦労することもなくクリア。後は雪原をゆるゆると滑り降りて午後
2時前、無事車に帰着した。巻機山は今回で4回目、毎回時期は違ってもいつも感動と満足感を与えてくれる素晴らしい山だ。今回も見事に期待に応えてくれた。機織りの女神様に心より感謝!


行動時間 6時間30

  
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