2011年10月27日
明日は移動性高気圧に覆われ日本各地は秋晴れに恵まれるとのこと。先週東北百名山ツアーから帰ったばかりだが、もう居ても立ってもいられない。登りたい山リストにざっと目を通して以前から関心のあった八海山の屏風道を登ることに決めた。本州は全て晴れマークがついているのに何故か新潟県だけは曇りマークなのがやや気になるが、Goだ。
何時ものように夕食後すぐに仮眠をとり深夜に出発、夜明けとともに二合目の登山口に到着した。駐車場には他県ナンバーの車が一台のみ。どうやら車中泊らしい。運転しながら遠目に見上げる山並みが何となく白っぽいなと思っていたが、車をとめてあらためて山の上に目をやると、ガスの合間から見える山肌は新雪で真白ではないか。雪のついた岩場はいくら鎖があってもリスキーだ。無理は禁物、せっかくここまで来たのだが、今回はおとなしく退散することにしよう。一応念のため先着の方の意見も聞いてみたかったが、車を覗きこむと毛布にくるまって起きて来る気配がない。登山を諦めての不貞寝だろうか。
かくして八海山は潔く断念したものの、このまま帰宅するのは余りにも勿体ない。地図を眺め、しばし熟考。プランBとして八海山とは尾根続きの中ノ岳に転進することに決めた。一旦里に下りて、しゃくなげ湖方面へと向かう。ところが、湖の遥か手前の清水瀬辺りで通行止めになっているではないか。7月の豪雨の所為らしい。仕方がないと再度地図を眺める。近場で登れそうな山は巻機山しかなさそうだ。再びハンドルを握り291号線から登山口の桜坂へと向かった。
国道から少し登った桜坂の駐車場には車が数台、さらに私と相前後して習志野ナンバーの車が入ってきた。巻機山には2年前のちょうど同じ季節に登った記録がある。その際にはヌクビ沢を遡行したのだが、今日は積雪の状況がわからないので、無理をせず井戸尾根を登ることにする。
7時20分に駐車場を後にした。割引沢との分岐にはヌクビ沢は登山禁止とあったが、前回には無かった警告だ。この2年の間に大きな遭難事故でもあったのだろうか。井戸尾根の入り口から樹林帯のなかを、枯れ葉を踏みしめながら徐々に高度を上げて行く。紅葉はこのところの寒気と雨ですっかり盛りを過ぎてしまったようだ。
井戸尾根への登り口 あまり冴えない紅葉
五合目からの眺め
前回もこの眺めが気に入った 六合目展望台
真っ白な割引岳
6合目を過ぎると登山道に雪が出てきた。展望台からは真っ白の衣を着けた天狗岩や割引岳が素晴らしい。立木も疎らになってくると前巻機が正面に聳えている。いつの間にか足元はすっかり雪道になってしまった。後で聞いたところによると、この新雪は昨日降ったもの。麓は雨だったらしい。雪と氷のミックスで滑りやすいがアイゼンを必要とするほどではない。樹林限界を抜けると視界が一気に広がってきた。谷川岳方面へ連綿と延々と続く尾根が見える。
次第に雪道に 前巻機
久しぶりの樹氷 米子頭山
前巻機の頂からは真っ白の巻機山が正面に姿を現した。2年前は茶と緑のツートンだったが、今回はすっかり違う装いだ。ここからの避難小屋への下りは要注意。凍りついた木道に雪がついて滑り台と化している。最後の登坂を一気に山頂へと向かう。9時50分、出発から2時間半で広々とした山頂に着いた。前回も感じたことだが、少し先に明らかにここよりも高いピークがあるので何とも釈然としない頂きだ。
真っ白な巻機山 谷川岳方面
最後の登り 山頂標識
山頂より高いピークより
谷川岳、仙ノ倉山方面
眺望の良い牛ヶ岳へ向かう
この際、時間もあるのでそのピークを越えて更にその先にある牛ヶ岳まで往復することにする。行き交う登山者は、素晴らしい大展望に口ぐちに歓喜の声を上げている。牛ヶ岳でゆっくりランチをとりながら、山座同定を行う。まず見やった八海山には相変わらず雲がかかっている。やはり登らないで良かった。すぐその隣の越後駒ケ岳は中ノ岳とかぶってどちらが見えているのか、判然としない。どっしりとした荒沢岳が分かりやすくて見事だ。目を転じていくと、のっぺりした平ヶ岳が見える。至仏山、燧ヶ岳など日光の山々、北西方向には妙高、戸隠方面、さらにその奥には後立山連峰まで展望できた。それにしても新潟、群馬、栃木の山々がこれほどクリアに見えたことはかつてあったろうか。
牛ヶ岳山頂 巻機山を振り返る
越後三山方面
平ヶ岳、燧ヶ岳、至仏山
いくら眺めても飽きることが無いのだが、本当にきりがないとはこのことだ。そろそろ下山にかかろう。雪や氷は、融け始めていて登山道はじゃぶじゃぶ、うっかり木道を外すと登山靴が水没してしまう。2回ほど雪にスリップして仰向けにひっくりかえるが、背中のザックがクッションになってくれた。
雪の芸術 避難小屋
朝の雪は何処に?
すっかり良くなったと思っていた足首の捻挫だが、下り道になると、やはり足の置き方次第で疼痛が走る。完治する前から酷使したのでやはり慢性化してしまったかなと悔やむがもはや手遅れだ。足を庇いつつどんどん井戸尾根を下る。6合目の展望台から見上げると、登りでは真っ白だった山の雪はすっかり消えてしまった。10月の雪はまだ寝雪には早過ぎるようだ。少し残った紅葉を楽しみつつ、登山口には13時25分に帰着した。
行動時間 6時間5分
歩行時間 5時間30分
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