巻機山  新潟・群馬県 1967m    百名山 

  

20091026


 天気予報によれば、関東地方南部は曇り、北部は晴れとのこと。北アルプスは冠雪しているし、東北方面の日帰りは無理ということで、今回は越後の巻機山を選んだ。例によってネットで下調べを行い、変化があって面白そうなヌクビ沢を遡行することにした。午前2時に自宅を出たが、多少時間に余裕があるようなので関越自動車道をゆっくり走る。エコタイヤに交換したことも奏功したらしい、燃費はリッター18Kmをゆうに越えている。 5時半に登山口のある桜坂駐車場に到着。既に先客が1人いて、朝飯の支度をしていた。時を同じくして続々と車が入ってくる。流石に100名山ともなると平日でもこれだけ人が集まってくるのだ。

 登山者カードを提出し555分に出発。歩き始めてすぐヌクビ沢と井戸尾根道の分岐となる。ヌクビ沢の入り口には踏み跡がいくつもあり分かりづらいが、2軒の別荘を過ぎるとふみ後はしっかりしてくる。ここで先行していた単独の登山者に追いついた。ここから先、巻機山頂までの間で出会った唯一の人である。ふみ跡はすぐに沢沿いとなって紅葉と滝の景観を楽しめる。道は幾度と無く流れをわたり返す。水量はそれほど多くないが、それでもうっかりすると靴を流れのなかに浸けてしまい慌てる。時折現れる滝の巻き道には鎖やロープが設置されているので、濡れて滑りやすい足場でも安心して通過できる。



     ヌクビ沢分岐(下山時撮影)            








 
次第に勾配のきつくなる沢の速い流れを渉り、時には岩登りの真似事をしながら徐々に高度を上げていく。吹上の滝とかアイガメの滝と名前のついた立派な滝が連続し飽きさせない。太陽も上がって沢に日が差すようになってきたところで、巨大な一枚岩の布千岩に到着。結構な勾配ではあるが、乾いているので設置されてロープに頼らなくとも不安はない。上流になるにつれて、へつりが浮石だらけでデンジャラスになってくる。手がかりにする岩も脆くて当てにならない。いよいよ流れが細くなってくると巻き道の高度感も出てくるのでスリル満点。いよいよ最後の詰め、ガレ場から急勾配のふみ跡を辿って巻機山と割引岳(われめきと読む)の中間の稜線に出た。ここまで10分ほどの休憩時間を入れて3時間35分で到着。一息ついた後、割引岳に向かう。10分ほどで山頂に立った。









 
ここから見る巻機山はどれが山頂か分からないほど広々している。眼下には魚沼の市街地が広がっている。巻機山へはゆったりした尾根道の木道を歩いて15分ほど。山頂には先客が一人いた。小生より幾つか年上とお見受けしたが、いかにも壮健なご老人で100名山の96座目とか。お互いに写真を取り合う。近くに見えるピークの方がどう見ても高いので、休憩もそこそこにそちらに向かってみた。山頂には小さなケルンが積んであるのみでそっけないが、明らかにこちらが高い。何故こちらを山頂としなかったのであろうか。おそらく植生保護の観点からと思われるが何となく釈然としない。穏やかな天気でもあるし、眺望をもっと楽しんでのんびりしたいのは山々であるが、せっかち男の性は悲しい。体は休みたいのに頭が、腰を上げろ、さっさと歩けと指示してくる。山頂に別れを告げ井戸尾根コースの木道を下る。濡れているので危なっかしいが、植生保護に協力して出来るだけ木の上を歩く。その後は階段地獄。膝に響く階段を延々と下る。避難小屋から巻機山を展望すると熊笹と針葉樹が青々として、下界の紅葉とコントラストが際立っている。下から緑、赤黄、白の三段紅葉と言うが、ここでは順序があべこべだ。下るにつれて植生は変化し広葉樹が中心になってくる。紅葉も見事だ。5合目辺りからのヌクビ沢の全体像の遠景が望める。登っている時は夢中で気がつかないが、こうしてみると随分と急峻である。途中追い越した若者が追いついてくるので道を譲る。この後も抜き抜かれつして駐車場にはほぼ同時にゴールインした。下りに要した時間は2時間5分。退屈で辛い下山であるが、気が紛れて助かった。この方は川崎から来て昨日、越後駒ヶ岳を登って今日は巻機山ということで連荘とのこと。手早く着替えを済ませてすぐにハンドルを握る。高速道路は、平日とあって比較的空いている。渋滞に巻き込まれることもなく、日のあるうちに自宅に帰着することができたが、土日の5倍の高速料金は痛かった。















 今回のヌクビ沢コースは、立派な沢登り。足は勿論、上半身もしっかり鍛えられる。沢の醍醐味をしっかり堪能できるが、腕力の弱い人、特に女性にはお勧めできない。雪渓の残る季節でのルートファインディングも大変そうだ。このコースでの下山は厳禁ということも十分頷けた。

行動時間                6時間55
歩行時間                5時間45
標準CT                  8時間5

        トップ  山歩き

inserted by FC2 system