黒姫山BC   長野県 2053m 二百名山 
 


2018年2月18日(日)

 今週末は強い冬型の影響で越後の山はどこも荒れ模様。久しぶりに妙高方面を訪れてみたいが、GPV予報を見る限り雪雲が濃い。県境を越え信濃に入れば少しは晴れ間が期待できるかも知れないと黒姫山に向かうことにした。今回はご一緒できなかった群馬のKさんが、前日に同山頂から七ツ池シュートを滑降していることにインスパイアされたことも理由の一つだ。

 夜明け前に大橋に到着。休日にも関わらずいつも混み合う駐車スペースはガラガラ、というより屋根にうず高く雪が積もった車が一台あるのみで実質私が本日一番乗りだ。

 午前6時5分、ヘッデンをオンにし車を後にする。まだ薄暗い中でも例年より明らかに積雪量が多いことがわかる。まず目にしたのは前日の降雪で完全にリセットされた大橋林道。いつも楽をさせてくれるボブスレーコースのようなしっかりした轍はどこにも見当たらない。


真っ新な大橋林道


 かくして内心当てにしていたトレースに見放され、スタートからまさかのラッセルになってしまった。深さは膝下位だろうか。雪質はねっとりと重く、乾いたパウダースノーには程遠い感じ。板を踏み込むとグググっと抵抗感がある。


道作り


 ラッセルを代わってもらえる後続者は結局現れず、佐渡山、乙妻山方面との分岐点まで1時間15分、たっぷり汗をかかされた。


佐渡山・黒姫山分岐


 小休止後、夏道に沿って黒姫山へと向かう。この辺りの新雪はストック計測で40cmほどだろうか。相変わらずの膝下ラッセルが続く。斜度が上がってきた分、足への負担が増し息遣いが荒くなった。この分では初志貫徹は覚束ない。行けるところまで行って潔く引き返すことにしようと決めた。


陽が差してきたが今一つ頼りない



道作りに励む


 時折GPSで進行方向をチェックしながら黙々とラッセルに精を出す。空を見上げると、少し青空が覗き天候回復の兆しが見られるが、どうやら黒姫さまのご機嫌は余り麗しくないらしい。次第に風が強くなり山全体がゴォーと凄まじい唸り声を上げている。木々の枝から風に飛ばされた雪塊が頭上に落下しないことを祈るばかり。念のため吹き曝しの尾根筋は止めて、少し大ダルミ寄りの谷合にコースを取ることにした。


強風吹き荒れる尾根筋


 標高1600mを越えると斜度が一段と増すとともに風の勢いも激しくなってきた。風とともに雪礫が襲い掛かかってくるのでとても目を開けていられない。たまらずヘルメットを被りゴーグルで目を保護する。

 尾根筋では強風に新雪が飛ばされてしまうのか、雪面には前日と思しきトレースが見られるようになった。これはKさんのものだろうか。ウインドクラストした雪面は固い。滑降の際のモナカは敬遠したいが、ラッセルは楽になったので文句は言えない。


自然の造形に癒される



同上


 外輪山の稜線が近づくにつれ、再び雪が深くなり膝下ラッセル再開。単独ラッセルのボディーブローが効き始め、標高1850mを過ぎた辺りから足が上がらなくなった。上がるのは息ばかりだ。


外輪山目前


 疲れた足に鞭打ち何とか休まずに歩き続け、11時ちょうどに稜線に立った。ここまで昨年は3時間少々だったのに今回は5時間がかり。当初目論んだ黒姫山のピークハントと七ツ池シュートは魅力だったが、強風に耐えながらの稜線歩き、外輪山への登り返しを考えると、些か体力を使い過ぎたようだ。また宿題が残ってしまったのは残念だが、今日はここまでとしよう。


外輪山より御巣鷹山


 風よけとなる木立の下で早速滑降モードに換装。滑り始めると雪面は重いながら気持ちの良いパウダー、その後はシュカブラ、アイスバーン、モナカとその変化は目まぐるしい。途中二人パーティがハイクアップしてくるのに出会った。私と同年配、やはり外輪山までらしい。結局その後に続く登山者はいなかったので、この日黒姫に向かったのは3人だけということになる。


斜度はないが、それなりにスキーを楽しんだ


 しらたま平辺りの斜度の無いところではスキーが進まない。そんな時は自分で開拓したトレースに乗ってゆるゆると滑り降りた。いつもはボブスレー状態の大橋林道も同様に滑りが悪い。手漕ぎも交えてのんびり滑り正午過ぎに車に帰着した。

 当初予定した目的は完遂できなかったが、ラッセルで気持ちの良い汗をかいたせいか不思議な充実感があった。これも山スキーの一つの醍醐味かも知れない。Pon2oonを使えばもう少し楽ができたかも知れないが後の祭り。


行動時間 6時間 
使用Gear Voile Supercharger Woman 164cm/Scarpa F1Evo

  
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