雲取山   2017m 東京都、埼玉、山梨県        百名山   
 


2020年11月12日(水)

 今回、向かうは東京都の最高峰、雲取山。本当のところは、埼玉県、山梨県にまたがる山なので「東京都の」と形容するのはおこがましいかも。実際山頂へのアプローチは各県からある。東京都側の鴨沢ルート、埼玉県側からの三峯神社ルート、それに山梨県側からの三条の湯ルートの三通り。

 先週に引き続き、私的未踏ルートの開拓ということで、今回は初見参の三峯神社ルートを歩いてみることにした。秩父地方は自宅から距離的には近いが、地理的に高速道からは外れていることもあり、時間的には遠い存在だ。自宅から約140Kmの距離を走破するのに、深夜にも関わらず3時間余りを要した。同じ時間をかければ、更に遠隔の長野県や新潟県の山まで十分足が延ばせるのだ。

 未明に到着した三峯神社の広い駐車場には先着の車が数台。車体には霜が降りているのでおそらく車の持ち主は雲取山荘辺りに宿泊しているのだろう。

 外気温は零度。5時きっかりにウェアやグローブなど寒さ対策をしっかりして車を後にする。暗闇の中、適度な勾配で手入れの行き届いた立派な登山道(参道?)を登っていく。街の灯が遠ざかり標高1300mを越えた頃、ようやく夜が明けた。落ち葉がうず高く積もり、まるでふかふかの高級絨毯。この足元に加え、胸を突く急坂や難所が無いせいか、体力的にも気分的にも随分と優しく楽なコースだ。


やっと夜が明けた



ふかふかの絨毯を歩く



景色は単調なようでそうでもない



痩せ尾根もある


 やがて樹間から朝日に赤く染まった大きな山容が覗くようになった。和名倉山だ。この山は二百名山のタイトルに誘われて8年前に踏破しているが、長丁場で苦労した割には眺望も無く魅力に乏しい山だったと記憶している。しかし、調べるとこの山には秘かなリピーターがいるらしい。もう一度歩いてみたら見落としていた魅力を発見できるかも知れないが、おそらくそんなモチベーションは湧かないだろう。


和名倉山



廃屋と化した白岩小屋 最近廃業した鴨沢コースの奥多摩小屋も同じ運命か



このガスが氷の花の陰の立役者


 白岩山を越えると高度差200mを返上しなければならない。雲取山との鞍部まで下りきったところで思わぬご褒美があった。冷え込みと湿度が作り出す氷の花、霧氷だ。しかも、この現象が見られるのは朝方の限られた時間のみ。1時間半後に再び同じ地点に戻ってきたときには、足元に散乱する氷の結晶が名残をとどめているだけだった。


これが見れただけでも来た甲斐があった




下山時に見た霧氷の名残 霰のように音を立てて落ちていた


 雲取山が近づくにつれ、何組ものハイカーとすれ違うようになった。雲取山荘の宿泊者たちだ。コロナ禍で山小屋のあり様も随分と変わってきているらしい。雲取山荘のHPによれば、完全予約制、個室利用、相部屋の場合でも間仕切り、インナーシュラフ持参義務等々、様々な対策が取られている由。それでもやはり三密の可能性は否定できない。既往症を持つ高齢者としては、事態が落ち着くまで日帰り山行に磨きをかけるしかないのだろうか。


雲取山と霧氷の森



立派なログの雲取山荘


 その雲取山荘をスルーし、最後の急坂を登りきると2017mの山頂に着く。時刻は9時15分。実に12年ぶりの雲取山だ。風も弱く穏やかな日差しの降り注ぐ山頂で、眺望を楽しみながらのランチタイム。しかし、鴨沢から登ってきたハイカーで騒がしくなってきたので、適当なところで切り上げ、下山することに。


12年ぶりの雲取山



雲海に浮かぶ富士山



奥秩父の山々 国師岳や甲武信ヶ岳も遥か彼方に


 帰路は体力的には余裕があったので少し気合を入れて歩くことにした。しかし、そんな不遜な気持ちが災いしたようだ。霧藻ヶ峰を過ぎると、公園の遊歩道のような快適な道になる。ふかふかの落ち葉のおかげで、実に足に優しい。つい調子に乗って小走りで駆け下りていると、落ち葉に隠れた石か木の根のトラップに嵌って不覚のダイブ。勢いあまって宙を舞い、背中から着地した。デイパックがクッションになってくれたので大した怪我もせずに済んだのは不幸中の幸い。ゴール間近で過去何度も経験した愚を、しかもイージーなハイキングコースでやらかすとはとは何とも情けない、といたく反省。本当に懲りない爺なのだ。


こんなイージーなところで躓いた


 駐車場帰着は午後1時ちょうど。出発時には想像も出来なかった程、周辺は大勢の紅葉狩りや参拝客で賑わっていた。人ごみでの長居を敬遠し、着替えもそこそこにハンドルを握り帰宅の途に就いたのだった。


行動時間 8時間


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