甲武信ヶ岳   2475m 長野、埼玉、山梨県        百名山   
 


2020年11月26日(木)

 先々週に引き続き、今回も秩父の山の初見参コースを歩く。計画したのは、甲武信ヶ岳から雁坂峠へと周回し西沢渓谷へ下山する、20Km越え、標準CT12時間20分のロングコース。モタモタしていては日が暮れそうなので可能な限りの早出することにした。

 深夜に自宅を出発。下山地点に近い、道の駅みとみの駐車場に車をとめた。手早く支度をし、午前3時45分、車を後にする。現在の日の出時刻は6時30分。夜明けが遅くなった分、ヘッドランプ頼りの時間が長い。暗闇の中での電池交換に四苦八苦した経験から予備のヘッドランプを携行することも忘れない。


ここからスタート


 歩き始めから2時間、標高1700m辺りで、ようやく東の空が白んできた。正確には赤みを帯びてきたというべきか。戸渡尾根に登り上げたところで、ライトオフ。暫くすると鶏冠尾根など周囲の山々がモルゲンロートに染まってきた。


戸渡尾根に登り上げた 近丸新道分岐点



朝日を浴びて山が輝きだした


 石がごろごろして歩きにくい急登が一段落すると程なく木賊山山頂だ。標高は2469mと甲武信ヶ岳と遜色ないにも関わらず、地味で存在感が薄い不遇の山だ。



甲武信ヶ岳


 一旦100mほど下り甲武信小屋を通過。ここから再び100m登って出発から4時間30分、最初のマイルストーン甲武信ヶ岳の頂に立った。若干高曇りの空模様ながら、奥秩父の峰々はもとより、富士山、八ヶ岳、南北アルプスと眺望は申し分ない。山頂には先着の若者が一人。彼は毛木平からアプローチ、これから十文字峠へと周回するそうだ。


レトロな雰囲気の甲武信小屋




奥秩父の峰々



八ヶ岳には全く雪がない



南アルプスも少ない



そして富士山も



これから向かう破風山


 冷たい風に負けて長居することも無く山頂を後にする。甲武信小屋のベンチに陣取り早めのランチタイムとし、これから続く長丁場に備えた。

 小屋からは木賊山への登り返しを嫌い、楽なトラバース道を利用する。辺り一面シャクナゲが群生。開花時期であればさぞかし見応えがあるだろう。


シャクナゲ街道


 笹平へは300mの大下り。下りきった鞍部には破不避難小屋があった。山は破風だが小屋名は破不とは何故だろう。疑問に思って帰宅後ググると、その昔木賊山が破風山、今の破風山が破不山と呼ばれていたそうな。三角点の基準名も木賊山が「破風」、破風山が「破不山」との由。何故入れ替わったのか判然としないが、要するに小屋のネーミングは古の名残りを留めているということだろう。また、先に木賊山は存在感が薄いと書いたが、こうした歴史的経緯を踏まえると前言は撤回した方が良さそうだ。


立ち枯れたシラビソの先に破風山



破不山避難小屋



小屋内はきれい 懐かしのダルマストーブに薪完備


 ともあれ、この避難小屋を過ぎると、破風山への200mの急登が始まる。疲れた脚に鞭打って歩き続け、10時25分、西破風山に着いた。山梨県と埼玉県が、領有権を主張するかのように県ごとの山頂標識がこれでもかと立ち並んでいるのが印象的だ。


笹平が遥か下になった



標識の林立する山頂



雰囲気最高の尾根道だが、、、


 この先、辺り一面にシラビソの立ち枯れが目立つようになった。このことも気になり、改めてググると埼玉県による調査研究が目に留まった。斜め読みながら、結局のところシラビソ固有の天然更新現象という以外に明確な理由は判明していないらしい。この現象自体特に生態系や植生に害をなしているわけでもなさそうなので、自然が作り出した特異な景観として、一つの観光資源と言えそうだ。どれだけの人が足を運んでくれるかは別として、、、


針の筵もある



ここにも


 西破風山を登り終えて、やれやれと思う間もあればこそ、この先も東破風山、雁坂嶺とアップダウンが続く。雁坂峠到着は正午過ぎ。ほぼ予定通りの進捗だ。この峠は北アの針ノ木峠、南アの山伏峠と並んで日本三大峠の一つ。標高で判断すれば、雁坂峠よりも高い峠はいくらでもあるので、日本書紀に登場する日本最古の峠という点で三大峠の一つという名誉に浴しているらしい。これもグーグル先生の教えですが。


笹の生い茂る尾根を下っていくと、、、



雁坂峠に着いた



開けて気持ちの良い峠


 この峠からは笹原の急斜面をジグザグに下っていく。道の斜度が次第に緩くなると、何度も小沢を渡渉するようになる。荒れた沢筋はルートがわかり辛い。ピンクのマーカーや滑りやすい箇所に設置された固定ロープを頼りに下山を続ける。やがて忽然と現れた橋に降り立った。そのすぐ先には場違いな舗装道路。しかし、何の目的で作られたのか不明のこの舗装道路、今や至る所で倒木や土砂が散乱し、かなり荒廃している。


水量が少ないので濡れることは無い しかし大雨の後は要注意


 暫く単調な道路歩きをしていると、やがて右手に雁坂トンネルの料金所が見えてきた。道の駅みとみまで2Kmとの標識もあり、長くて退屈な道路歩きもようやく先が見えた。


 午後2時15分、道の駅みとみに帰着。シャクナゲも紅葉も無い晩秋の奥秩父だったが、山中出会ったのは3人だけと三密とは無縁の静かな山歩きが堪能できた。それに初めて歩くルートであるが故に新鮮な発見や驚きがあり、好奇心を刺激してくれるのでボケ防止にもなりそうだ。


行動時間 10時間30分


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