2018年6月22日(金)
梅雨の合間の貴重な晴れ間、そんな時は毎年何故か北岳に足が向いてしまう。交通の便が良いというのが一番の理由。それに、この時期限定のキタダケソウも登高意欲を盛り立ててくれる。レアものに惹かれるのは年を取った証と苦笑しつつも、出会えただけで得をした気分になるから不思議。という訳で、今年も広河原へのアクセス開通初日に北岳を目指したのだった。
平日にも関わらず、午前5時前というのに芦安の広い駐車場は車で埋め尽くされていた。取敢えずバックパックを並べて順番を確保しておく。急いで朝食と身支度を済ませ、始発の乗り合いタクシーに乗り込み一路広河原へ。
アルペンプラザで登山届を提出し、三々五々出発するハイカーに交じって広河原を後にした。時刻は6時15分。吊り橋を渡ると、若者や元気な中高年はどんどん先に行ってくれたので、早くも気ままな一人旅。マイペースで歩を刻む。
木漏れ日の森の散策 大汗をかきながらですが、、、
大樺沢コースへ向かおうとすると、何と「未整備につき通行止め」との立て看板。後で聞いたところでは大樺沢を渡る橋が落ちていたらしい。状況が良く分からないので、今回は二俣から雪渓を詰めて八本歯ノコルへ向かう当初のプランは取り止め。草スベリから山頂を目指すことにした。
白根御池小屋で小休止。残る1000mの標高差の登行に備えて行動食を詰め込んでおく。再び歩き出すと、私の後を一定の距離を置いて二人が追随しているのに気が付いた。結局彼等とは付かず離れず行動を共にし、一緒に山頂にゴールすることになる。
白根御池小屋から北岳を望む
早くも下山してきた女性
植生がダテカンバに変化してきた
大樺沢の雪渓の様子
小太郎山へと続く稜線
肩の小屋より北岳を望む
山頂到着は11時ちょうど。広河原から4時間45分。5年前より1時間近く余計にかかっているが、今の私としては上出来のタイムだ。
仙丈ヶ岳をバックに
北アルプス遠望
間ノ岳、その奥には塩見岳
山頂で寛いでいると八本歯ノコルから3人Pがやってきた。二俣から上は問題無いとのこと。これを聞いて下山ルートが決まった。草スベリのピストンは止めて二俣まで大樺沢を下ることにしよう。
11時25分、山頂を後にする。北岳山荘への道を分け、石が累々と積み重なった登山路を下って行く。山頂部南東斜面がキタダケソウの生育地なので注意深く観察していると、登山道脇にハクサンイチゲに寄り添うようにしていた株を発見。苦しい思いをして登ってきた甲斐があった。
会えてよかったキタダケソウ
キタダケソウをカメラに収めた後は八本歯ノコルへ。例によって連続する梯子の急下降に音を上げながら下り続け、雪渓に降り立った。
梯子の連続に音を上げる
バットレスの威容 凄すぎて癒しにはならず
ここで10本歯のアイゼンを装着。ウイペットを片手に雪渓を下る。雪は緩み過ぎてアイゼンの効きが芳しくない。それに雪上には大小の落石があり、そのうちの幾つかが滑り落ちたと思われる生々しい痕跡が残されていた。
大きな石が滑り落ちた生々しい跡
落石を気にして際を歩く
落石を気にしながらの雪渓下りは疲れる。少々早いが二俣の手前で左岸に上陸し、薄い踏み跡を辿って二俣へと出た。ここから大樺沢沿いを下るのが最短コースだが、今日はそうもいかない。若干登り返し気味で疲れるトラバース道から白根御池小屋へと向かった。
再び白根御池へ
小屋前のベンチで最後の小休止。疲れた足に鞭を打って再び下山を続け、午後3時40分に広河原に帰着した。梅雨とは思えない快晴の下、最高の眺望に加えてキタダケソウを目にすることもかない、良い汗をかくことが出来た。
行動時間 9時間25分
道中癒しのお花
|